クリアランス・ブルー
やわらかくて、やさしくて、あたたかくて、おだやかで、まぶしくて、きらきらで、君があおが好きな理由が少し分かる気がする。あおい、それは幼い僕達の罪の鮮やかさを表していて、青春なんて貼り紙がある所為でそれを体験出来なかったら有っても無くても良い存在に 時間に なってしまう。あおい、海の欠片を君がすくい上げたその手の中に、どれだけ僕は乱反射しましたか。僕の頭痛がする度に、君の鮮やかな言葉がガラスの破片の様にちかちかきらきら輝きます。頭を強く打ったみたいに、大きな衝撃をもった君との出会い。実際に頭を強く打ったのかとかはどうでも良くて、君がその虹彩に写した君のあおが僕の胸も、頭も、指先も、爪も、鼻腔も、三半規管も、胃も、十二指腸も、海馬も、痛覚も、全部穿っていった。発狂したみたいに脳は全神経に信号を叫んだ。だってそのあおには僕のあおがあるよ、って言ったみたいな、君の言葉があったのです。まだ幼かった僕のあお。君が震える声で呼んだのは僕の名前。僕が皮の剥けた拳で殴ったのは君の喉。ずっと、ちかちかしている。一切を忘れてはいないし、忘れる積もりもないし、一生憶えて生きて往くけれど、君の瞳が憶えていたのは僕のあおで、同時に君のあおが混ざっている。混在した僕達はいつか二人のあおいろの何かを産み落とし、きっと僕達はあおいねえ。って呟いて顔を寄せるのでした。
やわらかくて、やさしくて、あたたかくて、おだやかで、まぶしくて、きらきらで、あいしてる。お互いのあおとあざを共有して、抱えて、握って、お互いの心臓を口から注いで、僕の心臓は君の手の中でやんわりと握られて居て欲しい。あおい脈拍をあげ合って、憂慮とか欺瞞とか猜疑とか、忘れよ?、、バグとかじゃなくて悪い夢だったって獏が云うから。だいじょうぶなんかじゃなかったのにだいじょうぶにするのがあおだから。だから僕達はあおいそらがあまりに戀しい。だって今日も、明日も、昨日も、ひと月前も、あざを創ったあの日も、生まれた時も、僕達はあおにつつまれていたんだから。
【<br >】――――クリアランス・ブルー
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