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18日目 ドリブルから始めよう

太りすぎてパンパンになったユニフォームを着て、家族でノエビアスタジアムに向かう。背中の「KAGAWA」のマーキングも若干横にびよーんとなっている。仕方ない。セレッソ大阪vs ヴィッセル神戸。大阪から神戸在住になって6年ほど経つが、応援するクラブは変わらない。最近、息子は「ヴィッセルもすきやから」などと言い出したので困ったものだ。ブレた気持ちを軌道修正するためにも都合がつくかぎりはスタジアムに連れていかねばならない。

この日は天気も穏やかだったので、ボールを持参して芝生広場で蹴る練習をした。脳性麻痺がある息子は脚が不自由ながら体を動かすことは好きなようで水泳や体操教室にも楽しんで通っている。ボール蹴りにも積極的だ。3月の手術後は10メートル程度しか歩けなかったのが、50メートルはいけるようになり、踏ん張って止まる、しゃがんで立つといった動作もできるようになってきた。

シュート練習をやってみようとすると、ボールを抱えて離れ始めた。どうやら選手入場からやるようである。無事選手入場を終えキックオフ。ボールに足裏が乗っかってしまい派手にひっくり返った。それでも泣かないのはえらい。「次はこけないくすりをのむからだいじょぶ」とけなげな発言。おもむろに薬を飲むものまねをして再挑戦。「歩きながら蹴らないで、一回止まってから蹴って、また歩きだすとよい」と伝えた。すると「止めて・蹴って・歩いて」を繰り返し、3タッチほどのドリブルができた。

もちろん成長ぶりは嬉しいし、自分の得意を活かして生きていけばいいと思うものの、ふと同年代の子のように全力で走ったりサッカーボールを追いかけたりする姿を見れないのが辛くなることもある。わかっていても辛いものだ。ただ、ドリブルを決めた後、ヒーローインタビューの小芝居を始めた息子をみているとそんなことはどうでもよくなった。

試合には勝てなかったが、息子にとってスタジアムはよい社会勉強の場にななっている。知らない大人とも話し、試合の状況に応じてチャントを歌って飛んで跳ねて応援。今日は親のもとを離れてサポーター友達のところで一緒に応援していた。お世話かけました。

ちなみに、今日のハイライトはコアサポーター密集地帯でピンクの帯幕を担ぎ、手を振り上げながら跳びはねていた妻である。ゴール裏も指定席になると席番によってはそうなる。妻は付き添いで来ただけなので「私なんでここにいるんや」という顔をしていたが、TPOに応じて全力で応援するあたりが、素敵な人である。

20230923

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