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イミゴンゴツアー in Kirehe

ルワンダの首都Kigali(キガリ)から車で4時間ほどの南東部地域、Kirehe(キレへ)Nyarubuye(ニャルブイエ)の山の中に、素敵なデザインが施された工房があります。

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こちらはルワンダの伝統アート、「イミゴンゴ」の工房です。

Imigongo(イミゴンゴ)とは
イミゴンゴは昔この辺りに栄えていたGisaka(ギサカ)という王国の王子、Kakira(カキラ)が1800年代前半に作り始めたことから始まります。このエリアがMigongo(ミゴンゴ)であったため、このアートは名詞化のI+Migongo (=ミゴンゴのもの)でImigongo(イミゴンゴ)と呼ばれるようになりました。

特徴としては、なんといっても主原料が牛糞であることです。
生後2ヶ月〜1歳くらい(母乳と草を半々くらいで摂取している)の子牛の糞に灰を混ぜて捏ねて作った粘土を使ってデザインします。灰は消臭の役割も兼ねているため、完成した粘土は全く臭くありません。

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この粘土を木の板に指でのせて幾何学模様を作成していきます。当時のImigongoは部屋の壁に直接デザインする室内装飾でしたが、1980年前後にImigongoに出会ったフランス人が感動し、自国に持ち帰るために木板を使用したことから、木の板を使用した持ち運びが出来るImigongoが普及します。

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粘土でデザインが完成した後は数日陰干しし、その後はやすりがけ、色塗り、乾燥を繰り返して約1週間~2週間ほどで完成します。

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この地域では、女性はImigongo作りは嫁入り修行の一環であり、「上手に作れる=整理整頓が出来る」と考えられていたようです。こちらの工房のリーダーは12歳頃から作り始めたそうです。

この工房は3人の職人がいらっしゃいます。皆さんは50~70代くらいで、一番Imigongo作り歴の長い方は半世紀以上もされている超ベテランです。共働組合を設立して活動されており、1986年の設立当初は10人ほどいましたが、ジェノサイドによって現在の3人のみが残ったそうです。1986年にハビャリマナ元大統領や近くの教会にImigongoを贈呈したり、多くの賞を受章されるなど、活躍されています。

しかしImigongoに関する資料は多くなく、Imigongoについて研究されている方もいないようです。ルワンダでは19世紀頃からアルファベットが使われ始め、それまでは口頭言語であったため、これらの情報のほとんどは人々の間で語り継がれてきたものたちです。そのため、聞く人によって歴史やデザインの意味に若干誤差があるようです。この素敵な伝統を受け継ぎ続けてほしいですが、日本の伝統産業のように後継者問題があるのも実情のようです。

Imigongoは幾何学模様が多いですが、そのデザイン一つ一つには意味が込められています。下記では工房の壁にデザインされたアートについて説明したいと思います。

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左:1、右:2

1. igishare(イギシャレ)
2色のデザイン。Imigongoとは別の種類の室内装飾だと考える人もいる。

2. ngondo itonesheje(ンゴンド イトネシェジェ)
円を描く、続いていく、広がっていく、結び目をつくる

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左上:3、台の縁取り:4、左下:5、右上:6

3. ishobe(イショベ)
背景が違う人同士では分かり合えないこと
作るのが難しく、作れても時間がかかる
隠語

4. basangira(バサンジラ)
ウルヒンビの上にのってるものをシェアする
インベへという2人で食べる時に使うルワンダ伝統皿を模しており、シェアの意味がある
写真のテーブル(ウルヒンビ)には牛乳の入った壺を置き、お客さんが来た時にはそれらをシェアする

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5. umushanana(ウムシャナ)
伝統的なドレスのデザイン

6. itangaza(イタンガーザ)
素晴らしいデザイン
奇跡、神の力、普通では起こり得ないポジティブな出来事

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青丸:7

7. umuhigo(ウムヒゴ)
目標を達成する、狩猟

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左から順に8、9、10

8. nyamuraza(ニャムラザ)
室内装飾だけでなく、バスケットや瓶にも使うデザイン
王様が庶民の家を訪ね歩きながらくねくね進む様子、という解釈もある

9. amatana atonesheje(アマタナ アトネシェジェ)
逸れてもまた正しい道に進んでいく、美しく仕上げる、等の意味
この地域の考え方として、デザインは複雑な方が美しいとされている
広がっていくこと

10. itangaza r’itonesheje(イタンガーザ リトネーシェジェ)
線も色も多いため、美しいデザインとされている

☆Gisaka王国文化(おまけ)
・ウルヒンビと呼ばれる壁に備え付けのテーブルには、牛乳の入った壺がのっています。この牛乳には下の写真のようにして香りのいい木で焚き、燻製の様な香りづけがしてあります。Gisakaでは、お客様のおもてなしとしてそのように行っているそうです。

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また、牛乳がよく取れるGisakaでは、下の写真の壺を2時間ほどゆすり続けることで、手作りのバターも作っていたようです。

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☆イミゴンゴ作り体験
こちらの工房にてどなたでもイミゴンゴ作りを実際に体験することが出来ます!最後には伝統的なおもてなしも受けられる工房訪問のお問い合わせはこちら↓

メール
imigongoanywhere@gmail.com
インスタ
https://www.instagram.com/imigongo_anywhere/
Facebook
https://www.facebook.com/imigongoanywhere
加藤雅子宛
(加藤さんにはコロナについてのお話も伺っていますのでよかったらこちらから読んでみてください!)


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