【読書雑記】『マキャベリ全集〔全7巻〕』(筑摩書房、2002年〜)

 小一時間電車に揺られるのであれば、読書は欠かせない。よく考えてみると、これまでこれほど長い時間揺られて通うのは生まれて初めてである。しかも始発駅なので必ず座れる。いまとは交通事情が大分異なるのだろうが、かつて石橋湛山が鎌倉に住んでいたとき、当時勤めていた日本橋室町の東洋経済新報社への通勤途中、セリグマンやケインズを読んで経済学を勉強したのだとか。
 わたしは引越を機に、少し大部の古典を丁寧に読んでいこうと心に決めた。手始めは、マキャベリ全集。筑摩書房から5・6年前に刊行されたものである。当時は60年ぶり戦後初の刊行ということで話題になった。
 塩野七生の著作にはかねてより親しんでいたし、今年話題をさらったコミックス、惣領冬実の『チェーザレ』(講談社、2001年〜)もマキャベリの著作を読み進むのにはよい副読本である。
 まずは、マキャベリ全集の第2巻に収載されている『ディスコルシ』から手を付けた。これまで繰り返し読んできた『君主論』の、おそらくこれまでとは違う読後感に期待してのことである。
 マキャベリは『ディスコルシ』を執筆中に『君主論』を手がけ、しかもこれを『ディスコルシ』に先駆けて完成させたという。そのためだろう。『君主論』の中では『ディスコルシ』がしばしば引用されている。
 『ディスコルシ』。かねてより気になっていた著作である(岩波文庫では『ローマ史論』というタイトルの3巻本としてかつて刊行されていたようだ)(2007年12月28日記)。

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