見出し画像

78日目 ふたば未来から始めよう

ほぼ徹夜で書き上げた原稿を送信して安堵したのも束の間、10時から福島県立ふたば未来学園高校で教育コーディネーターの研修と視察に向かった。震災と原発事故で閉校になった学校を統合し9年前に誕生したふたば未来学園は「変革者教育」を掲げ探究学習やアクティブラーニングを軸にした思い切った教育カリキュラムで注目を集めている。「変革者」が教育で生まれるのかという疑問はさておき、失ったものが大きい地域だからこそ「変革者マインド」を持った若者を育てたいという信念がある。ふたば未来学園が育成する「変革者」とは、どいう資質や知見のある人であるかを明文化して定義していた。阪神淡路大震災では地域支援のNPO組織が広がるきっかけになり、東日本大震災では教育系の団体が数多く起ち上がったそうだ。

学園の設備や校舎の設計意図を教わった後に、見学に歩くと校舎内に劇場があった。演劇による教育に取り組んでいて南相馬に移住した作家の柳美里さんとの作品が写真で掲示してあった。関西でもなかなか見かけない規模の立派な劇場に驚いた。演劇をやっていた人間から言えるのは、演劇はこの世界を見つめ自分自身と対峙することに一定の機能を果たすということ。欲を言えば、どんな授業をしているのかを観たかった。

午後は、学校に常駐して支援しているNPO法人カタリバのスタッフから、生徒伴走のレクチャーを受けた。ふたば未来学園が試行錯誤して積み上げてきた分析や仮説を共有していただけるのは有り難いことである。実際に探究学習の授業中の教室に行って自由に生徒と話せる時間もあった。私が話した生徒は地域食材で美容につながる商品づくりを模索していた。正直少し見ただけでは、よくわからない部分も多い。

夜は一駅向こうのJヴィレッジで懇親会。サッカー好きな私としては嬉しいチョイス。Jヴィレッジは震災時に支援拠点として活用され、福島第一原発から20キロ圏内にあるため避難区域になり全面閉鎖。全面再開したのは2019年4月のことである。日本代表の展時とともに震災時の記録も展時があった。Jヴィレッジは、もともと東京電力が建設して福島県に寄贈した施設だった。「浪江そば」も出てきた夕食が終わると、最後に施設内にある蹴球神社の御朱印を買って帰った。

そういえば、高校の玄関に「最近はまっている曲」を付箋で貼るプレイリストコーナーがあったが、私が知っていたのは「羊文学」の曲だけでそれ以外は一曲も知らなかった。

20231121

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?