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2024年8月15日(木)〜29日(木)の日記(からあげ、激辛、あついなみだがぶわーーってこぼれおちたよ)

8月15日(木) 本日の日記

8月は毎日日記でも付けようと思って既に15日が過ぎてしまったのであり、本日から日記を付けていくものである。

8月16日(金) 床屋の植物

髪を切りに行っているヘアーサロンに大きな植物がたくさん置いてある。私の身長をゆうに超える背丈のバナナの葉みたいな植物を指して、「この植物すごいっすね」と私は髪を切るお兄さんに言った。お兄さんは髪がボッサボサの時もあれば、逆に丸坊主の時もあり、本日はボッサボサと丸坊主の中間くらいの落ち着いた感じであった。「これね、すごい水吸うんですよ」とお兄さんは言った。植物を育てたことのある人ならわかると思うが、植物は水を吸う。昨日あげた鉢植えの水がもう乾いてた、みたいなことが起こる。それは植物が自らの生育と生命の維持のために根から水を吸っているからである。そのバナナの葉みたいな植物は私の左側にあったが、私の右側にある大きなシダ植物みたいな植物を指し、「これもすごいですね」と私は言った。「これは弟にもらったんだけど、これもすごく水吸う」とお兄さんは言った。どうやらお兄さんは植物というものを水を吸うか吸わないかでジャンル分けしているようであった。植物を水を吸うか吸わないかで認識している人を初めて見た。当該植物が水を吸うか吸わないかは実際に育ててみないとわからないから、経験者の生の声だなと思った。「あれは?」と私は私の後方にあった天井に届きそうな程の背丈の灌木を指して言った。「あれはあんまり水吸わないっすね」とお兄さんは言った。

8月17日(土) ステイシー・レヴィーンのケーキ

Twitter(現X)にて時々短編小説の話題がトレンドに上がるように思う。私が何か短編小説を1篇選ぶとすれば、ステイシー・レヴィーン「ケーキ」(『居心地の悪い部屋』岸本佐知子編訳 河出文庫 所収)だろうか。これはどういう話かというと、私は丸々となりたいからケーキを思う存分食べたいんだけど、窓の外から犬と猫に見られているような気がするため、ケーキを食べることができない、ということが10ページに渡ってずっと書いてある小説である。

8月18日(日) 冷凍の唐揚げ

近頃では私は、近所のスーパーマーケット及びドラッグストアで売られている冷凍の唐揚げ&竜田揚げどれが一番うまいかグランプリを一人で開催しており、毎日唐揚げを食べているせいだと思われるが、肌の調子がすこぶる悪く、出来物とかできちゃってる感じである。しかし、唐揚げの副産物を憎んで唐揚げを憎まずと言われているように、唐揚げは悪くない。飽きっぽいのでやがて唐揚げに飽きて十割蕎麦とかを食べ始めると思われ、その頃には肌の調子も良くなっているだろう。

8月19日(月) 蒙古タンメン中本の冷やし味噌やさい

近頃では私は、専ら蒙古タンメン中本の「冷やし味噌やさい」である。冷やし味噌やさいというのは、蒙古タンメン中本において一番辛いメニューである(冷やし味噌と並んで)。辛さレベルは10。定番の蒙古タンメンが辛さレベル5、かなり辛いと言われている北極が9だったと思われ、それよりも辛いということになる。去る8月8日(木)、私は友人Aという人物と共に新宿にいた。青ヶ島屋という、青ヶ島の名産品を出してくれる居酒屋で飲んでいた。私は友人Aと月1〜2回ほどランダムな店に飲みに来ることになっているが、この度はどうやら友人Aの様子がおかしいことに私は気付いていた。いつもは、あれを食べようこれを食べたい、いいねそれも食べよう、という感じなのだが、この時は、あ、それ食べる? 食べたいなら頼めば? 頼むんなら俺も食べるよ、みたいな、いつもの食に対するがっつきみたいなものがだいぶマイルドになっていたのであり、僅かな居心地の悪さを確かに感じていた。やがて、そろそろ店を出るかなという段になって友人Aは、時は満ちた、というような感じで「この近くに蒙古タンメンあるんだけど、行かない? 冷やし味噌ってのがうまいらしくて」と言い、合点がいった。どうやらこやつは、蒙古タンメン中本の冷やし味噌が急に食べたくなり、そのことで頭がいっぱいで、そもそも予約していたこの飲み屋の事象に集中できていなかったみたいであった。とはいえ、この居酒屋はきわめて美味でわりといろいろ食べたため、蒙古タンメン中本の冷やし味噌が胃に入る余地が現状なく、バーで酒でも飲んでればそのうち腹が減るだろうとのことでバーで2時間ほど酒を飲み、そのバーでも友人Aは「そろそろ腹減ってきた?」「中本行けそう?」「もう行く?」「冷やし味噌って旨いのかな」などと発話し、バーに全く集中できていない様子であった。やがて我々はバーを出て、蒙古タンメン中本に行き、冷やし味噌を食べ、う〜ん!辛いけど旨い!と思い、爾来、私は専ら蒙古タンメン中本の冷やし味噌やさいなのである。「やさい」であるのは、普段野菜を食べる習慣が無いため、せめて外食では野菜を摂取したいからである。私は特段辛いものが好きというわけではないが、なぜか年々辛いものに対する耐性がついているみたいで、蒙古タンメン中本において一番辛いとされる冷やし味噌については、確かに辛かったけど、普通に美味しく食べられる感じであった。このまま辛さに対する耐性が付き続け、私は最強になっていくだろう。

