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オーストリア/中世の雰囲気の残る、モスト地区のヴァイトホーフェン

オーストリアは田舎がメルヘンチックでとてもかわいらしいので、週末はよく一泊旅行で、気軽に近郊の田舎に出かけます。今日ご紹介するのは、ガイドブックには載っていないけれど、中世の雰囲気の残る、素敵な田舎町ヴァイトホーフェン(Waidhofen an der Ybbs)です。

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ヴァイトホーフェンの街並み。

オーストリアは8つの州に分かれていて、ウィーン市を取り囲むように広がるのは、ニーダーエーステライヒ州。カタカナで書くと長ったらしいですが、「低地オーストリア」を意味し、アルプスの広がる「高地オーストリア」と比較して、山が少ない地域を指します。ニーダーエーステライヒ州自体はかなり広く、4つの地方に区切られています。

それぞれの地方は、「ワイン地方」「森林地方」「モスト地方」「工業地方」と名付けられ、それぞれ産物や土地の特徴を指しています。(「工業地方」だけなんだか毛色が違っていますが、実は温泉が豊富でスパがたくさんあるので、個人的には「テルメ地方」と名付け直した方が楽しそうだと思うんですが。。)

今回は、この中でも「モスト地方」にある小さな町ヴァイトホーフェンのご紹介です。「モスト」というのは、ワインや果実酒の原料として絞られた果物のジュースのことで、秋にはぶどうジュースのことを指しますが、一般的には、このモスト地区でよく収穫される、洋ナシとリンゴのジュースのことを指します。

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ヴァイトホーフェンの近くの山Sonntagsbergの上にあるバロック式の教会

こんなモスト地方にあるのが、中世の雰囲気を残すかわいらしい町、ヴァイトホーフェンです。ガイドブックにも載っていないのでたいした見どころがないのかと思いきや、お城があり、川があり、歴史的な塔がありと、非常に興味深い町でした。

まずは、町のシンボル、「ロートシルト城」Rothschildschloss。こんな小さな町にこんな立派なお城が!と思うほどの豪華なお城で、中庭は素敵なテラスレストランと、小さな野外劇場の舞台があります。

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城の中庭にある、とても美味しいレストランのテラス

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こちらも城の中庭。美術館も入っています。

このロートシルト城の外側には、イップス川が流れていて、散歩するのはとても気持ちがいいです。

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イップス川とロートシルト城外観

この橋の上で、こんなものをたくさん見かけました。

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どうやら、結婚式を挙げたカップルは、ここに名前入りの南京錠をかけておくことになっているらしく、手作りのものから、オーダーメイドのもの、古いものから新しいものまで、たくさんのロマンチックな南京錠がありました。

この町のもう一つのシンボルは、町の塔。中世的な無骨な形で、町の広場の真ん中にそびえています。壁の文字を見てみると、「1532年、ヴァイトホーフェンの市民は、トルコ兵を追い出し、その記念にこの塔を建てた」と書いてあり、この歴史に驚きます。

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ウィーンから車で西に1時間以上かかるこの場所までトルコ兵が来ていて、町を占領していたことに、とても驚きました。オーストリアでは、各地にこのトルコ兵来襲に関する記念碑などがあり、歴史の重さを感じます。

古い歴史を持った、かわいらしい田舎町ヴァイトホーフェンと、その周りを取り囲むのどかなモスト地方。ウィーン観光だけではなく、オーストリアの田舎の素晴らしさに触れてみたい方は、近辺の農家ゲストハウスに泊まって、この辺りをのんびり周ってみるのもいかがでしょう?

(2013年7月執筆)

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