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18:夏の野草スベリヒユを食べてみる

佐渡島を旅行している時に、友人から「現代人はスベリヒユを食べるべきだ!タダだよ!タダ!」という話を聞いた。

まったく聞いたことのない名前の草だが、その辺の畑にいくと、雑草としてモリモリ生えていて、なかなかうまいらしいのだ。

なんでも、なんやかんや体に良いと評判のω-3脂肪酸(オメガスリーシボウサン)を含んでいるらしく、トルコやギリシャなどでは一般的な食材とのこと。

健康面での話はまあ置いておいても、その辺に生えている雑草がおいしく食べられるというのは興味深い話なので、ちょっと試してみることにした。

スベリヒユという名前は聞いたことがなかったけれど、その姿には見覚えがある。これって佐渡だけでなく、夏になるとどこにでも生えている雑草(野草)じゃないか。

教えてくれた友人の話だと、生でも食べられるらしいので、さっそく洗って柔らかそうな葉っぱ部分を選び、生で齧ってみることにした。

スベリヒユの味はというと、ちょっとえぐみがあって、しっかり青臭くて、歯がギシギシとする感じ。そして酸味とぬめりが特徴的だ。

とはいえ、このままでも食べられないことは無い。生で食べたらもっとまずい野菜は山ほどある。今では大好きなクレソンやパクチーを初めて食べた時も、同じような違和感だった気がする。

最初に挑戦したいのは、あえての生食である。畑で食べた時は単体で味付けも無しだったが、サラダにちょっと入れるくらいなら、良いアクセントになるのではなかろうか。

冷蔵庫にあったマヨネーズ味のマカロニサラダに、刻んだスベリヒユの葉を加えてみたところ、シャキシャキとした歯ごたえとハーブのような風味が加わって、どこか異国情緒を感じる料理になった。

生のままでも、しっかりと味付けをして、他の食材と一緒に少量を食べる分には、青臭さやえぐみは気にならないようだ。スベリヒユが有りと無しの2種類のサラダが並んでいたら、私は迷わず有りを選ぶであろうというくらい、プラスの要素として評価できる。

続いては正攻法である加熱してどうなるかの実験。火を通すことで、茎もそのまま食べられると信じたい。

軽く茹でたら水にさらして、めんつゆと鰹節を掛けて完成。スベリヒユのおひたしである。茹でることで、程よくえぐみや青臭さは抜けていた。ぬめりと酸味と歯ごたえという組み合わせで、今までに食べたことのないおひたしに仕上がっている。

たくさん食べると歯がギシギシとなるような感じが少しあるのは、ホウレン草などにも含まれるシュウ酸だろうか。好き嫌いはあるだろうけど、私としては独特の風味と豆もやしみたいな歯ごたえが好ましい食材である。

しっかりと茹でたスベリヒユを、ニンニク、ショウガ、胡麻油、醤油、粉末鶏ガラスープで合えて、ナムルっぽくしてみた。

これはきっとうまいだろうと予想はしていたが、やってみると大正解。石焼きビビンバの上に、豆もやし、ぜんまい、スベリヒユとナムルが並んでいても、なんら違和感がないはずだ。

濃い目の味付けをすることで、雑草っぽさを全く感じなくなった。

スベリヒユの特徴は独特の粘り。茹でたものを包丁でよく叩いて粘りを強調してみよう。

粘りの強さは、オクラ以上メカブ未満というところだろうか。モロヘイヤレベルの粘りである。

これはそのまま食べるよりも、粘りの横綱と合わせた方がうまいのではないだろうか。

小粒の納豆と合わせてめんつゆで味付けしてみると、これがまったく違和感なし。このまま食べてもうまいし、ご飯や蕎麦に掛けてもバッチリ。ナイスなペアリングである。

納豆の量が無料のスベリヒユで倍増され、エンゲル係数のダウンに成功。節約好きには堪らない料理だろう。

後日、南インド料理のトーレンも作ってみた。タマリンドとも違う酸味があって、なかなかおいしい。

山形ではスベリヒユのことを「ひょう」と呼び、ゼンマイのように干したものを戻して食べるそうだ。試してみようと干したのだが、さすがは多肉植物だけあって、ぜんぜん乾燥してくれない。

山形在住の友人に聞いたところ、生のままではなく一度茹でてからカラカラになるまで干したものを煮て食べるとのこと。そりゃそうか。しっかり茹でてから干すことでシュウ酸を抜く効果もあるのだろう。

スベリヒユは存在を認識さえすればすぐ見つけられると思うので、ここの野草やら食べてもいいかなという場所に生えていたら、一度食べてみるのもおもしろいと思う。

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