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タイ

旅の目的

「新しい水と人の付き合い方を探して」

今回旅の目的は、タイとカンボジアにいき以下の3つとする。

・自然な人と水との関わりによって生み出された生活様式や習慣を感じ、知ること。

・日本でも本質的な水辺の再生をするために水が人々の暮らしに密接に結びつき、豊かな生活文化を体験し、都市、建築の視点から調査すること。

・水路、道路、宗教施設、住宅地、商業地といった都市構造と、民族、宗教、階層、職業といった社会構造を結びつけながら水と密接に結びつく空間がいかに形作られ、どのように住宅を集合させて全体を形づくりその中でどのような暮らしが成り立っているのかをみること。

2つの視点

以上の目的からタイを見る上で欠かせない視点を記す。

○1つ目は、水辺の環境づくりから、タイ人と住まいと変遷を考えること。
タイでは、多種多様な民族がタイ人へと同化して住宅のスタイルが変遷した。それを見ていく。タイでは、モン族、タイ族、クメール族、漢族、マレー族、インド族など異なる民族が支配や共存してきた。

一部は、高床式の共通があるが住まいのあり方はその場の環境に応じて変化している。水を中心としながら大都市における多種共生をいかに実現するかは日本における都市課題とも結びつく。

○2つ目は、水辺に展開するまちの暮らしと信仰の関係を探ること。

タイは、水の側に顔を向ける仏教、道教、ヒンズー、イスラムなどの寺院を中心として個々に集落やコミュニティーを作り出している。

とくに、タイの仏教寺院は信仰の場以外にも修行や儀式、祭礼、墓地、学校として機能する。
水辺には小さな祠がたくさん点在し水と信仰、人々の暮らしが深く結びついている。

その中でもムスリスは、地区家族共にイスラム信者の統一感が強い。水路が埋め立てられた場所でさえ残された寺院や祠が住民たちや街の空間に記憶としての水を甦らせる。
このようなまちや建物の空間の把握をベースとしながら民俗学的な視点を持って考察を深めることがタイの水文化を知る上で大切な視点となるはずである。

地区の空間構造から住宅の構成、
暮らし方を連続的にみて相互の関係を読み解いていく。

タイ中部は、どの都市でも水辺の住宅の多くは高床式であるが水辺環境や家族などの条件が個室化を拒み増改築に対応しうるやわらかな空間の住宅を生み出した。

1.タイ中部の住宅のあり方

・水との闘いと共生により繰り返し
タイ中部の住宅

タイの伝統的な住宅は、木造高床式住居である。その中でもとくに伝統的なのがバーンソンタイである。
熱による対流を考慮して天井を高くできる切妻屋根とスコールから家屋を守るための1mくらいの庇が特徴的な住宅である。

屋根は、空に向かって反り美しい飾り破風が象徴的である。

屋根は、かつてはイネ科のカーヤーが葺かれていたが最近はトタンである。
住宅は、一般的にバンダイ(階段)→チャーン(屋根のない移動のための空間)→ラビアン(庇下の空間)→ホンノン(寝室)の順におくにいくにつれて私的空間の度合いが増していく。

バンダイ→チャーン→ラビアン→ホンノンへと繋がる

チャーン、ラビアン、ホンノンは機能と空間のあり方が固定的ではない。

地面と床はバンダイでつながる。
階段下が水際であれば水上に小さな屋根を架けて床を張り、休息や談笑食事など居心地の良い空間を作り出す。

バンダイを登るとチャーンに出る。
チャーンは、屋外広場や中庭、屋根のない空間である。
棟と棟との移動につかわれ、異なる空間を接続するための場。
いわば人工地盤である。

洪水の際には、人間と建物の地盤面が不安定な風土のもとでは不可欠であるのだ。

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