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ウィーンの宮殿内にある、ヨーロッパ最古のオークションハウス「ドロテウム」

音楽の町ウィーンは、美術品好き、骨董好きな人にもとても魅力的な街です。ウィーンのオークションハウス「ドロテウム (Dorotheum)」は、世界的に見ても最古かつ最大のオークションハウスの一つとして数えられ、ドイツ語圏最大、中欧では最も規模の大きなものです。

今回は、意外に誰にでも開かれていて、豪華でノーブルな雰囲気を味わえる、ドロテウムの内部をご紹介します。

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この「ドロテア宮殿」そのものがオークションハウス「ドロテウム」です。

女帝マリアテレジアの叔父ヨーゼフ1世の時代、1707年に国営質屋として創立されたドロテウムは、300年の歴史を誇ります。1901年に、元々修道院があった土地に「ドロテア宮殿」が作られ、ドロテウムが移転してきた時には、当時の皇帝フランツ・ヨーゼフ本人が、オープニングセレモニーに出席したと言われています。

ドロテウムでは年600回以上のオークションが開かれています。取り扱われるのは、絵画などの美術品、宝飾品、骨董品、家具、切手や記念コインなどで、40ものカテゴリーに分類されています。

そんな世界的に有名なオークション会場ということで、入ってみるのは非常に敷居が高い気がしますが、勇気を出して足を踏み入れてみました。場所はウィーンの中心シュテファン広場からすぐ近く。入場無料で、出入りも自由。実はとても開かれた場所なんです。

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入り口のホールは、宮殿内のオークションハウスということで、とてもエレガント。高級宝石店のように、壁や柱に装飾品が展示してあります。この階にはインフォメーションがありますので、お目当てのものがある場合には、ここで問い合わせましょう。

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階段を上り、二階に上がるとガラッと雰囲気が変わり、美術館のようです。この階は絵画と彫刻のエリアで、貴重な美術品を目の前で見ることができます。

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美術館と異なるのは、説明書きのところに価格が書いてあること。平日の昼間ですと、ちょうど同時間帯の美術館程度の込み具合で、所々に作品を吟味する鑑定家や老夫婦の姿が見られます。

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ちょうど取材の前の週末に、皇妃エリザベートが皇帝フランツヨーゼフと婚約した直後に描かれた肖像画が、短期間だけ一般に公開された後、オークションにかけられる、というニュースが世界を駆け巡りました。その絵画がこちらです。

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馬上のエリザベートの絵画はこの左の絵です

2階には吹き抜けの広間があり、3階のオークション専用の部屋と共に、ここがオークション会場になることも多いそうです。

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3階は、ジュエリーや銀食器、陶磁器などの展示になり、雰囲気は高級デパートのようです。ルビーや真珠のネックレスの他、アウガルテンの高級陶磁器などもありました。

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またこの階にはカフェもあり、展示品鑑賞の合間にウィーンらしいコーヒーを楽しむこともできます。

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美術館と高級宝石店の両方の雰囲気を併せ持つ、宮殿内のオークションハウス、ドロテウム。ここでは日々、エキサイティングなオークションが行われていますが、特に何も買う予定はなくても、展示品を眺めているだけで、半日は楽しむことができます。

ウィーンを訪れる美術品好き、骨董品好きな方は、ぜひふらっと中に入って、この独特の雰囲気を味わってみてください。もしかしたらお気に入りの品が見つかるかもしれませんよ。

(2017年4月執筆)


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