見出し画像

P.V.L日記 父子入院5日目 踵

5月6日

PVL(脳室周囲白質軟化症)から独歩をめざしリハビリ入院、
3歳児と父親が入院という名の合宿生活。
OTが9時15分から。PTが16時20分から。合間にレントゲン撮影。
三食介助、洗濯、入浴、公園遊び、買い物

息子の下半身には全体に緊張がある。PVLの症状で脳からの神経がそうさせている脳性麻痺である。そのせいで独歩ができない。5歩くらいでこけてしまう。(つま先立ちで歩き続けることをイメージすると解りやすいかもしれない)今日の診察では、その緊張があるにしては非常に上手に歩けていると伝えられた。実際に「つかまり立ち」の状態で移動するのはとても速くなったし、装具と靴を履いた状態であれば1分以上も立っていらるようになってきた。自宅を引越して、どの部屋でも「つかまり立ち」で移動できる状態に家具などを配置したのと、2歳の頃は、妻がパトカーの手押し車を押させて毎日散歩させていた成果もあると思う。


最近はハイハイがめっきり減ったが、3年数ヶ月鍛えた背筋力により、ハイハイのスピードは驚異的に成長してきた。身障者水泳教室の先生も、プールのへりで懸垂をやすやすとこなす3歳児を見て、背筋の隆々さに関心していた。




ただ、その足の緊張を緩めればもっと歩けるようになるかと言うとそうとも言えないのが、PVLの難しさだ。実は緊張状態を力の支えにして立っている場合もある。ボトックスという緊張を緩めるための注射もあるが、緩まってみれば支えることが困難になり、かえって歩き方が崩れることもあるという。




今、この足の緊張状態の割に非常に歩けているのは、正しい歩き方ではないにしろ、本人がバランスの取りやすいポイントを見つけているからだ。だから足のかかとの部分、特に右足のかかとの内側から左足側へぐにゃと崩れ気味になってきた。本人は腰を左足側に流して右足に体重をかけることがとても得意。それゆえの歪みである。壁伝いにカニさん歩きをする時は、左足から出して左へ進むのは上手だが、右足から出して右側に進むときは足がクロスしがちになる。

人間が立つバランスとは何と繊細なことだろうか。

これからPTでは緊張の特徴を把握しつつ、弱い筋肉=お尻や腰、土踏まずの部分などを鍛え、股関節など可動域の狭いところを伸ばしていくことになる。幸いレントゲン検査では背骨も骨盤にもずれや異常はなかった。

今日はセラピストに加えてドクター2名も参加されたので、大人に囲まれて、さすがに息子もつかれたのかすぐに寝入った。お部屋を消灯すると暗闇を恐がって泣くので、同室の方に承諾を得て仕方なく点灯してやると「すんません!すんません!すんません!すんません!」を連呼しながらしばらく泣いていた。その泥酔した会社員の土下座のようなセリフは、一体どこで覚えたんだよ。そして寝起きが抜群に良い息子は、明日も朝5時半に起きてくるのだろうか。5日連続で5時に起こされるのはさすがにつらい。(続く)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?