自分が書いていきたい物語って

 どんなものだろうって考えた時、いつもイメージに浮かぶのは「針に糸を通す」姿です。

 今、創作ってすごく細かくジャンル分けされていますよね?

「現代劇」「ファンタジー」「SF」「ラブロマンス」「社会派」「ホラー」「災害もの」「難病もの」「アクション」「冒険譚」「ポルノ」「歴史もの」「コメディ」…

 また、作品の対象も「大人向け・子供向け」とか「女性向け・男性向け」などのようにはっきりしていることが多いですよね。

 これ自体はいいことだと思うんです。物語を選び、読む側からすれば「事故」が減りますからね。一番極端な例ですが子どもが何の基準もなく選んだ結果青年向けポルノに出会ってしまったらやはりまずいわけですよね。怖いのが苦手な人が強引にホラー見せられるのもよくないですし。書く側としても、しっかりジャンルがわけられているからこそ書きやすかったりしますし、出版する側とかレビュワーからしてもジャンルがはっきりしているということは「これ、どんな話?」と説明しやすいということでもあるでしょう。noteやカクヨム、小説家になろう、pixivのように創作サイトが定番化した時代にはジャンルがしっかりしていることで検索がしやすいというのはとても大きいですね。

 ただ、「これ『だけ』でいいんだろうか」という思いがあります。読者がこういうものを読みたいと思って、その通りに探せる環境があって、その通りの物語を得られる。いいことなんですけど、個人的にはそこに「事故」がなさすぎるのもなんか違うと思います。

 話は変わりますが自分は10代まであまり映画を見ませんでした。家にVHSがあったディズニーミュージカルぐらいだったろうと思います。それを見るきっかけになったのは深夜のテレビでたまたまやっていた「アメリ」の、家の壁に空いた穴から箱を見つけるシーンで、その映像の今まで見たことない感覚にやられ、これは一から見なければとそのあとDVDを借りて見たのがきっかけでした。

 今言ったような「事故」もいいよなぁって思いませんか?。ですから自分から新しいコンテンツの世界に飛び込むようにしたり、創作の中に「事故」を起こしたくなるんですね。(余談ですが、僕はコンテンツの感想として「思っていたのと違う」を無条件のネガティブワードとして使うのが好きではありません)

 とはいえ、なんか適当に事故を起こしたらただの炎上ですよね。ラブロマンスです!と銘打ってホラー書くとか、子供向けと銘打って思いっきりだめなやつを出すとか、そういうことが許されないのは自分にもわかります。ただ、いい「事故」を起こしたいんですね。いい事故というのは、うまく言えないけどある程度期待にも答えつつ、その先に違う光景を見せられるということではないでしょうか。

 で、最初に戻るんですけど、ジャンルにある程度そいながら、そのジャンルをいい意味で裏切るいい「事故」を起こす創作のパターンって、ものすごく狭いだろうなと思うんですね。それこそ、針に糸を通すかのような。なので、小説を書くときはいつも針に糸を通すようなイメージを持って書いています。まだ、自分がそれをできているとは思えませんが、もしできた時には、お読みいただけた皆さんにいい「事故」が起こって、今まで自分とつながらなかった世界とが物語という針と糸でつながればいいなと思います。ただ、こういう考えからかなかなか自分の作品を説明したりジャンル付けできなくて、宣伝がうまくいきませんが(苦笑)


余談ですが、今回語っていたことも含めて考えた小説をnoteにも掲載しましたのでお読みいただければ幸いです。

https://note.com/hyuugahikage/n/nd016d7840d0d



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