良い壁になるための壁打ちの技術

地味PM Advent Calender 2022 の 7日目の記事です。はじめてのアドベントカレンダーなのでお手柔らかにどうぞ

はじめに

  • はじめまして。パラレル というスタートアップでPMをしているイナダ(@hytind)です。新卒でグリーに入社し、その後ビズリーチ、プレイドを経由して今に至っています。

  • パラレルには2020年8月に6人目の社員として入社し、創業メンバーを除いた1人目のPMとして働いてきました。

  •  いわゆるSNS領域で、友達と通話しながらゲーム・動画・音楽を一緒に楽しむことができるアプリを作っているのですが、私にとって久々のC向けサービス、且つメインターゲットがZ世代という、自分のドメイン知識が圧倒的に足りないフィールドでした。

  • またプライベートでは2019年に子どもが生まれて可処分時間が短くなった(仕事にさける時間の絶対量が減った)タイミングということもあったので、自分が旗を立てて引っ張るよりも、自分より得意な人(創業メンバーや、ターゲットに近しいインターン)のパフォーマンスを最大化できるような立ち回りを意識して動いてみました。

  • 具体的には壁打ちに積極的に付き合ったり、チームビルディング(オフサイトMTGの設計や、ミッション・ビジョンなどの策定)をしたり、兼務状態になっていたCSやQAを引き剥がしてチーム立ち上げしたり。

  • なかでも壁打ちは地味に評判が良かったので、この機会に改めて「良い壁」になる方法について言語化してみました。

壁打ちとは?

  • 1人が考えたいトピックを話して、周り(壁役)があーだこーだ意見を言うことでトピックに対して理解を深める行為のことを指しています。

  • この note を書きながら「壁打ちってもしかして社内用語か…?」と思ったのですが、Google で「壁打ち」って検索してみると、おそらく本来の意味であるテニスの壁打ちよりも先にビジネス的な意味合いでの壁打ちがでてくるので、わりと一般的な言葉ぽくて安心しました

良い壁になるための技術

壁打ちにおいて「良い壁」になるために自分が心がけていることをいくつか書いてみます。

そもそも良い壁打ちとは?

  • 壁打ちの前後で(少なくとも当事者において)トピックに関する思考が進んでいる壁打ちを「良い壁打ち」と定義しています。

  • 別にかっちりした結論が出なくても良いと思っていて、例えば壁打ち後に逆に迷いが生じる状態になっていてもそれは健全な迷い(物事を多角的に見られるようになった証拠)だと捉えています。

  • では「思考が進んでいる」というのがどういう状態かと言うと、思考が深まっている or 拡がっている、要は解像度が高まっている状態です。

  • FoundX の有名な 解像度を上げる のスライド曰く、解像度 = 深さ × 広さ × 構造化(原因と結果の関係の整理)なので、この3点を抑えられると良い壁打ちになると思っています。

事前準備

  • 壁打ちの事前準備として、ある程度の前提情報をインプットしてから行う方が望ましいです。

  • 何も知らないほうが先入観を持たずに質問できるのでは?とも思うのですが、今のところ私はうまくやれていません(単純に個人のスキルの問題なのかもしれません)

  • これは イシューからはじめよ に出てくる下のようなグラフがイメージにあって、壁打ちする上でも情報量が多すぎても少なすぎてもよくなくて、ある程度知っている状態が望ましいだろうなーと解釈しています。

「イシューからはじめよ」85ページより

スタンス

  • 壁役のスタンスとして、「間違ったこと言ったら申し訳ないなぁ…」みたいな遠慮をする必要は全く無いと思っています。というのも相手は「答え」が欲しいわけじゃないからです。

  • 何となくモヤモヤしている部分がどこなのかを言語化したかったり、論理に破綻がないか(抜け漏れがないか)を確認したかったりするケースが多いので、「こうしたほうがよいんじゃない?」というアドバイスよりも、「なんで?」とか「そのロジックがちょっとよく分からない」みたいな率直な意見のほうが価値があったりします。

  • 答えを持っているのは壁側ではないので、相手が自分の中にある答えに気がつけるよう、触媒になって化学反応を起こしてあげるようなイメージで臨むのが良さそうです。

自分がよくする質問

軽い Tips 的になってしまうのですが、壁打ち中によくする質問をまとめてみます。壁打ちを通してトピックの解像度を上げたいわけなので、深める、拡げる、構造化する質問ができると良いのですが、その中でも他者が介在することで価値が生まれやすそうな 拡げる、構造化する あたりを意識した質問が多いです。

  • なんで?を聞く

    • よくある why を繰り返せ というやつです。

    • ただこれは深めるための質問というよりは、その質問を通して論理構造を把握したり、そのアイデア自体をストレステストにかける意味合いのほうが強いです。

  • たとえ話をする

    • 「なんか◯◯に似てるよね」だったり「×× みたいな感じ?」だったり、構造が似てそうな別のものに例えることをよくします。

    • たとえ話難しくない?とも思われるかもしれませんが、実はたとえ話自体が間違っていても(実は全然似ていなかったとかでも)よくて、というのも、間違っていたら間違っていたでそれを訂正するプロセスの中で言語化を進めることができるからです。

  • 極論をぶつける

    • 「仮に◯◯という条件がなくても同じ結論になるの?」だったり、「極論、 ×× でもOKってこと?」というような質問もよくします。

    • 意外と明らかになっていない制約条件があったりするので、極論をぶつけて反応を見るのが効果的だったりします。

  • 抽象度をコントロールする

    • 「それってつまりどういうこと?」や「それって具体的には?」という、抽象度を上げたり下げたりする質問もよく使います。

    • これは相手の言語化を助けたり、全体の論理構造を把握する上で役に立ちます。

また最後に小ネタ中の小ネタなのですが「敢えてずらして確認する」というテクニックがおすすめです。 というのは、A という意見を聞いたときに「それって A’ ってこと?」と敢えてちょっと違う表現で確認をします。すると「いや、というよりはむしろ…」というまた別の言葉、視点からの説明を引き出すことができるので、半強制的に言語化が進められます。ただやり過ぎると「こいつ話通じないやつだな…」感が出てしまうので注意が必要です。

まとめ

つらつらと書いてしまいましたが、改めてみると、拡げるために〜とか構造化するために〜に拘らずとも、結局のところ「相談者が話す量をいかに増やせるか?」が大事なので(話せば話すほど言語化が進むし、うまく説明できないポイント = 論理が甘い箇所もクリアになるので)、極端にスタンスを取った質問や、若干ずらしたたとえ話や確認を挟むことで、相手が説明するタイミングをたくさん作ってあげるのが実は一番簡単で効果的なのかもしれないですね。

ということで、地味PMらしく(?)、他のPMやチームなど周りのパフォーマンスを最大化させるための壁打ちのテクニックについて書いてみました。あくまで私が心がけているというサンプル数1の事例なので、真に受けすぎず、3割引き程度で参考にしてもらえば幸いです。

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