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目指せ40センチオーバー!ジャンボなイサキが釣りたくて/西川名 竜一丸
※掲載終了の「@niftyつり」から2014年5月の「ゆるゆる釣り部」釣行記を一部修正して移植しました。大物のイサキを狙います。
でかいイサキを狙っている船宿があるらしい
館山あたりで初夏の代表的な釣りものといえば、やっぱりイサキじゃないでしょうか。この時期になると一度は釣らねばとソワソワしてしまう魚、それが……イ・サ・キ(ハート)。すみません、気持ち悪いですね。
イサキは冬の寒イサキも脂が乗っておいしいので、いつが旬なのか正直よくわからないんだけれど、これから夏にかけて産卵のために乗っ込んでくるイサキは、卵(真子)や白子を持っていて、特においしいとされている旬の味。
そんな旬のイサキ釣りは数釣りのイメージが強いのだけれど、なるべく大型を狙って出船している船宿が、館山の西川名にあるらしい。その名も竜一丸。竜一といえば、「みゆき」に出ていた髭のあいつだ。いや、それは関係ないのだが。
さっそく船宿のサイトをチェックすると、「それは本当にイサキなのか!フエフキダイとかじゃないのか!」と、声を出して突っ込みたくなるような写真が掲げられているじゃないですか。
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やばいね。これはやばい。
イサキといえば30センチを超えれば良型というイメージなのだが、この船宿ではそこそこの確率で40センチオーバーが狙えるらしい。いや幻の45センチオーバー、さらには伝説の50センチオーバーの可能性もあるとか、ないとか。
もちろんそんなサイズだけが釣れるという訳ではなく、特大サイズはたまに混ざるという感じだとは思うけれど、それでも一度は釣りたい40センチオーバー。ゴールデンウィークに挟まれた平日にいこうと船宿に電話を入れると、ちょっと変わったことを伝えられた。
リールに巻くPEラインは、5号か6号を使うようにと。なければレンタルリールを使ってねと。細いラインじゃアタリがわからなくて釣れないよと。
え?え?え?
電話で3回くらい聞きなおしてしまったけれど、聞き間違いではないようだ。最近のイサキ釣りといえば、PE2号とか3号、太くても4号くらいを使うと思うのだが、この船宿では太い道糸指定らしい。え???
ということで、頭の上にハテナマークを浮かべながら、大きいほうのクーラーボックスを持って竜一丸へとやってきた。
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イサキ釣りの仕掛けについて
竜一丸ははじめてきた船宿なのだが、なんというか、いい意味での昭和感がすごい。あるいは平成一桁感。
港から1艘だけ出る釣り船とか、釣り座が船長からの指定方式とか(基本的には予約順らしい)、道糸の太さとか、船の雰囲気とか、常連さんの常連さん具合とか、船長のバリバリの房州弁とか、うまくいえないのだが古き良き船宿という感じ。
なんでも教えてくれる中乗りさんが乗船しているので、イサキ釣りだけではなく、船での釣り自体が初めてという人にも、とてもいい船宿だと思う。
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乗船をすると、すぐに中乗りさんからのレクチャータイム。イサキ釣り初心者であることを事前に伝えておけば、タナのとり方、コマセの出し方、アタリのとり方など、なんでも細かく教えてくれる。
特に感心したのが、コマセをビシに詰めて、実際に海の中で振って、どんなふうにコマセが出るのかを見せるところ。竿の動かし方と水中でのビシの動きの関係は、普通イメージでしか捉えていないけれど、このように見える場所で実際にコマセを出してみれば、どれくらい竿を動かせばいいのかがよくわかる。
竿の弾力に合わせたビシの動かし方を目で見て勉強することで、水中の様子がイメージできるようになったので、これでもう40センチオーバーのイサキが釣れたも同然だ。
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どうも水温が低いらしいよ
イサキ釣りのポイントは、港のすぐ近くということで、仮眠をする間もなく到着。朝の早い時間にどれだけ釣果を伸ばせるかが肝だろうと気合を入れて投入の合図を待つのだが、魚探を見つめる船長の様子がおかしい。
「水温が低すぎる…」
どうも前日に吹いた強烈な西風と降り注いだ雨の影響で、水温が1度以上も下がってしまったようで、16度しかないらしい。素人には16度というのが高いのか低いのかよくわからないのだが、この時期のイサキ釣りとしては、相当厳しいようである。
魚釣りにとって水温1度の違いは、ビヤガーデンにおける気温10度の違いくらいシビアなもの。しかも雨水が流れ込んで、潮が濁っているのも良くないのだとか。
私の釣りは「今日に限って…」という日に当たる確率が高いのはなんでですかね。
