マーケティングについて学ぶ⑦
●プロダクト・ミックス
企業は、製品を製造する際、どのようなカテゴリーの種類の中で、どのような製品を、どれだけ製造するかについて考えます。根拠なく、ただ単に製造することは利益を上げることに注力しておらず、戦略が重要であるマーケティングとはいえません。
どうすれば最も利益を上げられるか考えて製品を取り揃える(製造する)ことを最適プロダクトミックスと表現します。利益を最大化させるための具体的なマーケティング目標を達成するために最適なプロダクトミックスを検討します。
認知度を広げる → 幅広いラインで市場の広いニーズに対応する
ブランド力を上げる → アイテムの深さで特定のラインを重点的に狙う
市場占有率を上げる → ラインもアイテムも少なくし低価格を実現する
具体的な最適プロダクトミックスを算出することにより以下のことが明らかになります。
・現在の生産能力範囲内での限界収益を最大化するための数量
・アイテム別収益貢献度を明らかにする
・出荷できる生産アイテム・数量の組み合わせを明らかにする
●新製品開発のプロセス
新製品開発のプロセスは、おおむね4つのプロセスから成り立ちます。
第1段階:製品コンセプトの開発
第2段階:戦略仮説の検討
第3段階:製品化
第4段階:市場への参入
4つのプロセスの中でもまず第1に行うのが、製品コンセプトの開発です。通常であれば製品があって初めて事業が行えると考えるものですが、それよりも先にコンセプトを決めるということが、マーケティングの本質です。
大量生産、大量消費のマスマーケティングの時代は終わっています。技術の進歩により多様化するニーズに応えるには、誰にでも喜ばれる製品よりも個人が喜ぶ製品を作らなければなりません。特定の市場で最も効果的に利益を上げる(最小コストで最大利益を得る)ことを可能にする手段が求められます。近代マーケティングの大前提である、特定のニーズに対応した一貫性のあるマーケティングを実現するためにも、製品コンセプトをまず第1に開発します。
各プロセスを細分化した具体的な行動は、以下の9つのステップになります。
第1段階:製品コンセプトの開発
・製品アイデアの開発
自社のシーズ(強み・技術・ノウハウなど)と顧客のニーズ(悩み・願
望・解決策など)の2つの方向性をヒントとしてアイデアを出します。
・アイデアスクリーニング
アイデアに優先順位をつけ、より成功確率の高いものに絞り込んでいきま
す。優先するアイデアの判断基準として、経営理念や戦略ドメイン、経営
資源、経済性、市場性、実現性、あるいは採算の目処などが挙げられま
す。
・製品コンセプトの開発
スクリーニングによって精査されたアイデアを、より明確なコンセプトと
してまとめていきます。誰に、どんなベネフィットを与える商品なのか?
ということを明確化し、最終的には顧客が実際に使っているところまでイ
メージできるようにします。より具体的でイメージしやすいコンセプトに
仕上げることを目標とします。
第2段階:戦略仮説の検討
・マーケティング戦略検討
市場や顧客に対してどのように価値を提供していくのか決めます。具体的
には、ターゲティング、ポジショニング、マーケティング目標を明確にし
たあと、詳細なマーケティング・ミックスや予算についても検討します。
・事業経済性分析
製品コンセプトが技術的に実現可能か、予想売上高や原価、利益について
の予測を立て、その製品で採算がとれるかどうか検討します。技術面と収
益性の面で事業性を判断します。また、自社の経営目標に合致するかどう
かも考慮する必要があります。ここで事業として成立しないと判断される
場合は、もう一度コンセプトの段階から練り直します。
第3段階:製品化
・製品開発
実際に製品・サービスの設計に取り組み、製造します。本格的に製造する
前に、試作品を作り、安全性や耐久性、などをチェックします。また、顧
客へのリサーチにも活用します。試作品の段階で十分に合格だと判断され
れば、大量生産するための工程、設備、ノウハウなどの整備を行います。
・テストマーケティング
完成品が市場に受け入れられるかどうか判断するために、小さな市場でデ
ザインやブランドあるいはパッケージングなど細かい部分について顧客か
らどのような反応をされるのかテストします。
第4段階:市場への参入
・新製品の市場導入
大枠のマーケティング計画に従って、個別の戦術を立てながら、より効果
的にプロモーションを行っていくことが重要となります。顧客からのフィ
ードバックを定期的に行い、計画そのものを常に見直す姿勢を忘れないこ
とが大事です。
●製品ライフサイクル(PLC:Product Life Cycle)
製品が市場に導入されてから撤廃されるまでの周期のことをPLCといいます。導入期、成長期、成熟期、撤退期から成り、PLCを把握しておくことにより、各時期によって最適な戦略をとることができるようになります。PLCの時期に合わない戦略をとってしまうと、無意味な戦略になりかねません。なぜこの時期に、このような戦略をうつべきなのか?を常に考えることが重要です。
・導入期
新製品が開発されて、市場に投入された直後の期間です。市場が未発達で
あるため、新製品に対する優位性や既存製品との差別点をアピールするな
どの活動が必要となります。マーケティング戦略としては、認知の向上、
市場の拡大、革新者をターゲットとするなどがあります。
・成長期
新製品が認知され、市場に浸透してくる時期です。成長期に入った直後の
売り上げはまだまだ低いままですが、時間が経過するとある時期に急激に
売り上げが増加します。販売費や営業費などのコストもかかるようになり
ますが、売り上げの急上昇に伴い利益もプラスに転じます。顧客のニーズ
がより具体的になることもあり、セグメントやターゲットごとに、需要に
即した製品へと変化させることが大切です。マーケティング戦略として
は、市場浸透、ブランド化、大衆をターゲットとするなどがあります。
・成熟期
製品が一通り浸透して、需要が落ち着く時期です。市場規模は依然高いま
まです。他社との競合が一段落し、シェアの維持が求められます。マーケ
ティング戦略としては、シェアの維持、ロイヤリティの向上、大衆をター
ゲットとするなどがあります。
・衰退期
需要が減少していく時期です。売上高が減少し、利益も減少していきま
す。採算性を考慮しつつ、撤退するか、継続するか判断します。市場から
撤退する企業が増し、市場規模も小さくなっていきます。マーケティング
戦略としては、生産性の確保、ラインの縮小、保守派をターゲットとする
などがあります。
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