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みるということ Vol.3


触れて、見る


(永)小学校の時に点字を習得されたってことなんですけど、ちょっと調べると視覚障害者のうち、点字を使える人の割合って10%ぐらいらしいですね(厚生労働省「平成18年身体障害児・者実態調査結果」による)。つまり、点字は習得が難しい? 辻本さんは覚えるのに時間がかかったんですか。

(辻)そうですね。結構かかったと思います。ブライユ点字って縦3点、横2点で一マス、計6点あるんですけど、どこか1点がなくなったり、足されたりすると、全く違う文字になったりするので、最初は感覚をつかむのが大変でした。読めるようになったとしても、次は書く作業があって、読み書きをすべてマスターするのにたぶん半年はかかりました。

(永)でも、半年で習得されたんですか。

(辻)盲学校の時に、しっかり指導していただいたので。

(永)それは、小学校のときですか?

(辻)はい、小学生1年生のときです。

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(永)ちょっと聞きたいんですけど、オーディオブック(録音図書)とかで、音声により情報をインプットするのと、点字でインプットするのとでは、何か決定的に違うことはあるんですか。

(辻)そうですね。私は点字の方が速いんです。音声で聞いてるとスピードにも限界があるんですけど、点字だと飛ばし読みができます。自分の読みたいところを好きなように触って、好きなところから読めるし、何回も読み直したりすることができます。音声だと、また読みたい場所を探すのが大変で。あと点字をずっと使ってきたので、勉強にしても、点字で読む方が覚えは速いです。

(永)そうなんですね。ところで、箕浦さんは障害学生支援室のスタッフとして、辻本さんの学習研究面のサポートをされていますが、辻本さんが点字の資料を読まれているところとか見られたことがあるんですか。

(箕)ありますよ。結構速いですよね。さっき辻本さんが言われたように、自分の読みたいところを好きなように読むってことを結構自在にされてるんだな思って見ていました。
それに、パソコンの中のあるフォルダに入ってるある名前のドキュメントを示したら、もうすぐにファイルを見つけて読みはじめたのも驚きでした。読む行為だけじゃなくて、データを探してそれを取り出してくる行為もすごく速いんだなと思いましたね。

「みるということ」オンライン座談会 目次

|0| 辻本実里さんという人
|1| 好きな色は、ピンク
|2| 触れて、見る
|3| 一聴き惚れ
|4| はじめての一人暮らし


座談会メンバー

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