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【健全時】MBTI分析から迫る、『デジモンアドベンチャー』16話で八神太一が暗黒進化させた理由と『デジモンアドベンチャー02』の本宮大輔が暗黒進化させなかった理由【不健全時】

本来ならば今日は『デジモンワールドRe:Digitize Decode』のMBTI分析を行おうとしたのですが、ちょっと寄り道してMBTIから『デジモンアドベンチャー』『デジモンアドベンチャー02』の暗黒進化について考えてみます。
現在『デジモンアドベンチャー』のYouTube配信がちょうど紋章を介した完全体進化の2クール目後半に差し掛かっているのですが、やはり今でも語り草となっているのは16話のスカルグレイモンへの暗黒進化でしょう。
このエピソードは決して「最初の作品だから」だけではなく「暗黒進化とは何か?」についても明確に提示していて、ポケモンにはなかった「負の進化」というものがヒーロー側にも起きることを示したものです。
今風に言えば「闇堕ち」という概念に近いのでしょうが、ほとんどの作品だと「ひたすらに強さを渇望する」とか「未熟さが暴走した結果」とかで暗黒進化しますが、無印太一の暗黒進化は一味違います(悪い意味で)

というのも太一の暗黒進化は「感情」の暴走ではなく「理論」の飛躍で暗黒進化していて、そこが啓人や大兄貴ら大輔以外の暗黒進化したテイマーと違ったところでございましょうか。
16話はとにかく今でも酷い話で、普通ならESTPと相性がいいはずの私ですら、この話で太一を大嫌いになってしまったというのがありますが、それも含めてもう一度考察してみましょう。
太一は勇気の紋章を手に入れたことで浮き足立っているのと同時に現れたエテモンという完全体を前にどうやって成熟期の更に上の段階に進化させるかしか頭になく、アグモンをはじめとした周りの気持ちを全く無視しています。
これらは具体的に光子郎と空が回想シーンで口にしてくれていました。

光子郎「太一さんって、クラブのときとか…僕たち後輩にやさしかったんですけどね」
空「太一ってひとりで突っ走るタイプに見えるけど、あれでけっこう周りの状況を冷静にみてるんだ…それが今は…紋章を手に入れてからの太一…なんだか人が変わっちゃったみたい」

いやまあ実際一人で突っ走ることも多々あるし無茶も多いんですけど、器用さと洞察力というか「野生の勘」みたいなものがあるので、結構図太い性格しているんですね。
そんな彼がいわゆる「ノットセルフ(不健全な時の自分)」になった時に全て裏返しの短所になって現れているわけで、これを「ESTPの欠点」として考えると納得できます。
こちらにESTPタイプの特徴・欠点・不健全時に取りやすい行動がまとめられているので引用してみましょう。

<欠点>
じっとしていることを強要されるとイライラする
大抵の人間が躊躇することも、納得すれば実行
厚かましい態度や礼儀知らずな態度で、他人を不快にさせることがある
ご都合主義的な着想に基づいた考えで、ひねくれた意見を持つことがある
物事の危険性や過小評価してしまうことがある
やりかけのまま放り投げてしまうことがある

<不健康時に取りやすい行動>
狂躁、不安や動揺にかられる、自信過剰、誓約嫌い、威圧的、集中力がなくなる、衝動的になり身を持ち崩す、危険な行為に身をゆだねる、独自の理論で判断し周囲を扇動する

まさに16話の太一はここに書かれている特徴通りの行動を取っていて、特に「威圧的」「不安や動揺にかられる」「危険な行為に身をゆだねる」「独自の理論で判断し周囲を扇動する」などはもろにこの話で露見しています
これがESTPの恐ろしいところであり、天然のカリスマタイプという意味ではENTJ(指揮官)とも似ているのですが、何が違うのかというと不健全になると一気に周りをイエスマンとして従えてしまいがちなんですよね。
実際、他の全員分の食糧を無理矢理ぶんどってアグモンに食わせ、周りはそんな太一の暴走に何も反対意見を言えずイエスマン化してしまっており、とにかく「進化させなきゃ」という不安と焦りに駆られてしまっています
光子郎が言っていた条件の1つ「パートナーが危険に陥った時に進化する」を本質も理解せず勝手な自己解釈で独自の理論にしてしまい、更にわざわざ危険な中に突っ込んで超進化を誘発させようとするのです。

何が恐ろしいと言って、光子郎が的確に進化の条件を分析しているが為に「さらなる上の進化を目指す」というゴール自体は間違ってないのが厄介であり、感情面の暴走じゃなくて論理の飛躍でこうなってしまいました。
太一には「理論的・あるいは論理的に正しければ、たとえ倫理的に問題があろうがやってみる」という傾向が良くも悪くもあって、それが良い形で働けばいい結果をもたらしますが、悪く作用すると破壊しか生まなくなります
実際太一が成長と進化の方向を間違えたらどうなるかというと『ドラゴンボール超』に出てくる破壊神ビルスのようになってしまう危険性はあって、勇気の塊みたいなESTPはこうなってしまいがちです。
ただでさえ太一は「厚かましい態度や礼儀知らずな態度で、他人を不快にさせることがある」という欠点があって、それが度々メンバーに対して現れる無神経な発言の数々に見て取れますしね(主な被害者は空)。

