愛しの〈魔界都市〉

 中学時代、菊地秀行の小説に夢中でした。〈魔界医師〉メフィストや秋せつらが登場する、魔界都市〈新宿〉シリーズを主に読んでいました。
 そもそも菊地作品との出会いは、小学生のときに観たアニメ版の『魔界都市〈新宿〉』です。新感覚を味わうと同時に、不思議と懐かしい気分になったのを覚えています。
 彼の小説は、中学三年間で数十冊は読んだと思います。大長篇の『鬼去来』や『夜叉姫伝』などは、まさに圧巻でした。あんなに長いのをよく読んでいたなぁ、と我ながら感心します。長くても全く苦ではなく、しかも読破していたのですから、よほど好きだったんですねぇ。
 そういうわけで大長篇も思い出深いのですが、一番思い入れがあるのは、最初に通読した『魔界医師メフィスト 黄泉姫』です。和(倭)のテイストが強くて趣きがあり、崇高さとアクションとが一体となった、超伝奇の王道だと思います。あの雰囲気が忘れられません。

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