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それでもなんとかなりそうなポイントに船を止めて、ようやくイサキ釣りのスタート。狙うは何度もいうけれど40センチオーバーの大型である。
イサキ釣りは海面からのタナ取りが特徴で、この船宿ではポイントごとに「33メートル、30メートルで待ってください」というような指示が出る。
これは33メートルまでビシを落としたら、コマセを出しながら30メートルまで巻き上げて、そこでアタリを待ってくださいという意味。そのため、道糸は10メートルごとに色が変わっているPEラインを必ず使い、色の変わるキリがいいところから始まるようにするのがポイント。リールのカウンターは基本的に信用しない。さらに細かいことを言えば、暗い色が先になるようにすると、魚が散らないらしい。
仕掛けを投入後、1色、2色、3色と色を数え、そこから3メートル出し、道糸を海面から33メートルぴったり出す。リールのカウンターは信じない。というか電池が切れていてスイッチすら入らない。それでいいのだ。そして出船前に練習した竿の動きで、コマセを1メートルごとに少しずつ出し、30メートルぴったりで待つ。
シーン……
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イサキの機嫌がいい日であれば、最初の流しから2点掛け、3点掛けでバリバリと釣れるそうだが、やはり水温の低下と潮の濁りの影響は大きく、びっくりするくらいの無反応。
どうした、ジャンボ尾崎、じゃなくて、ジャンボイサキ。
イサキだけに、「ついさっき(イサッキ)までは釣れたけど……」っていうやつですか。
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びっくりするくらい釣れない展開。最近はいい日であればトップが50匹くらい釣れているらしいが、この日はトップ20匹いけばいいかなあと船長から弱気な発言が房州弁で聞こえてくる。そして釣れるイサキのサイズは、だいたい食いの良さと比例するものだそうで、いろいろと不安がいっぱいだ。
何度かポイントを変えて、少しでも食い気のあるイサキの群れを探していくという、渋い展開。なんだかマッチ売りの少女になった気分である。
「イカタンはいりませんか?おいしいイカタンはいりませんか?」
なんて心の中では悲劇のヒロインぶっているけれど、冷静に考えると立場としてはイサキを捕まえて食べてやろうとしている魔女ですね。
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ようやくイサキが釣れ始めた!
この調子だと本当にボウズを食らうのではと不安になってきた頃、ようやくミヨシ側でイサキがヒット。さすがは大型狙いの船宿だけあって、こんな状況の中でも釣れれば型はなかなかいいようだ。
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イサキは群れで移動しているので、一人が釣れるとそこから順番に釣れることが多い。最初に釣った人の隣の方にも良型がヒット。そしてその写真を撮っていたら、置き竿にしていた私の竿もブルブルブル。ファーストヒットが置き竿ってちょっと微妙。
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釣れたのは30センチオーバーのイサキである。これでもなかなか大きいなと思ったのだが、本日私が狙うのは、これよりもさらに10センチも大きい40センチオーバー。1匹でいいから釣ってみたい。
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船長の話では、普段なら仕掛けをいれればすぐに魚の方から集まってくるのだが、この日はなかなかコマセに魚が付いてこず、魚探に反応が見えても口を使わないという最悪の状態。
それでもこのあたりからようやくポツポツとアタリが出てきたようで、ほどなくWさん以外は全員がボウズから脱出。そしてなかなか釣れないWさんには、中乗りさんのワンツーマン個人レッスンがスタート。無料で個人レッスンが受けられるのだから、釣れない方がある意味ではお得かもしれない。いやそんなことはないか。
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竜一丸流大型イサキの狙い方
水温の低下、雨水の流入、日ごろの行いの悪さという、三十九、じゃなくて三重苦の中、ポツポツとではあるがイサキが釣れてきたところで、ようやく顔色に血の気が戻ってきた船長から、あえて太い道糸を使う理由を聞いてみた。
なんでもイサキは大型ほど警戒心が強く、食いが浅いため、エサの端っこだけをカミカミすることが多いらしい。この辺りはアジ釣りとの大きな違いである。
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この時に出るアタリは、竿先がモゾモゾっと揺れたり、ちょっともたれたりするような感じで、竿先に集中していないと絶対にわからない。そして道糸がある程度太いほうが、この前アタリがわかりやすいため、あえてのPE5~6号指定なのだそうだ。あとイサキ以外のシーズンには大型のタイとかヒラメを狙うからという理由もあるとか。
