主務日記#191,192

2023年8月3日

これから書くことはあくまで個人の見解であり、所属する組織・団体の意見ではない。

2日後に迫った法政大学戦。
18時キックオフ。筑波大学第一サッカー場。
今シーズン唯一の、ホーム開催のナイトゲーム。

「夏祭り」をテーマに、SNSを通じて様々な企画を公開してきた。
このホームゲームに向けて、僕は新たなグッズ開発をおこなった。

「ペンライト」

7月12日に味の素スタジアムで行われた天皇杯「FC東京vs東京ヴェルディ」の試合を現地観戦し、そこで多くの人がペンライトを持って応援する姿を目の当たりにした。

声を出すや手を叩くといった「音」を出しての応援には少し抵抗のあるサポーターも、ペンライトを使いリズムに合わせて共に応援することができる。

興味深いグッズだなと思いインターネットで調べてみると
実際に複数のJクラブが公式グッズとして販売しており、
Jリーグも公式で「ナイトゲーム×光」の演出を推奨していた。


これまでナイトゲームの運営をほとんど経験したことのない僕にとって
ペンライトは目から鱗のグッズであり、
8月5日に間に合うよう、予算の都合上100本という最小ロットではあったがデザインから発注まで速やかに進めた。

そして、完成品が届いた。

凝ったデザインではないが、シンプルイズベスト。
ライトも15色あり、水色は期待通りの爽やかさ。

やっぱり作ってよかったなと思った。
夜の1グラで光がゆらめき、聴覚からも視覚からも応援を感じることができる。
第一サッカー場がより鮮やかになり、来てよかったともっと多くの人に感じてもらえる場所になる。
そんなワクワクを感じていた。

しかし、すべて水の泡となった。
関東大学サッカー連盟の許可が降りなかったからだ。
理由は以下の通りだ。

ピッチとスタンドの距離が近く、選手に影響を与える可能性があるため試合中の使用は許可できない

タオルなど、試合中の応援に付随するものであれば「応援グッズ」として販売可能にしているが
ペンライトは上記の通り試合中使用不可のため「応援グッズ」として認められない

試合前後のセレモニーなどで使用したいのであれば「配布」のみ認める
試合以外での収益化は認められない

僕の思慮不足だった。

許可できないという連絡を受けたとき
最初は正直、意味がわからないと思った。
試合中の選手への影響は理解できる。
(もちろんサンプル品を使い同時刻同会場でピッチに影響が無いことは確認済みだが)相手選手に影響があると言われればそれまでだ。
しかしだからと言ってなぜ販売してはいけないのか。
僕らは断じて営利目的ではない。
端数のみ切り上げたものの、ほぼ原価のまま販売するつもりだった。
なのになんで、、

そんなふうに思っていたが、総じて僕の思慮不足だったと気がついた。
大学サッカーリーグは未だ「試合時間90分の管理で手一杯」なのだ。
「エンタメ化」はもっと先の話なのだろう。

例えばの話だが、
大学リーグの試合を各大学会場にて開催し、試合関連イベントを主催大学の管轄で実施、そこで得た収益(チケット代含む)の○%は関東大学サッカー連盟に収める。残りの収益は主催大学部活の活動費となる。
こういった仕組みがあれば、それぞれの大学はより多くの「集客」を目指して「企画」や「グッズ」を考える。

こうしてスポーツはエンタメ化していくのだろう。

しかし、大学サッカーにこのような制度や仕組みはまだない。
学生主体の連盟組織による試合運営のもとで競技力を競う「競技スポーツ」の域を出ない。

筑波大学蹴球部の今年のVisionは「愛し、愛されるクラブ」である。
仲間を愛し、蹴球部に関わる方々や応援してくださる方々に愛を持って接する。そして初めて、蹴球部が愛され、応援される組織になる。
我々は活動理念を「競技力」に限定していない。

だからこそ、ホームゲームに力を入れ、集客をし、企画をする。
グッズもそうだ。

しかしグッズは金銭の授受が発生し、少額であっても収益が発生する。
先述の通り、連盟にはまだ収益を管理する受け皿が用意されていない。
故に、販売はできない。

納得できる。

時期尚早だったのだ。

いつか各大学会場での試合のチケットが有料となった頃には、
グッズも自由に販売できるのではなかろうか。

大学サッカーを司る大人の皆様へ。

元日の国立競技場という大舞台を用意してくださるのであれば、
ぜひ併せて、先ほど書いたような連盟にとっても各大学にとっても有意義で、学生が堂々とチャレンジできるような仕組みづくりもご検討いただきたい。

各大学部員数千人を動員するだけではなく、「サッカーを盛り上げたい」という熱い思いを秘めた学生たちの「集客」「企画」「グッズ」などの「アイデア」にもっともっと耳を傾けてはいただけないだろうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?