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人前で愛を誓うか

結婚式を挙げた。
好きな人だけをめいっぱい呼んだ。みんな遠くに住んでいても当たり前のように来てくれた。

人前で愛なんか誓いたくなかったあたしは、感動の結婚式なんかしなかった。友達、家族、みんなが笑ってくれて、一緒においしいものを食べて。それだけのパーティーがしたかった。実際にそうした。

バージンロードを父とゆっくり歩いたりしない。
親に伝えたい感謝を手紙にしたため、人前で読まない。
誓いのキスなんてもってのほか。
それを許してくれた夫に感謝。

依頼した企業の対応は素晴らしかった。ゼクシィカウンターに行ったときに「バージンロードを歩きたくないなんてありえません!お父さんが悲しみます!」と軽く怒られたが、依頼先企業は「じゃあ新婦さんのやりたいことを詰め込みましょう!」と快く受け入れてくださった。
夫は結婚式の準備には非常に能動的だった。夫はかなり優秀なので、なんでもてきぱきとこなしてくれた。喧嘩もしたけど、今じゃ喧嘩の内容も覚えてない。
結果、あたしのやりたかったおふざけまみれの「結婚パーリィ~一生の愛を誓うぜ~」が完成した。

よし、今日はみんなを笑わせちゃうぞ~!と思いながら入場すると、泣きそうになっている友人が3名ほどいて本当に驚いた。
あたしの結婚を泣くほど喜んでくれる友人、笑顔で笑ってくれるみんながいて、これからおふざけをするはずなのに、なんだか泣きそうになった。

みんなドレス姿を見て「きれい」と褒めてくれた。本当に嬉しかった。
今まで下心でしか見た目を褒められた記憶がないし、自分のことをかわいいと思えない醜形恐怖症という病気を患っているのに、その日は本当に自分がきれいかもしれいないと思えた。そのくらいたくさんの人が心の底から言ってくれた。

夫の友人も素敵な人ばかりだった。あったことのある人は「おう!」とノリよく話してくれるし、初めての人も「お前めっちゃ綺麗な嫁さんもらったやんけ!」と言ってくれた。

とにかく好きな人だけを呼んでよかった。
嫌いな親戚を呼びたくないが、祖母に呼んでほしいと泣かれたり、「どうか家族で結婚式を祝いましょう」と手書きの手紙が届いたりしてすごく精神を狂わされた。
悩んでいた時に飲みに行った友人が
「あたしも嫌いな親戚いるけどさ、ばあちゃんには何があってもあの人と関わらないし、結婚式とかも絶対呼ばないって伝えてある。だって、ばあちゃんよりあたしの方が残りの寿命長いもん」
と笑顔で言ってくれた。
その時に踏ん切りがついた。よかった。

ご祝儀袋もかわいいものばかりで、見ているだけで幸せだった。みんな一生懸命選んでくれたんだと思う。ご祝儀袋ってその人らしさが出るのね。誰かの結婚式に参列するときは真剣に選ぼうと思う。

何人かからプレゼントをもらった。中には手作りのものもあって、すぐに人に自慢したし、家に帰って嬉しくて泣いた。
なんかあたし、恵まれすぎかもって思った。

Twitterやnoteでは基本的にマイナスなことしか書いていないが、あたしは割と幸せなんだと思う。普通に暗いだけで。マイナス思考がすごいだけで。

努力して勉強したし、顔だって変えた。でも努力して前向きになることだけは無理。
ただね、大事にしてくれている人のことは忘れない。夫、家族、友人、いろんな人に大切にされている。満ち足りている。

結婚式っていいね、人前で愛を誓うのもアリなのかも、とか今更思うくらいにいいね。みんな誓いなよ、あたしが友達だったら嬉しくて泣いちゃうもん。


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