華道が現代に生きる意味3 〜木の根っこから学ぶこと〜
人間の性格=根っこの話はよくありますよね。
「あの人は根はしっかりしてるから」「根は真面目だからね〜」
今日は木の根っこの話を深掘りして人間へのヒントをもらいたいと思います。
木の根っこ
まずはこの写真を見て欲しい。
これは奈良の春日大社神苑、日本最古の植物園万葉植物園にある、【臥龍のイチイガシ】と呼ばれる老巨樹(奈良市指定文化財)です。
樹齢はもはやわからないが、臥龍のように横たわった根っこから起き上がるように枝を伸ばしている。
そしてこの松の根っこ。興福寺境内であった奈良市役所付近にある。
こちらも根っこから横たわり、そこから這い上がるように上に伸びなおしている。
根こそぎ倒れてからの這い上がり
この二つの木に共通するのは、根こそぎ倒れてから這い上がるように上に伸びなおして形成されていること。
原因は不明であるが、大昔に台風などの天災で倒れ根も朽ち果て老廃してから、新たな枝を伸ばして這い上がり、上へ上へと伸びている。
どんなに倒れても、なお生きようとする自然の尊い神秘と古代からの時の流れを感じさせる。
樹木を支える根っこの強さ
こちらの写真も、奈良春日大社参道内にある巨木。下の人間の大きさを見ていただければその大きさがわかると思います。
こんな樹齢数千年の大きな老木を支えている根っこが次の写真。
大地にしっかり根を張り、中には朽ち果てて中が空洞になっている部分もある。
長い年月をかけ、紆余曲折を乗り越え、少しづつ木の大きさに合わせて根を貼っている。
根っこから学ぶこと①
人間はどうしてもかっこよく見られたいし可愛く見せようと努力もする。
できるだけ自分の弱い部分を隠そうとする。確かにその努力も大事だし人間特有の摂理だと思います。
でも果たしてそれだけが自分の魅力なのだろうか。私は違うと思う。弱い部分も含めて自分の恥ずかしい部分も晒して、初めてその人が持つ本当の魅力が見えてくると思う。先ほどの「臥龍のイチイガシ」のように。
木の根っこを見ると、その木が歩んだ困難や歴史、そこから這い上がる気力や覇気が伝わってくる。そしてその過去の弱い部分がその木特有の強さとなり、唯一無二の存在意義となる。
根っこから学ぶこと②
そして大きな木になるにはそれに耐えうる根っこが必要。
人間的に大きくなるにも、きちんとした人間の根っこが必要です。
みなさん、根はしっかり持ちましょう。
「自分の素直な心を以って自然をながめて行けば、現実の自然の花の美しさは其の時の自分の心の深さに応じて絶えず、この花の美しさも深さを加えて行くものである。」
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