マーケティングについて学ぶ⑥

STP分析 具体例

①スターバックス

・セグメンテーション
 ・切り口・・・ジオグラフィック変数、デモグラフィック変数
  ・勤務エリア:大都市、地方主要都市、それ以外の都市部
  ・社会的地位:役員、役職者、平均年収以上のサラリーマン
  ・職業:会社員、専門職、デザイナー等

・ターゲティング
  大都市で金銭的に余裕のあるオフィスワーカー

・ポジショニング
  高くて美味しいコーヒーをおしゃれで高級感のある空間で提供する

セグメンテーションが市場を細分化することで、セグメントが細分化された各市場という前提で、セグメントは”市場を構成しうる要素”として捉えた方が理解しやすいです。

セグメンテーションを理解するためには、まず市場について理解する必要があります。

市場とは、製品やサービスを購入する見込みのある個人や組織の集まり。

・どのような場所で
・どのような人が市場を構成しているのか?
・どのような製品・サービスを
・どのような時期・頻度で
・どのようにして購入するか?

市場について理解した上で、ジオグラフィック変数とデモグラフィック変数を用いたカフェ市場のセグメンテーションを考えてみます。

カフェ市場

ジオグラフィック変数
 → 都市部、田舎、郊外
 → オフィス街、住宅街、飲食街、センター街

デモグラフィック変数
 → 会社員、フリーランス、学生、主婦
 → 平社員、役員、取締役、アルバイト、派遣社員

上記の例は、全て”市場を構成している可能性のある要素”です。

スターバックスは、ターゲットを大都市で金銭的に余裕のあるオフィスワーカーとしました。具体的なペルソナに当てはめて戦略を練ることができそうなターゲット像です。ターゲティングの最終目標はこのようなターゲットを絞り込むことですが、なぜそのセグメントを選んだのかには必ず根拠が必要です。そうでないとセグメンテーションの意味がありません。

その根拠1つ1つが”ターゲット”という考え方で、セグメントを決める根拠になるもの。という理解をした方が一貫性を持ったSTP分析になります。

つまり、”ターゲティング”という過程では、各セグメントにおいてターゲット(セグメントを決める根拠)を抽出することが最も重要であり、大部分を占めています。

②ユニクロ

・セグメンテーション
 ・切り口・・・サイコグラフィック変数
  趣向:カジュアル、フォーマル、トレンド、ベーシック

・ターゲティング
  カジュアルでベーシックな趣向を持つ人

・ポジショニング
  ニーズへの対応が迅速かつ的確で大量生産を実現する

ユニクロは、セグメンテーションを行う際、「服飾ブランドとして自分たちが持っている強みを生かす」ことを重視しました。ユニクロは、SPAシステムで消費者のニーズに合わせて商品の生産を柔軟に対応できるという強みがあり、売れるものが分かったら即座に大量生産できます

この強みを生かすために、どんな顧客層なのかについて焦点を当てるのではなく、生産する商品、つまり何が売れるのかについて焦点を当てることでマーケティングに成功しています。

セグメンテーションの視点

セグメンテーションの視点として、ニーズとウォンツを区別して考えることでより意味のあるセグメンテーションになります。

例えば、飲食店市場をカレー、ラーメン、牛丼、うどんでセグメトを切ったとします。この場合、カレーは辛い物が食べたいというニーズを満たすウォンツとなります。

実際のセグメンテーションでは、ニーズとウォンツを行き来して考えることが重要です。そのセグメントはニーズなのかウォンツなのか、ニーズであればウォンツになりうるものな何なのか、ウォンツであればニーズは何なのかをしっかりと考えましょう。

ターゲティングの視点

ターゲティングの視点として、標的市場選択の5パターンを考えてみます。

セグメンテーションの結果、市場A、市場Bおよび市場Cにセグメントを切ったとします。自社の既存製品①、製品②および製品③をどのような市場に投下していくか考えます。

パターン①:単一セグメントへの集中
 例えば、製品①を市場Aで売る場合、リソースを集中でき、成功すれば最
 高効率となる一方で、リスクは高いです。

パターン②:選択的専門型
 製品①は市場Aへ、製品②は市場Bへ、製品③は市場Cへ売るというリスク
 ヘッジ型のパターンです。リスクの分散がメリットです。

パターン③:製品専門型
 製品②を市場A、BおよびCで売るパターンです。開発リソースを集中さ
 せ、広く売っていくことができますが、代替品が登場した場合のリスクが
 高いことがデメリットです。

パターン④:市場専門型
 製品①、②および③を市場Cで売る場合、ある特定の市場に集中して、そ
 こに複数の製品を投下することにより、特定の市場で絶対的な評価が得ら
 れる一方で、顧客の変化に振り回される戦略です。

パターン⑤:フルカバレッジ型
 すべての製品をすべての市場に投下する戦略です。大量生産で生産コスト
 を抑えることができますが、現代は個の時代であるため、1人1人のニーズ
 のあったものを作ったほうが売れます。

マーケティング目標と照らし合わせて、自社のマーケティング戦略はどうすべきか、どうあるべきかを様々なパターンを基にして最も効率的な策を考えていきます。

ポジショニングの視点

ポジショニングの視点として、知覚マップを用いる手法があります。知覚マップとは2軸を基に、競合と自社の立ち位置を2次元的にグラフ化することです。

軸の設定は、顧客が何を求めているのか見極めて設定します。この際、2軸までにしておくことで顧客に知覚されやすくなります。(人の性質として、特徴を知覚するのは2つが適当であるとされています。3つ以上になると逆に知覚されにくくなります。)

知覚マップでは、違いに着目したポジショニングになりがちですが、本来のポジショニングは"自分たちの製品をどのように顧客の心に位置付けるか"を考えることであるため、知覚マップを使い、独自の明確なコンセプトを打ち出すことを最終目標とすべきです。

そして、自社のメッセージを顧客に理解してもらうためには継続性が必要です。そのためには一貫したコンセプトとメッセージを伝え続けなければなりません。さらに、これを顧客が元々持っているイメージに結び付けることで、理解されやすくなります。"なぜその人がその商品を買うのか"に立脚したメッセージを考えることで、顧客側もより理解しやすくなります。

STP分析をより深く考えることで、その後の戦術がより具体的になり、効率的なマーケティングができると考えられます。

どの分析手法にしても、常にWhyを考えることが大事です。そして、そのWhyには、自分の体験から生まれた問いを基にすることでより具体性が生まれてくるものだと思います。顧客側に立って考えてみる。誰が喜ぶのか?自分の場合は?常に自分事として捉えることが重要です。

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