これが私のファイトソング

気づけば東京も2年目になっていた。
時間が過ぎるのは早いとわかっていても本当に置いていかれそうになる。けれど置いていかれそうになるのは時間だけじゃなくて、自分の成長速度もなんじゃないかと思うことが増えた。

大学の同期のほとんどは春から新入社員。
東京に来てくれる友達がいることは嬉しくもあり、正社員として研修期間を奮闘する彼らを嫌でも比較対象としてみてしまうこともあった。

ある人には比較したって仕方がないじゃないかと言われた。あなたと彼らじゃ目指しているものが違うのだから。
わかってるんだよな、そんなことは。自分で決めた道ですらもう恨んでしまいたいこともあった。結局嫌になって彼らと同じ道を歩まないのは負けたくないからか、自分を嫌いにならないためか、まだやってやると心に灯した火が消えていないからか。

支えにしている言葉は少しずつ増やして、忘れないように記録している。振り返っては前を向けるだけの材料にするため。
母からの手紙。小説のいち台詞。小説家のエッセイから取る1行。
嫌になったことがある分、それらも増えていく。が、やはり本の虫には詩的なものが刺さる。


X(旧Twitter)のタイムラインに出てきたポスト、わざわざ画像をタップして保存までした。雑多な情報が上から下まである中で目に留まって、ちゃんと声に出して読んだのはきっとその時に1番必要だった言葉だったからだろう。

歌人木下龍也さんの『あなたのための短歌集』より




この短歌が書かれた書籍まで調べて本屋にも足を運んだ。まだ購入はしていないが、その時はきっとこの短歌に支えられたいときだと私は知ってる。絵の具を水に溶かすように。どれだけ濃い色も薄まって馴染んでいくように、心の奥底が満たされていくのを欲しがるのは遠くない未来でも構わない。また落ち込む夜は来るけど、私には口ずさめる歌があるから強さを振り絞れる。

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