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オーストリア/歴史ある天然水野外プール「フスラウ」で、タイムスリップ気分な水遊び

オーストリアでは、日本ほど気温が上がらないこともあり、普通の家には冷房はありません。しかし、夏には2,3週間ほど30度を超える日もあり、そんな時には涼しさを求めて、プールや湖に繰り出します。

今日ご紹介するのは、ウィーンから南に30キロほど離れた温泉地、バート・フスラウ(Bad Voeslau)です。19世紀後半に作られた建物が現役のまま使われているので、広大な敷地内に足を踏み入れると、タイムスリップした気分が味わえます。

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天然野外プール「フスラウ」の堂々たる入り口。

有名な温泉地バーデンからもほど近く、この辺りはオーストリア有数の温泉、天然水地帯として知られています。オーストリアの二大ミネラルウォーター、RoemerquelleとVoeslauerはどちらもこの地方の水です。

この地方には新石器時代後期から人類が居住していた跡があり、ローマ時代にはこの辺りの温泉地は既に知られていました。12世紀にはフスラウの水の効用がすでに記録され、19世紀には、ベートーベンの医者であったマルファティ医師がこの天然水の研究をしています。

1873年には現在の野外天然水プールとその建物が、ウィーンのリンク大通りを設計したTheophil Hansenの手によって建設され、今でも現役を保っています。

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背景の黄色い建物がメインの入り口。両翼に広がる部分は、個室の更衣室となっています。

一歩足を踏み入れると、背景には歴史ある建物が取り囲んでいて、ハプスブルク帝国時代に迷い込んだような錯覚に陥ります。

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この彫像も19世紀のもの。階段を上ったところに更に大きな天然水プールがあります。

ここには三つの大きなプールがあり、入り口近くは通常の屋外プール、更に奥には有名なフスラウの天然水をそのまま利用した「緑のプール」があります。

「緑のプール」は天然水をそのまま使用したプール。暑い日曜日には芝生も人でいっぱい。

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源泉がこちら。直接飲むこともでき、ひんやり冷たくてとても美味しい水です。

有名なプールなだけあり、暑い日には人でにぎわいますが、この更に奥にはまだ広大な敷地が森の中に広がっています。ここまで来てしまえば木陰が涼しく、とっても静かにのんびりできるので、人混みが苦手な人でも大丈夫。

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木陰が涼しそうな森も広大な敷地内

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「森のプール」は自然に囲まれ、さながら露天風呂。

森の中には、天然水を利用した「森のプール」もあり、のんびり泳ぎを楽しむことができます。他にもビーチバレーのコートやミニゴルフ、食事をするところなどがあり、広い敷地で一日ゆっくり遊べます。

また、日帰りだけでなく、天然水の効能も知られていることから、長期で敷地内のホテルやバンガローに滞在して、長期療養を行うこともできるのが普通のプールと違うところ。

このように、暑い日の週末にウィーンから訪れる家族連れだけではなく、地元のおじいさんおばあさんから、長期療養中の滞在者まで、老若男女がその心地よさと効能を求めてやって来る「フスラウ」天然水野外プール。

一日楽しく遊べて、歴史を肌で感じることができ、一味違う暑い日曜日の午後が過ごしました。

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(2014年8月執筆)

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