『コンテナ物語』は本当に面白いのか
『コンテナ物語』はコンテナの発明が、港湾の事業や世界の貿易、そして発明した男の人生をどう変えたかをかなり細かく記したノンフィクション。ビル・ゲイツやひろゆきさんがおすすめした事で有名となった。
ひろゆきさんは、人におすすめする本を選ぶ時の基準として以下の5つを挙げている。
ビル・ゲイツは「どんなモノやコトがイノベーションを起こすか分からない、ということを痛感させられる」的な事を述べている。
コンテナ物語の一番大きなポイントは、皆が全く意識していない鉄の箱であるコンテナが輸送のコストを大幅に下げた結果、現在のグローバル経済が産まれた、という部分だ。
Aliexpress→SHEIN→Temuに連なる中国激安ECが、数百円の商品を日本へ配送できているのも、コンテナのおかげだ。
かなり分厚い本で、そのほかの部分は発明者がライバルと争っていたり、アメリカの港町が利権を守るためぐちゃぐちゃしたり、というお話が続く。
世界を変える素晴らしい発明をしたにも関わらず、応援されるどころか、多くの邪魔が入って色々と面倒なことになり、さらに規格争いとかが起きて一番の肝である効率性が脅かされたりする。これは、どの国や業界でも同じなんだなと思い知らされる。
そしてこの部分がつまらない。港湾や輸送に関する専門用語や固有名詞が多く、何が起きているか分かりづらいということもある。私は英語で読んだから、特にその部分が読んでいて辛かった。物語というより、資料である。
最近、自分が好きなジャンルはSFであり、ぶっ飛んだアイデアを楽しんでいる、と理解している。そこに当てはまらなかったのかもしれない。
というわけで、一応一通り最後まで読んだけど、果たして面白いかと言われると微妙な所だ。「何が世界を変えるか分からない」「見知らぬ業界でも人々は頑張っている」「頑張っている人を邪魔する利権や政治は常にいる」といった学びは確かに多い。
この本を買いたくない人は、岡田斗司夫のYouTube解説か、コンテナ発明者マルコム・マクレーンのWikipediaを読むと良いと思う。
Amazonだと本もKindleも3,000円位、中古品も2000円超え。メルカリなら安い掘り出し物もあるっぽい。
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