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P.V.L.日記 父子入院25日目 心理

PVL(脳室周囲白質軟化症)から独歩をめざしリハビリ入院、
3歳児と父親が入院という名の合宿生活。
OTが9時から。PTが16時20分から。
臨床心理士による心理診が13時から。装具診が9時半から。
三食介助、洗濯、買い物

5月26日(木)
「おれは、おれや」。発達の段階を評価する心理診の質問項目に「あなたは男の子ですか、女の子ですか」という問いかけがある。その質問の意図とジェンダー的な二択の問題はここでは関係がないようだが、息子の返答が「おれはおれや」である。男の子は青、女の子はピンクに代表される文化的な刷り込みをしないように3歳まで育てて来た。「おれ」という言い回しは最近幼稚園の友達から覚えた流行語で、男という意味で使ってはいない。むしろ、リハビリの先生に対しては「わたしは」という場面も多い。息子がどこまで理解しているかは疑問だが、「おれは、おれや」という返事は最高である。心の中でサムズアップ。

ちなみに、私と息子の応援するセレッソ大阪のチームカラーはピンク。私のような腹の出た中年も堂々とピンクのユニフォームを着て街を歩いている。ジェンダー教育にはもってこいである。

心理士が作った積み木を真似してつくる動作や、喜怒哀楽がかかれた表情のイラストを問いかけに応じて指さす動作、数字を数える声、そのどれもが愛おしい。特に指さしは、PCに慣れない年輩者が一瞬フリーズしてから一本指でエンターを押すように「ぽん」と指す。息子のお頭の中で「えーと」と思案している声が漏れ出るように伝わる。私は、斜め後ろに座り親のバイアスがかからないようにただ黙って見ている。心理室のサーキュレーターの微風が心地よく、昼食後にすぐの診断だったことも相まって油断すると私が居眠りしそうになる。危ない危ない。

PVLの子どもに特徴的なのは、図形を描くことが苦手。認知力に不得意な部分があるらしい。確かに息子もこの年齢にしては丸や四角を描くのがままならない。ときどき左後方の認知が低い気がするので退院したらまず眼科で視覚的な問題を確認したい。

装具診では歩行装具を成長に合わせて調整した。昨年10月に障がい者手帳1種2級の交付を受けて神戸市の補助で作った歩行装具も3歳児の成長には着いていけない。息子の頑張りもあって改良が必要だ。横幅を広げ、インソールを入れて尖足で浮き気味の踵を接地した状態に保つことに。川村義肢の担当者さんもずっと一緒の方で安心だ。息子も「久しぶり」という顔をしていた。歩行テストをしたいが、しぶるので5メートル先にいる担当者に鼻くそを付けてやれと指示をだすと見事に完遂。私の指示内容もどうかと思うが、3歳にはこれでいいのだ。(続く)


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