良寛いろいろ

袖裏の毬子直千金 謂う言は好手等匹無しと 箇中の意旨如相問わば 一二三四五六七
新池や蛙とびこむ音もなし
山里は蛙の声となりにけり
世の中は桜の花になりにけり
須磨寺の昔を問へば山桜
散る桜残る桜も散る桜
真昼中ほろりほろりと芥子の花
鶯や百人ながら気がつかず
さわぐ子の捕る知恵はなし初ほたる
鉄鉢に明日の米あり夕涼
柿もぎの金玉寒し秋の風
名月や庭の芭蕉と背比べ
名月や鶏頭花もによつきによき
ぬす人に取り残されし窓の月
いざさらば我も帰らむ秋の暮
焚くほどは風がもて来る落ち葉かな
湯貰ひに下駄音高き冬の月
火貰ひに橋越て行く寒さかな
この里に手まりつきつつ子供らと遊ぶ春日は暮れずともよし
春の野に菫つみつつ鉢の子を忘れてぞ来こしあはれ鉢の子
世の中にまじらぬとにはあらねどもひとり遊びぞわれは勝れる
世の中にまじはることの憂しとみてひとり暮らせば寂しかりけり
捨てし身をいかにと問はばひさかたの雨ふらば降れ風ふかば吹け
あわ雪のなかに顕ちたる三千大千世界(みちおほち)またその中に沫雪ぞ降る
ぬば玉の 夜はすがらに 糞放り明かし
あからひく昼は 厠に走り あへなくに
この夜らの 何時か明けなん 
この夜らの明けはなれなば 
おみな来て はり(糞尿)を洗はん 
こひまろび 長きこの夜を
言に出て言へば やすけし
くだり腹 まことにその身はいや堪へがたし
地しんは信に大變に候 野僧草庵ハ何事なく親るい中死人もなくめで度存候

 うちつけにしなばしなずてながらへて
 かゝるうきめを見るがはびしさ

しかし災難に逢時節には災難に逢がよく候 死ぬ時節には死ぬがよく候
是ハこれ災難をのがるゝ妙法にて候
かしこ
死にたうなし
形見とて何かのこさむ春は花山ほととぎす秋はもみぢ葉
裏をみせおもてをみせて散るもみぢ
倒るれば倒るるままの庭の草

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?