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Q.ゲーム会社に入るためには大学と専門学校どちらに入学すべきか?元ゲーム専門学生が考えてみた


ゲーム会社に就職したくて大学か専門学校かで進路を迷っている人へ、ゲーム専門学校出身で就活をなんと3年もやった私の意見を参考にしていただきたいと思い、このnoteを書きます。

筆者のスペック

  • 中3でゲームクリエイターを目指し始める。

  • 工業高専情報科中退。

  • 3年制専門学校のゲーム3DCG専攻卒業。学校代表者に選ばれる程度の実力。

  • 一人で3Dシューティングゲームを作った。

  • 独学でイラスト・漫画・アニメ・ソフトを制作してた。

  • 就活で迷走して美大に行きたくなり文化祭へ行った。

  • ゲーム会社へ3Dモデラー・プログラマー・テクニカルアーティスト・プランナーと一通り応募してしまってる。

  • ゲーム制作会社にテクニカルアーティストとして内定。←イマココ

学校生活や就活でのあれそれもいずれnoteに残せたらいいなと思っています。

それと、ここでの情報は説明会などで聞いた話や専門に通って感じたことがほとんどなので参考程度にしてやってください。私は採用担当でもなんでもありません。ゲーム業界志望歴の長いただの夢見る1クリエイターが書いた記事です。


ゲーム専門学校の就職率のはなし

よく言われているのは、ゲーム専門学校でのゲーム業界就職率は1割程度。
私が通っていた専門学校は少人数制で規模の小さい学校だったためか、1割もいなかった気がする。(交友関係が狭いので詳しくはわからん。)
20人ぐらいのクラスに1人いるかいないか程度。もっと大きい学校だともっと実績ある印象だった。

そもそも、スローペースな授業にすらついていけずに自主退学する学生がクラスの半数ほどいる。

その授業についていき課題をしっかり出していてもゲーム業界へ就職した人はあまり見かけなかった。多くのクリエイター志望はゲーム業界は自分には無理と妥協をして別の自分に合っている道を探し、なんとかクリエイター職についていた印象。本当に厳しい。しかし、それも自分に合った道を探して掴んだのなら良いと思う。

ゲーム業界に就職できた人は私のように毎日授業外でも作品を作って、入学前から何かしら作っていたような人が多い気がする。もちろん未経験から必死に努力してゲーム業界に行った話も聞く。
ちなみに、アルバイトは週1で4時間程度のバイトをしていた。それでも時間が惜しかったぐらい。


アーティスト編 美大 VS 専門学校

アーティスト職として美大と専門学校の違いを書いてみるが、筆者の美大の知識はネットで調べた知識と、妹が5美大卒者なのと、ムサビ多摩美の文化祭に足を運んだ程度である。あとはブルーピリオド。

まずはアーティスト職の中でも「2DCG>3DCG>UI>アニメ>エフェクト」という志望者の多さを頭に入れておいて欲しい。(筆者の肌感覚だがだいたいこんな感じ。)

そして、アーティスト職はデッサン力重視。ただの専門学生は美大生にはまず勝てないです。授業のデッサンだけじゃ美大受験を勝ち抜いた奴らには太刀打ちできねえ…。私は入学前にデッサン教室に半年通って入学して週6コマとかデッサンの授業取ってたけど足りねえよ!しかし、ムサビ卒の先生らがムサビ入れるんじゃないかぐらいまで言ってるほどデッサンを頑張っていた先輩が一人いたらしい。


2DCG

志望者が一番多いと言われている。キャラクターやコンセプトアーティストが人気。圧倒的デッサン力が必要

老若男女の描き分け・リアル系~デフォルメまで幅広い絵柄・背景パースも描ける人じゃないとまず相手にされない。

説明会などでポートフォリオを見る機会があったのだが、上手いだけでなく遊び心があって一目でゲームでもやっていけそう感がすごかった。

油絵や日本画しかやってこなかった人も採用されているケースはあるが、デジタルイラストが描けるに越したことはない。ファインアート系出身者もいるにはいるが、キャラ絵や背景も得意な人が多いかなという感じ。