私はINFP(仲介者)なので本来であれば太一のようなタイプとは最高の相性になり得るし、実際ESTPの親友は学生時代にいましたが、太一とは違ってとても健全なESTPでした
だから同じESTPタイプと思しき「アドコロ」の方の太一とは仲良くなれそうな気はするんですよね、無印太一と違って無神経な発言はあまりしないし、どちらかと言えばパートナーの方に問題があっての暗黒進化ですし。

さてここでもう1つ考えたいのは、じゃあなぜENFP(運動家)の本宮大輔はそんな太一と違って暗黒進化しなかったのかという話ですが(ドラマCDのカイザー化はノーカン)、彼にも欠点がないわけではありません。
今度はENFP(運動家)の弱点や不健全時に取りがちな行動を引用してみましょう。

<欠点>
古いアイデアを忘れてしまうことがある
行動が過激になることがある
周囲の環境や自分の身体の存在を忘れがち
身体に負担のかかることを平気でしてしまう
先延ばし

<不健全時に取りやすい行動>
利己的、虚言癖、わがままに振る舞う、意見をコロコロ変える、自意識過剰、被害妄想、褒められる事への執着、気分の浮き沈みが激しい、関心を得るために周囲を惑わす、過剰に注目を集めようとする、管理されることに対する怒り、人のせいにする、酒におぼれる、集中力がなくなる、感傷的になる、退廃的になる、批判的になる、些細なことにこだわる

一見ESTPと似ているかに思われますが、大きく違うのはNF型なので「感情」を何よりも大事にしていることであり、だから大輔には太一のような「理論的・あるいは論理的に正しければ、たとえ倫理的に問題があろうがやってみる」というのはありません。
しかし、「行動が過激になることがある」「身体に負担のかかることを平気でしてしまう」というところは結果として太一と似通った無茶具合ではあるし、また「自意識過剰」「褒められる事への執着」「気分の浮き沈みが激しい」「過剰に注目を集めようとする」は序盤がそうでした
二重の記憶喪失だからとかを抜きにしても、序盤の大輔があまり好感度高くなかったのは太一との比較だけではなく、不健全時のENFP(運動家)が取っていた行動パターンであり、思えば『NARUTO』序盤のうずまきナルトにも散見された傾向です。
ナルトも実は大輔と同じENFPなのですが、とにかく自己承認欲求を満たしたくて何かうざったい行動・言動が目立っていましたが、前半の大輔もそういうところがありました。

だから、私は正直に言えば前半の大輔やナルトは苦手な部分もあったのですが、後半に入ると健全なENFPそのものである『ONE PIECE』のモンキー・D・ルフィのように物凄くどっしりと構えたしっかり者に成長していきます
後半、特にマグナモンへの進化で一気に究極体クラスに突き抜けてからは長所である「多角的視点」「本質を見抜く」「可能性を信じて挑戦」「多様性を擁護」「子どものように感じ大人のように熟考」「感受性が強い」が出てきました。
こうなってからのENFPはまさに「」の器に等しく、実際『未来戦隊タイムレンジャー』の浅見竜也もそうでしたが、試練を潜り抜けて真っ当に成長したENFPはESTPすらも凌駕する度量の大きな人物へと成長します。
それがいわゆる「神メンタル」と呼ばれる後半に成長していくのですが、面白いのは大輔に限らず主人公タイプのENFPは意外と闇堕ちしそうでしないことであり、そもそも闇堕ちする要素が見当たりません。

ENFP(運動家)が主人公の作品の場合は主人公が暴走や暗黒進化をしない分、周囲にそういう闇を抱えた人がいることが多く、例えばルフィの周囲は相棒のゾロを除くとナミ・ロビン・サンジ辺りは離脱を経験しています。
うずまきナルトも後半でどんどん成長してしっかり者になっていくのに相乗してライバルであるうちはサスケが闇を拗らせますし、竜也もやはり同じで自分にあまり問題がない分他の4人の宇宙人とライバル役に来る直人が問題大有りでした。
思えば「タイムレンジャー」はお隣の「02」と抱える要素自体は似ていて、家庭内問題で確執を抱えている、また物語の前半ないし後半でライバル的存在が立ち塞がるというところが似ています。
その上で主人公に闇堕ちの要素がない分周囲が心の病を抱えた奴らばかりというのは共通していて、『ONE PIECE』もやはりルフィよりもルフィ以外のメンバーに問題があるというパターンが多いです。

そして面白いのがENFPが主人公の場合、いわゆる「王の器」として描かれることが多く(だから一匹狼のISTP(巨匠)を唯一うまく使いこなせる)、ルフィなら「海賊王」でナルトは「七代目火影」、竜也が「浅見財閥の御曹司」で大輔は「ロイヤルナイツの始祖」がパートナーで自身も「世界一の実業家」です。
そういうところから分析していくと、ENFP(運動家)が主人公になった時点で最初からハッピーエンドが確約されているようなものであり、だからこそ「02」のみが歴代で唯一デジモンのジンクスから逃れることに成功したのかもしれません。
逆にいうと、ESTP(起業家)を主人公にした場合、道中はそれなりにうまくいっている様に見えても、「王の器」ではないからあまりハッピーエンドらしいハッピーエンドを迎えたことがあまりないんですよね。
そう考えると、やはり改めて「02」は決して無印の後付けではなく、むしろ「02」がなければハッピーエンドにならないのだということが今回のMBTI分析によりさらに裏付けられた気がしてなりません。


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