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オーストリア/メルビッシュ湖上音楽祭で「屋根の上のバイオリン弾き」

毎年夏は、ウィーンの劇場シーズンは夏休みを迎えますが、ウィーン郊外で様々な演劇祭や野外音楽祭が催され、夏の風物詩となっています。

その中でも最も有名な音楽祭の一つが、ノイジードル湖の湖上に作られた特大舞台で上演される、メルビッシュ湖上音楽祭です。

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湖上オペレッタの会場と舞台。舞台の向こう側はノイジードル湖が広がっています。

レパートリーはオペレッタが大半ですが、時には古いミュージカルを上演することもあり、毎年多くの音楽ファンで賑わいます。

今年は、ミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」(独題「アナテフカ))が上演されました。久しぶりだったので、足を延ばして観劇にでかけることにしました。

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会場までの通路。相当大きな会場なので、近づいていくとワクワクします。

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フォアイエ部分は屋根付きの建物になっています。


開演前から舞台上にはセットが組まれ、村人たちが準備を始めています。舞台の奥に見えるのが、ノイジードル湖。舞台手前にも水が運河のように引き込んであります。

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この「屋根の上のバイオリン弾き」という作品、日本でも何度も名優を迎え上演されていますが、オーストリア人も特にお気に入りの作品です。ロシアの寒村アナテフカに住む貧しいユダヤ人テヴィエが、3人の娘の結婚に悩まされ、皮肉なユーモアを忘れずに生きていく姿が、特にオーストリア人の共感を得るのかもしれません。

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幕間には、野外のバーで一服。

この湖上オペレッタは、1957年から既に50年以上続く音楽祭です。その間に劇場もオーケストラも改装され、6000人を収容できる大野外劇場となっています。

1993年から総監督を務めていた、元フォルクスオーパーのバリトン歌手セラフィン氏が2012年に退任してからも、女性ソプラノ歌手が総監督に就任し、伝統を守って上演を続けています。

野外巨大劇場ということで、演出も派手で度肝を抜かれます。今年は噴水や花火を使った演出の他に、蒸気機関車まで登場し、拍手を浴びていました。以前見たオペレッタ「白馬亭にて」では、ラストの有名な皇帝が登場するシーンでは、手前の運河から皇帝の乗った船が船着き場に到着するという演出がとってもリアルでした。

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最後は湖上に打ち上げられる花火と噴水の演出で、大満足。

湖上劇場ということで、湖の向こう側に宿を取って、観劇がてら一泊する人たちも沢山います。そんな人たちのために、湖上フェリーが運航していたのも印象的でした。

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劇場から湖を渡って宿まで観客を運ぶフェリー。

ウィーンから車で1時間の距離の湖上音楽祭。ノイジードル湖や近くにあるコウノトリの町ルストなどと組み合わせて、ウィーンからの一日旅行がてらふらっと立ち寄るのも楽しいかもしれませんね。

オペレッタファンだけでなく、気持ちのいい夕方に、湖上舞台の解放感と楽しい音楽を楽しみたい方は、ぜひ一度いらしてみてください。

(2014年8月執筆)


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