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田舎の実家で“オフィス”をつくってみた。GWの”なんちゃってPJ”にて。


完全な自由より、制限のある方が創造性が刺激される。

そんなことばを、ちらほら聞いたことがある。
そんなものかね~となんとなく考えていたのだが、
ゴールデンウィークに実家に帰省し、正にそれを実感してしまった。

具体的に言うと、諸々の制限付で”オフィス”を自分と夫でつくったのだが、
”創造性”という波に、自分の脳みそが波乗りをしているような…そんな体験だった。

そのことについて、記そうと思う。

実家への帰省。


後ろは山、前は崖…そんな山中にたたずむ実家には、
母屋と脇屋、2つの家がある。

母家は、もはやいつから存在するのかわからない古い家で、
見事な梁や縁側を持つ、いわゆる古民家である。
祖父が他界したため今は誰も住んでいないが、家を保つため、母が掃除他管理をしている。

脇屋は20年程前、納屋のあった場所に両親が新しく建てた家で、
比較的新しく、広いバルコニーが魅力的。こちらには両親が住んでいる。

PCR検査にて陰性ではあったものの、
万が一のことを鑑み、私と夫は母家に滞在することに。

困った…。作業ができない。


初日~2日目は、比較的快適である。

何がいいって、朝日が仏間や客間(畳)に差し込む際の美しさといったら…。
(明るい黄色や白ではなく、深く赤みの強いオレンジ色になる。ちょうど良い暗さを持つ古民家ならではの色あいで、現代の住宅ではなかなか出せない色なのでは。)

そして縁側。目の前の庭や杉の木々を眺め、ウグイスやそのほか鳥のさえずり、
風に揺れる葉っぱの音をBGMに、縁側でゆるり…。
外の世界と家の中が緩やかにつながる、その境界の心地よさといったら。
実に、尊い。

が、身体と脳みそがいい感じに緩みだした3日目以降になると…。
困ったことが出てくる。作業(仕事、勉強、執筆等…)がしたいが…場所がない…!!!!

母家の畳や縁側の空間は、力を抜くには非常に良いが、
あぐらをかいてちょうど良い高さの低い机・座布団しかなく、
長時間作業をすれば足腰が悲鳴を上げる。

また、母家は中に長時間いると”寒い”ため、集中できないのである。
外に出たり入ったり、もしくは縁側のような”境界”にいると非常に心地よいのだが(特に夏)…。

徒歩1時間(!)程のところに、元工場を改築してできたいい感じのカフェができていたので行ってみた。空間自体が面白く、非常に良いのだが、遠い…。車のない私たちにとって、徒歩1時間は気軽な選択肢とは言えない。そして、山中にある母家の徒歩圏内にはそれらしいカフェなどない。やはり、母家に場所を作るしかない。

どうせなら、ここでしかできないことをしよう!と、
半ば遊び気分で、私たちは「オフィスづくりプロジェクト」を始動

複数手段を検討してみる。

❶勉強机のリフォーム?

私が幼少期に使っていた勉強机を改造し、いい感じの机にできないか?どうせもう使ってないんだし…と考えた私たちは、勉強机の作りを確認。また、YouTube で勉強机の改造方法を調べてみる。結論、机の作りがしっかりしすぎており、動画を見ていても解体が大変そう。また時間と手間がかかりすぎて、すぐに使えない…。というわけで、この選択肢は無しに。

※目的と用途が定まりすぎている(完成されすぎている)道具は、状況に合わせて作り合えたり再活用する余地がなく負債になってしまう。Takram緒方さんの”コンヴィヴィアル”な道具、ちょうど良い道具、について書かれた本を思い出した(別記事で深ぼってみたいところ)。

❷中古店orニトリで新規購入?

必要なものは、椅子と机。すぐに必要なら、手頃なモノを買ってしまえ!と思い立った私たちは、中古家具店やニトリをハシゴしてみた。良さそうなものはあったのだが、ただお金で解決することに違和感(つまらなさ)を感じ始めてしまう…。また、ずっと自分が常時滞在している訳でもないのに新たなモノを増やしてスペースを取ったり、両親の管理コストを増やすことに罪悪感も。

 ※そして、家すらも自分で設計し建ててしまう田村さん家の生活を前日TVで見てしまった私たちは、お金で買う選択肢が魅力的に映らなかったのも確かである。

❸ホームセンターで資材を購入?

自分で作るなら…資材を探そう!と、赴いたホームセンターにて。これ、天板として使えそだね!机の脚にできそうだね!高さ調整もできそう?等、とても刺激を受けたのであった。が、一方で、こんな感じの資材であれば、家にもあるかもしれない…と思い始め。家にある使えそうなものを洗い出してみよう!ということになった。

※実家は代々農家であり、農具や資材が溢れている(綺麗ではないが)

❹家を探索

家に戻り、何か使えそうなものはないのか探してみる。
椅子に使えそうなものは…
机は…
気分に合わせて机の高さを調整するには…

石ブロック、古い茶箱、スノコ
…視界にすら入ってなかったモノたち。

奥にしまわれたキャンプ用の折りたたみ椅子、
倉庫裏に放ってあった野菜を干す際に使うコンテナ
…探そうと思わないと見つからないモノたち。

これまで見ていたものと、全く違う世界が見えてくるから不思議。

そうして見つけてきた材料を合わせ、組み立て、
あーでもないこーでもないと検証しながら、”オフィス”が徐々に出来上がってきた。

できた!!👏


完成品は、こちら!!!!

