文章を書くって難しい

初投稿をして改めて思ったのが、文章を書くのは物凄く難しいということ。

自分の頭の中にある考えとか概念を、読み手に伝わるよう適切な語彙を用いて言語化していく作業に大変時間が掛かる。こう書いたら伝わるかな、いやいやこれじゃ分かりづらいかも、と書いては消して書いては消してを繰り返しているといつの間にか時間が溶けている。

初投稿は650字程度だったけど、書き始めから完成までに(間に別のことをしていたとはいえ)3時間くらい掛かった。
後回し癖も手伝って、小学校の頃の読書感想文も大学のレポートも、完成させるのが遅くていつも提出はギリギリだった。レポート提出が締め切りの20秒前なんてこともザラ。ちなみに最高(?)記録は14秒前である。何なら間に合わなくて締め切り後に出すこともあった。

こうして精一杯時間を掛けて綴っても、伝えたいことが正しく伝わっているとは限らないのがまた難しいところ。考えていることを表現するのに適切な語彙を選んで、かつ話の順序も正しく組み立てられていないと読み手に伝わらないと思うのだが、このハードルが非常に高い。


それから、見栄っ張りな私はちょっと気取ったような語彙を使いがち。初投稿なんかは気合が入っていたから顕著で、自分で見返しても「頭良く見せよう!」という魂胆が見えてきて痛々しい…。まあここは慣れかな。色々書いてみて、自分らしく背伸びをしない言葉の選び方を体得できればと思う。


さて、話は変わるが、最近辻村深月さんの『ツナグ』を読んで大変面白く感じた。

(話の内容に触れるので注意)


展開のさせ方が非常に巧みなのである。前半は死者と会うことが生者に対してよい影響を与えるという話を描くが、中盤で一転し生者に一生消えない傷を負わせる可能性があるという話に展開させる。このギャップで、読者は否応なしに「このあとの話はどう転ぶんだろう」と次への期待が高まるのである。
主人公の使者に対しては、少しずつ人間らしさを発露させていくことでいち男子高校生の「ツナグ」という人物に興味を保たせるように仕込まれている。

死者と相見えることがどう描かれるのか、使者とはどんな人物なのかという二重の興味を読者に抱かせることで、どんどん次へ読み進めてしまうようになっている。読者の心理をこうも見事に操ることができるのかと驚いた。


構成もさることながら、文体が非常に美しい。
難解な語彙を用いている訳ではない。小学生でも問題なく読める言葉を使っているのに、透き通るような美しさを感じる。小説の後ろに付されている解説は基本的に好きではないのだけれど、「透明感のある文体」と書かれていて「この感覚は自分だけじゃないんだ」と思った。


辻村深月さんの話になってしまったが...
こうして考えてみると、よい文というのは「構成の巧みさ」「言葉の選び方」で決まるようだ。
どちらも、どのように展開されているか、どんな言葉を選んでいるかを意識しながら手に取った作品を読んでいき、その手法を自分でも使ってみるのがよさそう。


さて、自分で納得できる文を書けるようになるまで何年掛かることやら。

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