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P.V.L.日記 父子入院24日目 評価

PVL(脳室周囲白質軟化症)から独歩をめざしリハビリ入院、
3歳児と父親が入院という名の合宿生活。
13時50分〜中間カンファレンス。
PTが15時20分から。

5月25日(水)
息子の機嫌を損ねてしまったせいで、大事なカンファレンスの会話が全く頭に入ってこない。今後の治療とリハビリの方向性を考えるカンファレンスには医師、OT、PTが複数同席して動画撮影をしながら行う。親も含めてそれぞれがここまでのリハビリ入院での経過と評価を出し合い、これからの息子との向き合い方を検討する。

感染対策のため病棟のフリースペースが閉鎖になり、息子の遊びたい気持ちは連日高まっていた。今朝もしかたなく、8時半から病院の玄関の側にあるベンチエリアにプラレールを一式持ち出して遊んだ。そのあたりまでは良かったのだが。カンファレンスの直前に機嫌が悪く成り始めると厄介な頑固者の顔が現れる。

いびきをかいて寝たふりをし「わたし、しゅーりょーしました」「なにもしませんから」の一点張りである。普段食べさせていないプリンを持ってきて成果報酬の駆け引きを試みるが、交渉決裂。もう入院も25日目だ、無理も無いな。と思いつつもカンファレンスだけはちゃんと受けてくれ、と懇願する。

カンファレンスの結果、SDR手術は実施のための経過観察をしつつ保留となった。SDR手術は8歳頃までが推奨年齢であるのに対して、まだ3歳であることや、ITBトライヤルで投薬により下半身を緩めても、痙縮がそれほど落ちなかったことから保留の判断となった。下半身に強い緊張があるがその緊張も上手く使って歩いている状態でもあり、今手術で緊張を解いたとして歩行が改善されるかどうか判断が難しい。SDRは神経の切断手術だ。回避できるならそれに越したことはなく、日々のストレッチと通院リハビリで成果をあげたいところだ。実際にこの入院で足の運びや歩行姿勢は随分改善されてきたように思う。

カンファレンス後のPTでは、入院から帰宅後にできるストレッチ、マッサージを10種類ほど教えて頂き、写真撮影をした。退院時に施術マニュアルとして渡してくださるようだ。とても有り難い。成長による体重の増加や姿勢の変化で、足首や踵やハムストリングスにかかる負荷も大きくなるため形が崩れたり、筋肉の短縮が起こりやすい。3歳で少し歩けていても安心はできない。手術も保留の方針であるし、日々の家庭でのストレッチで筋肉の柔軟性や足首、股関節の可動域を確保していくことになる。毎日やるのは大変だ。段取りを追ってコツコツ積み上げることが苦手な私にできるだろうか。「宿題は最終日に徹夜でやる」タイプである。「家電は説明書を読まずに使い出す」タイプである。

夜になるとスマホが無期限ロックになり連絡の途絶えた妻から連絡があった。初期化を余儀なくされたスマホが「復元」できたらしい。バックアップの最新が去年の8月であるため、当然その状態までの復元である。しかし、神はいる。写真や動画のほとんどを「まごチャンネル」にアップしていたことが功を奏し、8月以降の息子の記録も手元に戻せた。「まごチャンネル」というのはスマホを持っていない祖父母に動画や写真を送信しテレビで鑑賞できるサービスである。でかした「まごチャンネル」。さらに入院前に故障した車の修理で関東まで陸送する見積もりが23万円になり絶望したが、徳島からフェリーに乗せれば何とかなりそうなルートを発見できた。全く、希望はどこにあるかわからないものである。(続く)


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