3DCG

一応、筆者の専門。キャラモデラーが人気だが、背景モデラー志望も結構いる。もちろんデッサン力が必要

こちらも老若男女、リアルハイポリモデル~デフォルメローポリモデルまで作っていると好印象な気がする。

3DCGを学んでいない美大生でも内定をもらえる可能性が大いにある。3DCGは研修でしっかり教えますので大丈夫です!という会社も多い。彫刻科など立体造形をやっていた人もいる。中途半端に3DCGが作れる専門学生よりは3DCGが作れないけど絵が上手い美大生を取る傾向が強い印象。なのでライバルは結構多い。

「3DCGができなくても、デッサンが出来ている人は会社に入って伸びるんです」といくつかの会社説明会で聞いたことがある。実際にその通りだと思う。

大学生でも独学で3DCGをやる輩も十分いるので専門学生諸君は3DCGだけでなくデッサンやイラストも描けると彼らに太刀打ちできる…かもしれない。

そして、3DCGの中でもアニメーター志望が意外と少なくて企業もアニメーター不足にみんなひーこら言ってる。

専門学校では、大体がモデリング→アニメーションの順番で学ぶので、必然的にモデラー志望が多くなる。だが、アニメーションも生半可なものでは書類選考通過できない。あとは手書きアニメ書いてましたーって人も採用されている例もある。


UIデザイナー

意外と志望者が多いUIデザイナー。デッサン力よりはデザイン力やユーザビリティが重要視されている

UIデザイナー専攻というのは筆者は聞いたこと無いので、大体は美大のデザイン専攻の学生がUIデザイナーになっているイメージ。

よく見かけるのは架空のゲームUIを作ってポートフォリオに載せている学生たち。美大でも専門でもどちらでも見かける。クオリティ高くてビビる。


エフェクト

意外と穴場なエフェクトアーティスト志望者。あまり見かけないし、情報も少ない。

とにかく分かりやすいエフェクトが作れれば書類は通るのではないだろうか?本当に分からない。ごめんなさい。

でも、学生人気はイマイチ無いが、企業側はめちゃくちゃ求めている印象。奥深い領域ではあるが、専門でも教えてる人少ないし美大でも教える人いないんじゃないだろうか…?

とにかく何でもいいからゲーム業界に入りたい!という人にはエフェクトをおすすめしたい。だが、一定の技量は必要とされている。絵が描けないデザイナー志望の逃げ道ではないのだよ。


大手企業はデッサン力重視が多いが、即戦力重視の会社もある

大手パブリッシャーなんかは育成に力を入れているみたいでデッサン力重視の会社が多い印象。とにかく基礎が出来てないと書類が通らない。

そして、デザインで人を喜ばせたいというおもてなし精神。これが強い学生がゲーム業界へ入れる印象が個人的に強い。みんなだいすき任天堂なんかはまさにそんな感じする。

しかし、即戦力重視で3DCGやってない人は取らないという会社もあったりする。3DCGができると3DCG製作会社にも応募できるので是非人手不足な3DCGに挑戦してほしいとは個人的に思う!

美大は美術を学ぶところ。そのため自己表現を追求する人が多いが、それだけの人はあまりゲーム会社ウケがいいわけじゃない。売れるデザインを作れる人が選考を通過している。筆者は売れるデザインを作るのが苦手で就活で大変苦労した。だが、こんなの(下記)を作っても選考に通過した会社もある。本当に会社によってそれぞれなので、目指している会社の募集要項や社員インタビューを見て考えるべきだと思う

※こんなの

専門学校は就職のための学校。しかし、ソフトウェアの使い方を学んでクリエイターになったつもりの学生が非常に多い。「絵を描いたこと無い・3DCGをやったことないけどデザイナー志望です」という学生が毎年多く入学しているのが現状。これは長年ものづくりをしてきた自分には結構つらかった…。しかし、先生に積極的に作品を見せたり学外のコンテストに応募するなどしてなんとかモチベーションを保っていた。なので、最初からデッサンが出来て絵描きしかいない美大という環境が非常に羨ましかった。

