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もうすぐ巣立っていく娘に私ができることってなんだろう?

来月。
長女は進学のために家を出る。
振り返れば18年間は、あっという間で。

幼い頃の長女のことを、私はもう、良く思い出すことができない。

長男が私の連れ子で、手のかかる子どもだったせいもあるかもしれない。
父親が初の我が子である長女を溺愛したせいもあるのかもしれない。
それで、なんとなく家族内では、長男の担当は私で、長女の担当は父親だった。

それが要因だと思うが。
長女はずっと、私(母親)を求め続けていたという記憶だけが強い。
とにかく私からの愛情を欲しがった。
どれだけ愛しても、長女はさらに愛情を欲しがった。
どうすれば長女の心が満たされるのかを、いつも考えていたし努力もしていたつもりだが、残念なことにおそらく、私は彼女の要求を完全には満たすことができなかったのではないかという気持ちが残っている。


長女は本当に良く育ってくれた。
離婚によって父親と離れて暮らすのも嫌だったろう。
母親が離婚後の生活を整えるために奔走していて寂しく感じたこともあっただろう。

そんな中でも。
充実した学校生活を送り、たくさんの友だちに囲まれて、楽しそうに生きていた。
高校生ともなれば、交遊関係は友だち中心になっていく。
私は、もう、長女には求められていないのだろうと、勝手に思っていた。
私は勝手に長女との距離を感じていた。

だが。

卒業式の日。
式が終わって友だちと過ごす彼女に、お祝いの言葉を送った。

正直。
あなたが巣立つのは寂しいけれど。

でも、高校生のあなたをみてきて、そとの世界で、もっともっと伸びていくのだろうって思ってる。

それは楽しみでもある。

子どもはだんだん成長して、親の手の届かないところに行くのが当たり前だし健全だから、寂しいけど、来るべき時が来たって思ってる。

振り返れば、あっという間だったなあ。

本当に良く育ってくれて、ありがとう。

私は至らない母だったけれど、あなたをずっと愛してきたし、これからも愛してる。

とにもかくにも、自分を大切にしてね。
困ったことがあったら、何とかするから絶対に頼ってね。

きっと、あなたと、この先は、親子という関係だけじゃなくて、人と人として関われる部分が多くなると思ってて、それはそれで楽しみだなって感じている。

それでも、私はあなたの母だから、あなたのために尽力するし、あなたを守れる自分であれるようにまだまだ頑張るからね。

お互いに、これからも、それぞれの場所で頑張ろうね。

長女へのメッセージ

すると。
長女から感謝の言葉が送られてきた。
それは本当に心のこもったメッセージだった。

それを読んで。
心が繋がった気がした。

私は。
幼い頃の彼女に。
愛情を尽くした気でいて。

すっかり成長した彼女をみて「私は必要ないだろう」と思っていたが。

そうじゃなかったな。

そうじゃ、なかった。

成長しても幼い頃と変わらぬ愛を長女に送り続けるべきだった。

長女とは仲が良いし信頼関係も築けているけれど。
でも、もっと。
もっと踏み込んでも良かったのかもしれない。

「もう親なんて必要ないだろう」なんて考えないで。
もっと踏み込めば良かったのかもしれない。


反省してみたところで。
時間は戻らない。

いまから私が長女にできる何かを!

そう考えて…。

毎日、娘に会うたびにハグをすることにした。

朝起きて「おはよう」のハグ。
出勤時に「いってきます」のハグ。
帰宅時に「ただいま」のハグ。
寝る前に「おやすみ」のハグ。

それまで。
「もう、すっかり大人だ」し、「ハグなんて照れくさくて嫌がるだろう」と私が勝手に決めつけていた長女は。

私の顔を見ると嬉しそうな顔で、まっすぐこちらに心を向けて、照れることも拒否することもなく、ハグを受け入れてくれる。
私の顔を見ると、嬉しそうに手を広げてくれる。

長女とハグをするたびに、確かにそこで心が繋がり、愛情が行き来しているのを実感する。

長女が巣立つまでに残された時間はもう少ないけれど。

「子育てに手遅れは無い」という言葉を信じて。

毎日、長女に愛を込めてハグをし続けようと思う。

そうして私からの愛が、長女の体内に蓄積してくれたらと願う。

それが。
巣立ったときの長女の。
心の支えに少しでもなってくれたらと。
至らない母である私は思う。

そうして今日も私は。
愛情を込めて長女とハグを交わすのだ。