マーケティングについて学ぶ⑫
・ブランドの拡張
ブランドの拡張とは、ある製品で確立されたブランドを他の製品やカテゴリーにも転用することです。メリットとして、既にあるブランドを使用することによって大幅な経費の削減につながります。
ブランドの拡張のポイントは3つあります。
①ブランド拡張がプラスの効果を生むか、マイナス要素はないか
②ブランド拡張によって、既存のブランドを補強するか、悪影響はないか
③他より最適なブランド拡張機会はないか、製品カテゴリーは最適か
これら3つのポイントを意識して実行していくことが重要ですが、既存のブランドからのその周知性、信頼性などの恩恵を得ようと、闇雲にブランドを拡張させてしまえば、思わぬ利益を被ってしまう可能性があるため、ブランドを拡張する方向性について検討する必要があります。
・ブランド拡張の方向性としては、以下のパターンがあります。
・同じ製品の異形態への拡張
・独自原料や成分を利用した拡張
・使用シーンやカテゴリーを軸とした拡張
・同一の顧客ターゲットを対象とした拡張
・スキル、ノウハウ、ナレッジを転用した拡張
・便益や特徴を生かした拡張
・イメージからの拡張
ただ収益を上げることだけを考えるのではなく、既存のブランドを活用していかに事業を拡大できるかを念頭におかなければなりません。
ブランドの持つ影響力をこれまで以上に高めることで、より効率的に利益を上げることができます。
ブランドを浸透させる手段としては、以下のパターンがあります。
・継続的な広告
・PR活動
・キャンペーン
・WEBサイト
・イベント
・顧客主体の情報配信 ← 近年の傾向
以上のような手段を用いて、ブランドを浸透させていきますが、広告やPRによって顧客にプラスのイメージを与えたとしても、必ずしも大衆の意見を反映しているとは限りません。実態は口コミによってマイナスのイメージが蔓延している可能性もあります。そのため、顧客に正しいブランドについての理解と、等身大のイメージを持たせることが重要となります。そのために用いられるのが、ブランド・ステートメントです。ブランド創設の当初から考えられているブランドのミッション、価値観、ポジショニングなどを明文化したもので、ロゴ、コピー、理念、価値観などが記されています。さらに、社員やステークホルダーに対して、自社の理念や提供する価値などを浸透させるインターナルブランディングを行うことによって、個人単位での情報配信が盛んになっている近年、全社員がブランド広告塔になることができます。そして、当事者意識を持ち、発信していくことが重要となります。
・コーポレートブランディング
時代の変化に合わせて、顧客の需要も変化します。そのため、企業は時代の変化とともに方向性やブランドを柔軟に対応させていく必要があります。企業の理念やビジョンをブランドに織り込みつつ、社員、顧客、ステークホルダーに浸透させていき、社会に対して提供できる価値をよりよいものにしていきます。
・Corporate Social Responsibility:CSRを活用したブランディング
CSRとは、企業の社会的責任のことで、企業はただ利益を追求するだけでなく、その活動の中で社会に対しても責任を果たしていかなければなりません。ステークホルダーの要求にも耳を傾け適切に意思決定を行うことが求められます。そして、CSRによって高まった認知度や信頼度をコーポレートブランディングへと転換させることで、企業イメージの向上につながります。CSRを活用したブランディングには、受動的CSRと戦略的CSRがあります。受動的CSRとは、社会的な問題を解決することで、受動的に顧客やステークホルダーから支持を得ることです。戦略的CSRとは、社会的な活動を戦略の一部ととらえ、競合他社との差別化を実現するために活用することです。日本では単なる慈善事業と捉えられがちなCSR活動ですが、戦略的なCSRでは企業そのものを成長させるための施策として捉えられます。
具体的なCSRの例は以下のようになります。
・有害物質の削減
・環境に配慮した製品の開発
・資源の有効利用
・水の寄付
これらの活動を広告宣伝やイメージ戦略の一環として行い、長期的な投資として活用することが、戦略的CSRです。
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