陰謀論の嘘

筆者は一時期、陰謀論に夢中になっていた時期がある。当時はまだネット上に転がっているデタラメを鵜呑みにしてしまうような世間知らずだった。では今は違うのか?イルミナティだとかディープステイトだとか全部戯言だと気付いて卒業したと言いたいところではあるが、正確には違う。

結論から言えばネット上に転がっている陰謀論の多くはデタラメである。しかし、それは意図的かつ組織的に拡散されている偽情報であり、簡単に言えば陰謀論それ自体が陰謀なのだ。

もしあなたが世界の支配層で、自分たちの悪巧みを世間から隠したいと思えばどうするだろうか?とりあえず情報が漏れないようにする、この辺は基本である。しかし情報というのはそれを知る人間が多ければ多いほど、どこからか漏れてしまうものなのである。仮に情報を知る人間を脅したとしても、寿命が尽きる直前にバラすかもしれないし、或いは金で誰かに売るかもしれない。理由はなんであれ人間は何か知ってしまうと他人と共有したい生き物なのだ。他人の口にチャックをするのは事実上不可能である。

それでは情報をどうやって隠すのが1番いいか?真実に巧妙に嘘を混ぜて、意図的に拡散するのである。人々の口を塞ぐことができないのであれば、最初から事実に似せた嘘を吹き込んでしまえばいいのだ。そうすれば真実を知った気になった愚かな人間が、無償で情報を拡散してくれる。仮に真実が漏れても既に類似した偽情報が山ほどあれば見分けはつかない。人を隠すなら人混みの中、木を隠すなら森の中、情報を隠すなら情報の中というわけである。

その「真実」は毒入りの食事のようなもので、事実に嘘が混入されている。(トカゲ型エイリアンだとか)そして、その嘘が明るみになれば、付随している事実の部分もまとめて嘘であるという印象を植え付けることができる。結果、「陰謀論」というカテゴリー全体の信憑性を大きく損なわせることが可能となるのである。

この心理戦の巧妙さは、そこらで間抜けなコピペ陰謀論をブログに書いている一般人とは異なり、情報戦に長けたプロの仕事である。よって陰謀論自体が陰謀である、というのが私の見解となっている

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