8月20日(火) 右耳の異常

1ヶ月くらい前から、右耳に水が詰まっているような感覚が続いている。水が詰まっているような感覚になる前には右耳の当該箇所に激痛が走っており、両者の間には何らかの関連性があるのではないかと思われるが、私の耳がそのように供述したわけではないから(耳というのは何かを聞く部位だから、そのように供述したとすればすぐにわかる)、実際のところは不明である。しかし、激痛と水が詰まっているような感覚のどちらがよいかと問われれば、水が詰まっているような感覚の方が遥かによく、なぜなら激痛は痛いからだ。痛みというのは人体から発せられる危険のシグナルとみなしてよいと思うが、水が詰まっているような感覚というのが果たして人体にとって何のシグナルなのかよくわからず、耳というのは何かを聞く部位だから、貝殻を耳に当てると海の音が聞こえるような感じで、右耳に水が詰まっているような音を、この文章をノートパソコンで打鍵している間も聞き続けている。

8月21日(水) ダブルのベッド

Twitter(現X)ではさらっと言及したが、人間、いつ分身したり分裂したりするかわからないのでダブルのベッドを購入した。分身したり分裂したりした後では遅いため、分身したり分裂したりする前に購入できてよかった。人間の営みというのは、かつては穴を掘って住居にしていたが、今やタワーマンションに住むことが一種のステータスになっていたりして、つまりは高度という意味において上へ上へと志向しているようである、という考え方があるが、私もこれまでは床に布団を敷いて寝ていたところを、ベッドというちょっと高度のやんごとなき場所で睡眠することについてやぶさかではない感慨を覚え、上へ上へとなっているかもしれない。かなり前からベッドを導入したいとは思っていたものの、家にでかい物が増えるのは嫌だなとか、引っ越しとかなったら運び出すのに厄介だな、とか考えて先延ばしにしていたが、もっと早くベッドを導入するべきであった。当初はセミダブルでオーダーしていたが、大は小を兼ねるなと思い、ダブルで発注し直した。結果、大は小を兼ねた。全く関係のない話だが、私の父は、私の母が何らかの事象への言及で「まあまあ、大は小を兼ねるっていうじゃないですか」と言うのを耳にすると、決まって必ず「じゃあスプーンで耳かきできるのか?」と返すことになっていたように記憶しており、そういう偏屈な大人にはなりたくないものである。ダブルのベッドは広く、そこは一つの生活空間である。私はビジネスホテルの広いベッドの上でだらだらしながら寝落ちするのが好きだが、ダブルのベッドがあることによって、そのラグジュアリーな体験を毎日自宅で堪能することができる。今年は私の睡眠がこれでもかというほどに加速していくだろう。

8月22日(木) 久しぶりの連絡

3週間くらい音信不通だった人物から突然に連絡がきた。この「3週間くらい音信不通だった人物から突然に連絡がきた」を具体的に言うと、3週間前に何の前触れもなくLINEが「メンバーがいません」になっていて、その3週間後に別のアプリ経由で「LINE新しく作ったから登録して!」と連絡がきた、ということである。ついでに言うと、私は当該人物と2週間前に会う約束をしていながら、3週間前にLINEが「メンバーがいません」になっていたのであり、つまりその約束は宙に浮いたまま時間が過ぎて今に至るのであった。人は3週間でいろいろなことを忘れる。いろいろなものが風化する。失いたくないものだって勝手に脳内で消失し、正当化された思考に置き換わる。そして、3週間もあれば何らかの行動を起こして新たな何かを獲得することもできる。「LINE新しく作ったから登録して!」が来てから3日が経つが、未だにそれに対して何のリアクションもしていない。即レスするのも癪だし、かといって、何らかのリアクションをしたくないわけでもない。やがて、メッセージと共に来ていたIDを登録して「やっほー」とかメッセージを送信すると思うが、その時期がよくわからないでいる。

8月23日(金) 入浴の習慣

近頃では私は、夜に酒を飲みながら入浴するのが習慣になっている。酒を飲みながら入浴すると突然に死ぬ可能性があるから、やめたほうがいいだろう。

8月24日(土) 唐揚げの結果

先に言及した、近所のスーパーマーケット及びドラッグストアで売られている冷凍の唐揚げ&竜田揚げどれが一番うまいかグランプリの結果、優勝は「若鶏の竜田揚げ(ニチレイ)」である。肉感が良く、満足度が高かった。次点で「極旨!ももから揚げ(マルハニチロ)」である。バランスが良く、万人に好まれる商品だと思う。

