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オーストリア/秋の風物詩、聖マルティンのガチョウを食べる

日本でも柿やマツタケなどの秋の風物詩があるように、オーストリアでも、栗やカボチャ、ジビエ料理などと並んで、秋になればみんなが喜んで食べるものの一つに、ガチョウがあります。

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秋の飾りつけがかわいいホイリゲの店先

この時期に食べるガチョウは、「聖マルティンのガチョウ」Martini Ganslと呼ばれ、この季節にしかメニューに並びません。そのため、予約が必要だったり、特定のレストランでしか食べられなかったりするので、ガチョウを食べること自体がイベント的で、とってもワクワクするんです。

この、11月11日にガチョウを食べるという習慣は、古くはケルト時代に遡ります。ケルトの暦で冬の始まりの日であるこの日に、家畜のガチョウを食べるのはケルト人の伝統で、それが今まで受け継がれているんですね。クリスマスやイースターと同じく、「聖マルティンの」と言ったキリスト教的理由は、後世の宣教者の後付けなんです。

正式には、このガチョウを食べる日は、この聖人を祭る11月11日と決まっているのですが、実際には10月末から11月中旬までの間に「ガチョウあります」と看板がかかったレストランで食べることができます。

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ガチョウの絵とともに、Martini Ganslと書いてあります。

とくに有名なのは、ガイドブックにも載っているツム・マーティン・セップ(Zum Martin Sepp)というホイリゲレストランです。ここは、お店の名前にMartinが入っているためか、「聖マルティンのガチョウ」では最も知られているお店です。

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Zum Martin Sepp店先。ホイリゲ街グリンツィングでもわかりやすい場所にあります。

ここで私も何度かガチョウを食べに来ていますが、皮がパリッとしていて中がジューシーで、とっても美味しいです。付け合わせには通常赤キャベツと甘いソースが付きますが、この店の栗のキャラメル風味のソースは絶品です!このソースだけデザートに食べてしまい程の美味しさですが、この甘さがガチョウに意外にピッタリです。

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ガチョウは二切れで、結構おなかがいっぱいになります。奥の白いお皿に入っているのが、キャラメル風栗のソース。その左横にはジャガイモのクヌーデル(団子)。

メインのガチョウ料理だけではなく、他にもガチョウ入りスープやレバーのムース、ガチョウ肉のラグーなど、ガチョウ料理のバリエーションも豊富です。また、有名なホイリゲ街のレストランだけあって、ガチョウに合ったワインのお勧めも。

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ジビエ料理(狩りの獲物を使った料理)も旬ですので、鹿肉のラグーもとても美味しかったです。

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店内は明るく、ホイリゲ風にセリフサービスのカウンターが広々しています。テーブルでのオーダーもできますので、お好みでどうぞ。

ちなみに、ドイツ語でガチョウはGans(ガンス)と言いますが、「ガチョウさん」と言った親しみを込めて語尾にLを足し、通常はGansl(ガンスル)と言います。

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夜のホイリゲ街グリンツィングは、散策にも雰囲気があります。

秋にウィーンに来られる方は、ぜひこのガチョウや、ジビエ料理など、この時期旬のものを、ワインとともに楽しんでみてくださいね。

(2013年11月執筆)


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