そしてこの小さな前アタリをみつけたら、すぐに竿先を少し(15センチくらい)下げて仕掛けを送り込み、針の部分までエサを食わせる。そしてハッキリとした本アタリが出たら竿先を軽く上げてあわてやるのが、大物のイサキを釣るための方法なのだそうだ。
中乗りさんの話では、竿を送りこんだらすぐに針を口に引っ掛けるような小さい空合わせを入れてやるのが効果的な場合もあるとか。その日の正解を見つけるのが釣果を伸ばすコツのようだ。
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イサキ釣りはアジ釣りみたいに向こう合わせの釣りというイメージだったのだが、どうもこの船宿では、イカ釣りのように小さなアタリをとって掛ける釣りのようだ。
もちろん前アタリをすっ飛ばしていきなり本アタリが来ることも多いし、置き竿で竿頭になってしまう人もいるので、一概にこの方法が正解という訳ではないのだろうけれど、竜一丸ではこのような作法のようである。
ちなみにカツカツとくるようなはっきりとしたアタリは、ウマヅラの場合が多いらしい。
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まず1匹掛かったら、竿先を下げ気味にして、イサキが突っ込むのを5回くらい待ち(コマセを振って寄せてくれる)、追い食いをさせると釣果が伸びる。イサキはアジよりも口が固いので、一度針に掛かれば早々外れないらしい(たまに外れるけど)。
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そして追い食いを待っているときに、大型のマダイやハタなどのフィッシュイーターがイサキに食いつき、それが釣れるなんていうバラ色の展開も少なくないそうだ。ただしハリスが1.5号なので、なかなか釣り上げるのは難しいようではある。
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40センチオーバーの大物ゲット!
ある程度お土産のイサキは確保できたのだが、まだ40センチオーバーのイサキは現れてくれない。私だけでなく大型は今のところ船中ゼロ。誰でもいいから1匹大物を釣ってくれないかなーっと思っていたら、私の竿先がモゾモゾっと動き、反射的にちょっとだけ送り込むと、ゴンゴンゴンという今までにない強い引きがやってきた。
おおおお。これが40センチオーバーのイサキというやつか。使用しているハリスは1.5号なので、ちょっとでも無理すれば簡単に切れてしまう。手首を柔らかく使ってノラリクラリと巻き上げていく。これは絶対大物。あるいはダブルかトリプル。
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Wさんにタモの用意を頼み、ハリスを手繰ってゆっくりと寄せる。水中に見えた魚体は一匹。ということは、大物である。
何度かの突っ込みをいなして、うまいことネットにインした魚は……目測40センチオーバーの……メジナでござんした。
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この日は残念ながらアタリの数が極端に少なく、竿先にあらわれる大型イサキの小さなアタリを捉えて、竿を送り込んで本アタリを出すという一連の流れをマスターするまではいかなかったのだが、それでも10匹程度の旨そうなイサキは釣れたので、まったく飽きることはなかった。
残念ながら狙っていた40センチオーバーは幻に終わったが、置き竿でもある程度は釣れるイサキを、あえてアタリを捉えて釣るという方法をとることで、竿を構えている時間の充実度が格段にアップしたような気がする。やはりアタリをとる釣りはおもしろい。
この船宿は道糸の太さがみんな同じだけでなく、テンビンもビシも仕掛けも、ほとんど全員が同じものを使っているので、違うのは竿と腕くらい。それでも釣果が大きく変わってくるのがおもしろい。竿頭は当然のように私の倍以上釣っている。
次はもう少しアタリの多い日に再チャレンジして、竜一丸流のイサキ釣りをマスターできるようになりたいところである。
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イサキ、おいしかったです
イサキという魚は買うとそこそこ高いので、自分で釣らない限り家でほとんど食べないのですが(イワシとサンマとマグロ以外はほとんどそうだけど)、やっぱりイサキは甘みがあってうまい。
生きているうちにエラを切って泳がせて血抜きをして、海水と氷を入れたクーラーボックスで持ち帰り、下処理をしてキッチンペーパーに包んで一日寝かせていただいたら、記憶にあるイサキの味よりもおいしくてびっくりした。そしてメジナも臭みがまったくなく、上品な白身でこれまたうまい。
白身魚が好きな人は、ぜひイサキ釣りに行くべきだと思います。
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