それと、最近は美大も就職に力を入れている。ムサビに行った時に某大手ゲーム会社からのポートフォリオ添削会があっていいなーと思った。

専門学校に入ったからと言って授業を受けていればゲーム業界に入れるという慢心した学生が多いことも伝えておこう。しかし、美大より就職に特化しているため、情報が多いのも専門学校のいいところ。学校によってはゲーム制作に参加させてもらい、実績を作ることも可能。

まあ一番いいのは実際にオープンキャンパスに行って先輩のポートフォリオを見せてもらったり、就職担当の先生に話を聞いたりすること。自分で納得のいく決断をしなければ、良い学生生活は送れないのである


プランナー編 プランナーで美大出身者が意外と多い

正直、筆者はデザイナー志望だったのでプランナーはあまりわからないが、見出しの通り、プランナーは美大出身者が結構いる。

プランナーとは、絵が描けなくてプログラミングもできない人の受け皿ではないのだよ。むしろ絵が描けてプログラミングもできると歓迎される。プログラミングの勉強をするプランナーも多いし、専門でも授業を取らされていた。

絵が描けると企画書で伝えられる幅がぐんと広がったり、美大生は授業とかでプレゼン力も鍛えられているので企業が求めるプランナー像に近い人材が多いのかもしれない。(勝手な予想です。)

というわけで、プランナーを目指すのなら美大も視野に入れるといいかもしれないというお話でした。

ちなみに、専門のプランナー専攻はできそうな雰囲気を醸し出しているできない人(クリエイターとは呼べない)が多かった。実際にゲーム会社でプランナーとして働いている同級生は絵が描けてプロジェクト掛け持ちして留学生で英語がペラペラでコミュ力高かったなぁ…。


プログラマー編 大学でも専門でもどちらでもよさそう?

筆者は元々はゲームプログラマーを目指して工業高専の情報科で勉強をしていた身。

高専のうわさだが、先輩でHAL研究所を受けた人がいたが高専生じゃ太刀打ちできなかったとか、専攻科から大学院に行って任天堂に就職した先輩がいたりしていた。就職に有利な高専生ですらゲーム会社は実力的に厳しいと言われていた。でも、実際に高専卒でゲーム業界へ就職している人はいる。

専門学校のプログラマー専攻のイメージはプログラミングできる人とできない人で分かれていたイメージ。これは大学でも高専でも同じだそうだ。大体の人がプログラミングをやったこと無くて入学するものの、適性があるものはぐんぐんと実力を伸ばしていくが、適性が無い人は適性がある人のソースをコピペして課題をこなしていくのであった。(高専ではそれがばれて問題になった。)

しかし、アーティストと違って入学前はプログラミング未経験でも実力を伸ばしてゲーム会社に入ったという報告を結構耳にする。前に体験入学した専門学校で放課後居残りをずっとしてスクエニに入ったという話をしてくれた。母校の専門学校でも、一人教室の後ろでコツコツとキーボードを叩いているメガネ男子や放課後にノパソを叩いているメガネ男子がいたが、そういう子がゲーム業界に入っているのではないだろうか?(プログラマー志望は女子が少ない。是非女子もおいで!高専では女子が居なさ過ぎて女装が流行っているぞ!!

最近は大学の研究内容で選考をしてくれるゲーム会社もあったりと、ゲーム開発の経験の無い理系大学生でもゲーム会社に挑戦できる場所がある。しかし、サークルや趣味でゲームを作っている亡者も沢山いる。

プログラマーは実力社会。一般的なIT会社よりずっと基礎力もプログラミング能力も必要とされている印象が強い。人気も高い。オブジェクト言語を授業で習った程度じゃとても太刀打ちできない。目指す人は是非プログラミングを楽しみながら頑張ってほしい。そうじゃないと振り落とされる。

あと、文系大学でも大丈夫ですか?って質問がよくあるけど、未経験が入れるようなところはほとんどない。大丈夫じゃないです。逆にプログラムが書ければ出身はどこでもかまわない印象。


