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【あの夏のルカ】大人になった今、観たい夏映画

脚本の学校で、作り手としての映画の観方を教えてもらって、試したらとっても面白くて。
そしたら、いろいろな考えを読みたいし、わたしも聞いてもらいたい。
ふつふつとこんな気持ちが湧いてきたので、noteに書いてみることにしました。

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ディズニー&ピクサー最新作の「あの夏のルカ」。“かつて子供だったすべての人”に贈る感動のサマー・ファンタジー・アドベンチャーです。

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まず、映画を観てログラインとあらすじを自分で作ります。

■ログライン
内気な少年ルカが、一夏の大冒険を経験し、大きく成長していく。
■あらすじ 
海で生活するシー・モンスターにとって、人間(陸のモンスター)はとても恐ろしい存在。少年ルカは、幼い頃から両親にそう教わってきました。

ある日、ルカは地上で生活するシー・モンスターのアルベルトに出会い、生まれて初めて陸にー。
アルベルトの家は、人間の落とし物で溢れていました。どれも2人にとっては、魅力的なものばかり。ルカは、“ベスパ(=自由の象徴)”のポスターに強く惹きつけられ、家のお手伝いはそこそこに、ベスパ作りに熱中します。

ルカのお父さんとお母さんは、息子がこっそり地上に出かけていることを知り、この夏 深海(何もない場所)の親戚の家に預けることを決めます。
陸への憧れを持つルカは、家出を決意。できるだけ遠くに行くには、本物のベスパを手に入れないといけない。ルカとアルベルトは、本当の姿を隠し、人間が住む港町に出発。2人の一夏の大冒険が始まります。

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青い空、打ち寄せる波、風になびく木々、打ち寄せる波ー。

ルカがアルベルトに促され、地上に初めて上がる場面の描写が、素晴らしいの一言。

幼い時に感じた、キラキラした世界が、希望に満ちた感情が、溢れてきます。あの夏のソワソワ、ワクワクした空気に包まれ、どっぷりと浸ることができます。

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■面白かったポイント
(ネタバレもあるので、これから観る予定の人はお気をつけください)
次に映画の面白いポイントをメモします。

①恐怖の可視化
控えめなルカに対して、チャレンジ精神旺盛なアルベルト。何をするのも戦々恐々のルカは、新しいチャレンジを前にいつも尻込みしてしまいます。

そんなルカへ、アルベルトのアドバイスが秀逸。
“頭の中の(不安や否定的な)言葉 = ブルーノの声”
新しい挑戦をブルーノが、否定したり、止めようとしたら、「シレンシオ(黙れ!)ブルーノ」と打ち消していくのです。

作品の中で何度も何度も、でてくるこの台詞。怖さや不安に蓋をしてやりやり過ごすのではなく、可視化し、立ち向かう。敵がわかれば対処はしやすい、この方法は日常生活でも真似できるなぁなんて思ったりしています。

②住んでいる世界
「あの夏のルカ」では、地上・海の中・深海と3つの世界が描かれています。
ルカから見て、
“深海は何もない場所。海は生活している場所。陸は憧れ、新しい世界。”
というようにわかりやすく、設定されています。
自分の子供の頃の環境で表すと、
“深海:誰もいない生まれた家。海:生まれた場所。陸:東京などの都会”
といった感じでしょうか。(深海がちょっと難しいですね)

③ルカのおばあちゃん
シー・モンスターのルカとアルベルトが、陸のモンスター(人間)に受け入れられた時の、おばあちゃんの一言。
“あの子を受け入れられないものはいる。でもあの子は仲間を見つけた ”
受け入れられる、られないは人それぞれ。できない人はできません。でも自分を愛して、一緒にいてくれる人がいれば、きっとその声のボリュームはずっと小さくなるのかもしれません。

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せっかくなので、少し映画について。
監督は、エンリコ・カサローザさん。北イタリアの海岸沿いの街で育ち、アメリカにわたりアニメーションの世界に。
エンリコ監督は、小さい頃はとても内向的だったそうです。そんな彼に挑戦するきっかけを作ってくれたのが、違う世界に住む親友との出会いでした。「あの夏のルカ」は、そんな彼の経験からインスピレーションを受け、作られています。(監督は、ジブリなどの日本アニメーションが好きだそう)

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最後に、わたしの勝手な感想を綴りたいと思います。

あの夏のルカでは、“恐れ”という言葉がキーワードになっているのかなと感じました。

・お互いを知らないことへの“恐れ”(シー・モンスターと陸のモンスター)
・新しい世界への“恐れ”(地上や街に出ること)
・チャレンジすることへの“恐れ”(自転車に乗ることなど)
・変わっていくことへの“恐れ”(ルカが自分の道を進み始めること)
少し考えると、4種類の“恐れ”がありました。

キャラクターが生きているなと感じたのは、
この映画が決して、ルカだけの成長物語ではないというところ。周りの人もそれぞれ“恐れ”を持っていて、それに向き合い、変化していく様がきちんと描かれています。

ルカには、自由と学びを。
アルベルトには、居場所を。
ジュリアには、自分らしく生きることを。
その恐怖や不安を乗り切った先には、それぞれが望んでいた温かい未来が用意されています。


夏に、
かつて子供だったすべての人に、
観て欲しい映画です。



最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。よければ、またお待ちしています。