農作業用コンテナ×スノコで作った”デスク”


なんと、立派な、しかもなんならちょっと粋なガレージ風?オフィスである。

積み上げた農作業用コンテナで2つの脚をつくり、使わなくなったスノコで橋渡し。
椅子は、使われず終われていたキャンプ用折りたたみ椅子とバルコニー用アルミ椅子。
結論、大満足。非常に快適。

素材が素材だけに屋外に設営することになったが、
ここち良い日差し、日陰、風にあたりながらの作業は、実に贅沢である。


風が快適(調子に乗り、隣にテントも設営)。


オフィス自慢🥳


せっかくなので、このオフィスの魅力を挙げ、自慢してみる。。。

①すぐに場所を移動できる

見ての通りパーツを組み立てるだけ。屋内外、スペースさえあれば、どこでも自由に設営可能。屋外の場合、時間によって日の当たる場所が変わったりするが、それに合わせて位置を微調整することも可能である。

②気分によって改造可能

 釘も接着剤も何も使っておらず、載せただけ※なので、
 高さを変えたい等、手を入れたければいくらでも変えられる。
 ちょうど良い素材が見つかればの話だが、探せば割と見つかるものだと学んだ。

※強度の心配はあるが…一時的な利用なので、少なくとも
この時にはそんなに問題にはならなかった

③使わない時はしまえる

近々、この実家と、自分たちの住まいの間で2拠点生活を目指している私たちだが、まだまだ実家については不在期間が多い。私たちが使わない時には、パーツを崩して、もとの場所に戻せば、オフィスは消える。親が掃除をしたり、他管理をする必要はない。罪悪感フリーである。

④低コスト

今あるものを使ったので…0円。また、組み立てにかかる時間は10分弱!

⑤オリジナリティ!!!

このオフィスは、実家にあるもので、私と夫のインスピレーションのままに作ったものなので、断言はできないものの、高確率で”ここにしかない”オフィスと言える。
ストレングスファインダーにて「着想」が上位で、人と違うことをしたい欲が非常に強い私にはたまらないオフィスである。

⑥つくる体験を楽しめる

これはオフィスそのものというより、オフィスを作る体験についての話だが、
いろんな素材を探し、想像し、組み立て、実験する一連の体験が楽しすぎた。
そして、実際に満足のいくものができた時の達成感といったら…!!!
お金で購入することでは絶対に得られないこの感覚。たまらない…!!!


制限が生んだ豊かさ。


あとで振り返ってみると、このオフィスを設営するにあたり、
私たちが大事にしたいもの=私たちにとっての”制限”は次の3つだった。

1.ただお金で解決するのは芸がない。つまらないし楽しくない。
お金はかけず今あるものを使う

2.自分たちが不在時の管理コストを無くしたい
使い終わったら失くせる

3.すぐに使いたい
用意に時間がかからない

なかなか難しいところだが…
これらの制限があったからこそ、私たちの思考が変わり、見るものが変わり、
ここで、この時だけしか生まれようのないものを、生み出すことができたのである。


特に制限1については、「精霊の守人」のアニメ第一話で、主人公バルサ姉さんが
「お金があると、どこに行っても同じような生活しかできないけど、お金がなければその土地にあった生活ができる。それはそれでいいもんさ〜」的なことを言っていたことが思い出される。

「お金で買える自由」を選択肢から除外し、「今あるものを使う」ブリコルールなスタイルで考え動いたとき。これまで気にしなかったものの新たな一面を発見したり、どう使おうか?と脳みその創造スイッチが入る。

また、出来上がった”作品”には、自分のそのときの気分や、個性や、興味も必ず宿る。
その時にある具材や季節という条件とも相まって、この”作品”は、このとき、この場所、このときの私たちにしか生み出すことができず、体験し得ないものとなる。

多分、2度として、同じものができることはない。
次回の帰省時には、また違うものができる。だから、”今”に全力集中で楽しめる。

うーん、面白い。

今後の”村づくりPJ”に向けて。


今回過ごした母家を起点に、面白い村を作りたい…なんて考えている自分。
その村に関わる人、訪れる人には、今回私たちが味わったような体験をしてほしい。

今ここにあるもの、今の自分、今周りにいる人たち、自然、今の世界…。
いろんな条件が合わさってつくりあげるプロセスの中で、
自分のこと、世界のこと、関わりある人のこと、その繋がりや、
”驚異的な”尊さを再認識し味わう


そんな体験ができるような村にしたいな。
今回のオフィスつくりPJは、”村づくりPJ”に新たな色を添えてくれる、
非常に有意義なものだった。

次の帰省では、何をしようかな?
次なるPJに思いを馳せながら…。

筆休め。










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