おまけ テクニカルアーティスト編

筆者は新卒のテクニカルアーティスト(以下、TA)で内定をいただいた。また、某大手パブリッシャーの書類選考も奇跡的に通ったことがある。一応話しておくと、TAを本格的に目指したのは就活2年目からでそこではUnityでシェーダーを書いていた。MayaのPythonも少しだけ授業で書いた。

筆者はこんな経歴なもんで、デザイナーの面接なのにTAの偉い人が面接官に必ず呼ばれていた。質問内容はどんなものをプログラムで作ったかとか、Mayaのツール開発やエフェクトに興味あるかとか聞かれていた。TAの募集はしていないが、デザイナーで応募した中にTA適性がありそうな人がいるとTAも視野に入れてくれる会社が多い。

TAは正直会社ごとに定義があってふわふわしている印象。Pythonを使って3Dアーティスト向けのツールを作ったり、シェーダーを作ったり、パイプラインを整えたり…。某有名ゲーム会社でTAに興味があると話したら、学生時代にツールを沢山つくって応募してきてうちで活躍してくれている子がいるよと教えてくれた。

そもそもTAで新卒募集している会社が少ない。「テクニカルアーティスト 新卒採用」とかでググりまくってた時期がある。就活サイトではほとんど見当たらない業種。しかし業界需要があるし、不足している業種なので興味がある方は是非挑戦してみて欲しい。

現状、TAを目指せる専攻や学科はあまりない。しいて言うならグラフィック系の研究をしている理系大学や、Mayaのツール作る授業がある専門学校や、美大の情報デザイン系学科ぐらい…かな?大体独学でそれっぽいもの作っている人がいる印象。

本当に謎が多い職種なので企業側ももっと情報出してください…。



大学卒業後に専門学校へ入学するケースもよく聞く

「大学で勉強していたが、ゲーム業界に入りたくて専門学校で勉強を続け、ゲーム会社に入りました!」

こういう話は昔からよく聞く。お金持ちの選択ではある。(いったん社会人になってから専門に入ったというパターンの方が多いかな?)

でも、こういう人はやる気があって高確率でゲーム業界へ行く人が多い。多分これが一番高確率でゲーム業界へ就職できると筆者は思う

既卒でも20代ならまだ新卒で雇ってもらえる可能性がある業界。現に筆者が就活をしていたのは25~27歳の期間だ。空白期間があっても何かしら作っていたり勉強をしていれば納得してもらえる。

お金が無いけど入りたいという人はなんと無料で3DCGを教えてくれる学校まである。就活中に説明会や面談を受けたが、やる気さえあれば面倒を見てくれる学校だった。

他にもデジハリとかWスクール向けの学校もある。頑張れるのならそちらも検討していいと思われる。




結論

  • アーティストで大手パブリッシャーにいきたければ美大の方がいい気がする。

  • ゲームの3DCGがやりたいなら専門学校がいいかも?ぐらい。

  • プランナー志望も美大がいいと思う。

  • プログラマーは専門でも大学でもどちらでもいいと思う。

  • 最強なのは大学と専門どちらにも通うことかもしれない…。

正直、会社によって違うので一概には決して言えないが、私の印象としてはこのような感じである。


この記事を鵜呑みにするのではなく、調べたり足を運んだりして調べつくしてください。そういう調べることに長けている人がゲーム業界で求められています。

まあどちらに入ろうが独学でやっていける時間と努力は必要ですね。学校でただ課題をこなしているだけじゃゲーム業界は多分入れません。

正直、お金も必要です。学費・参考資料代・ゲーム代…。自分にも当てはまることだが、家にある程度余裕のある人がゲーム会社に入れることが多い印象。学生生活を頑張りながらアルバイターとして頑張ってもいいが、その時間で作品制作をしている彼らには絶対に勝てないぞ。


最後に、最近話題になっていたツイートを紹介して終わりましょう。

私は学生時代はポケモンしか買えていないうえに、クリアまで行っていないポケモンが山積み状態です!!作るのに忙しすぎて遊んでる時間ねぇ!!
(ツイートはプランナー専攻の学生だそうです。プランナー志望は遊べ。)

忙しくても最低限、話題のゲームは遊びましょう!ESや面接で困ります!!


さーて、積んであるポケモンやろーっと。


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