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aoi.
2024年5月3日 17:14
青い傷があって傾げれば光るプリズムの明滅僕のからだは透けて化石になっていく岩肌を撫でれば息をする植物だった名残だよ灰が積もって知らないで居られるからこんなにも穏やかでまるい形をしている読まれなかった言葉たちが点在して夜を作る月になりたかった
2024年5月2日 11:22
光につける名前を持たないよく燃える命をしている分断の向こう側へ還る時抱擁は揺籃と同じ響きをもつ躰の中にも泡沫は昇る吐き出すよりも先に溢れている瞬きは星を亡くすから輪郭に委ねて眠る肩甲骨は翼の名残で曾て僕らは鳥だった
2024年4月16日 16:50
体に点在する黒子は宇宙のどこかの星と重なる地図だ。そこにある故郷のことを忘れてしまう。月の砂を飲んだとき喉に極光が張りつく。そうすると背骨がオパアルになって夜が来る度にうっすらと輝く。眼窩に真珠を嵌め込んで月光の糸を手繰り歩いた。えいえん、えいえん、と、海が言う。水平線の向こうへと鳥が飛んでゆく。
2024年4月7日 12:49
透明な血が流れる傷を縫いとめる針は時間を刻んで、ちくたくと進む糸は目に見えない明かりか細く、頼りないものが繋ぐあたたかな手でふれるには灯火がひとついるからここに書き起こして 火をおこす凍ったものが溶けるまでかざす 陽は ゆびさきを赤くするかたちのない なまえのないからだのない ことばのないそれ は ここにあってきれいだった ただ澄んでいた眩しいく
2024年3月2日 09:47
雨が降り続く街で石灰の城は溶けて、ただの水になる詞は理の外にあって、矩形の庭を視ている今だけを春と呼ぶなら人生はずっと春のままで過ぎて往って散る 星の名前を授かる花があることきみの爪の先から生えた翼のこと先の広がった歯ブラシの行方とか、知らないままのこと僕の國に炎がないこと、君を眼差すひとのこと、海が燃やして、燃やして、燃やして、灰にしたものが砂と呼ばれた記憶たちで
2024年2月4日 17:54
名前を知ることで触れる世界それは満たし、それは枯れさせてゆく声の海に立つ波の言葉を掬う忘れていても花は咲いているし星はずっと遠くで燃え続ける夕陽が、ぜんぶを連れ去って影にするこの手にもらった水を飲む百年後の白雨が今日も降る街で過ぎる季節を眺めていた幻は破れて、羽化してしまう
2023年12月26日 09:04
陽に透ける指先の輪郭は赤い血が通っているからだで心へと手を伸ばしてみる言葉にならないでいいその淵に触れる時眼差すだけで変わる一人きりでも温められるように手渡された祈りを懐く星だけの夜に月は真珠になって海の底にみえる
2023年12月21日 18:03
花はただ咲んで佇む広い草原(くさはら)しろいろのライオン欠けた面がひかる割れたままがいい 湖のあわいに待つ雪解けの日ここに風が吹く影がある抱き締めていた光の中で
2023年12月16日 07:02
ハイスピードフィクションだった、四季みぞおちまで、波が寄せるただ一つの祈り (ひかり) 目を閉じるとラメが煌めくやわらかなかたち、している痛くない触れ方でここになんにでもなれた、から遠吠えをする手を待つ花の並ぶ店先どこへだって飛んでしまえる軽さで風になってひかる。ひかる。
2023年12月6日 08:53
薄く透ける光の降る夜影だけを残して姿を消した月ぼくの血と同じ色をした星が沈澱していた骨貝になったきみの手を離してみてもいい?(いいよ)大きな魚の肋骨を揺籃に羽化するぼくにはもう何もいらないあの時のあの瞬間だから美しかった日々はこの世界への遺言霧散する魂は光を綯う
2023年11月30日 08:02
切り貼りした景色に手をつけて塗る水の色は極彩筆先で描く瞳が見つめる夕陽に沈んだ春が凪いだここで手を広げて待っている笑う、声がした過去になっていくすべてをちゃんと忘れる旅の果てでまた、それまでのことを知らない僕らの祈りも空へと還す日へ
2023年11月29日 07:25
点、異なる時間の流れが隔てる溺れる夢を見た部屋に灯る電球は滲む月境界が消えている触れてみれば心銀鱗にとってはどうだって良い植物はそう伸びていく反射する形でしか知れない、鏡洗われていく成分表れていく成分空白に花を飾る
2023年11月21日 06:51
呑んでいる、から、大きくなる、肺、色を奪っていく光、褪せた夕暮れ時のこと、ほんの一度瞬いた、そうしたら消えていた、水色の残照を触ろうとして、海が透明だったことを思い出す、掬えばなくなる冬の息、一面の銀色は睫毛のその先、冷たいのは、その星がもう尽きているから。
2023年11月19日 09:53
膨張する体に宇宙が内包されている。爆ぜることも出来ない。座礁した月に横たわる。砂は光る宝石たち。碎けた夜の底に明ける、陽に灼かれて、溶ける、翼。逝たい(いたい)、春は生温く浚う。抱いた骨の隙間を風が塞ぐから、語る。膿んだ口内炎から真珠を吐いた。金色の角が地面を割って大樹となって、それは墓標と誰かが言った。