8月25日(日) 生活の気づき

・アボカドは大きい方が質が良く、ハズレを引く確率が低い
・魚は何でもかんでも煮魚にすると部屋が生臭くならなくて良い
・スポンジは100均の4つくらい入ってるやつじゃなくて、ホームセンターとかで1個200円くらいで売ってるやつのほうが品質が圧倒的に高く、結果的に良い
・引っ越ししてまず初めにやるべきことはシャワーヘッドの交換である
・乾麺の十割蕎麦を茹でると良質な蕎麦湯ができて良い
・うちの近所に15時に閉店するラーメン屋があるのだが、いつも16時とかに食べたくなっちゃう

8月26日(月) Twitter裏アカ業者と土左日記の関係

表題の土左日記の前にTwitter(現X)裏アカ業者の話をしなければならないだろう。ここで言う「裏アカ」というのは要するに「えち垢」のことだが、私はきわめてまともで常識ある人間であり、公衆の面前で「えち垢」などという破廉恥なワードを繰り返し発話することは憚られるため、便宜上「裏アカ」と記述していく。現状のTwitterには金儲けのために女性を装ってアカウントを運用する業者が跳梁跋扈している。わかりやすいところで言うと、リプに湧き出る奴、(最近は少なくなったと思うが)謎のDMを送り付けてくる奴、謎の経緯でフォローしてくる奴、いきなり投稿をRTやいいねしてくる奴、トレンドやハッシュタグ・何らかのキーワード(つまりまとめれば検索)をハックしてくる奴、などが表面上目立つわかりやすい裏アカ業者であるだろうか。しかし、現状の最先端の裏アカ業者はというと、「ディープフェイク(と思われる技術)を用いて架空の女性の扇情的な画像・動画の投稿をし、おすすめとしてタイムラインに載せ、ファンを着実に獲得していく奴」であろう。フォロワー数万、数十万はざらである。どういうビジネスモデルになっているかというと、TwitterやTikTok等のSNSからfantiaやmyfansなどのパトロンサイトへ下心のあるファンを誘導し、月980円とか2,980円とか29,800円(!)とかのサブスク契約をさせるというものである。サブスク契約をしたユーザーだけが、当該裏アカ女子の(ものとされる)本質的に過激な画像・動画を閲覧することができる。だから、その入口となるTwitter等のSNSにおいて当該裏アカ女子は、人気キャラのコスプレをしたり、チラリズムを最大活用したり、蠱惑してきたり、なぜこの裏アカをやるに至ったのかのストーリーをしっかり自分の言葉で提示し(ているように見せ)たりなど、戦略的な運用がなされている。さて、一人の人気裏アカ女子がいる。フォロワーは十数万人。殿方であれば一度はタイムラインにおすすめとして流れてきたことがあるかもしれない。このアカウントも例に漏れず、ディープフェイク技術を(おそらく)用いて上記のような戦略を採用しているわけだが、私はその投稿内容からあることに気付いた。投稿のテキストを読むと、「月ようび」「とうこう」「ふぁんくらぶ」「たいふう」「ふるばーじょん」「かめらまん」「だいじょうぶ」「いう」「おもって」など、漢字あるいはカタカナで書かれてしかるべき箇所が、意図的にひらがなに開かれて記述されているのである。もちろん、その投稿を実際に記述しているのは、当該裏アカ女子ではなく、そのバックに付いているおじさん(お兄さんかもしれない)と強く推測され──なぜそれがわかるかというと、①上記の通り、文章が不自然で不可解な開かれ方をしていること、➁長文の文脈がやたらロジカルに書かれているように感じること──、とそこで私は、過日に書店にて購入した『土左日記』(堀江敏幸訳 河出文庫)を想起した。その書き出しは次のようになっていた。「おとこがかんじをもちいてしるすのをつねとする日記というものを、わたしはいま、あえておんなのもじで、つまりかながきでしるしてみたい(…)。あるとしの、しわすもはつかをいちにちすぎてしまったひの、よるはちじころになって、わたしたちはようやくしゅっぱつした」。ここから思うことは3つある。①ひらがなというのは女性の文字であるらしい、②男性が女性を装って文章を記述するにあたっては、なんかひらがなに開きがちになっちゃう(開くべき、と言ってもいいかもしれない)、③それにしたって開きすぎじゃないですか。約1100年前に記述された裏アカ女子文学と、その最新の現代語訳と、現代の最先端の裏アカ業者とが「ひらがなに開きがち」という事象で共鳴しているこの悠久のきせきに、いちかの目がしらからゎあついなみだがぶわーーってこぼれおちたよ。きょうもおうえんありがとう。ふぁんくらぶのほうにどーがのせとくね!

8月27日(火) 米の騒動

どうやら米騒動が起きているらしいという噂は聞いていたが、スーパーマーケットに行ってみると米売り場がすっからかんになっており、我が県にも米騒動の波が押し寄せてきたみたいだ。かつて、自宅でいつものように米を炊いて食べていたある時、あれは天啓だったと思うが、「あ、米、あんまり好きじゃないな」と突然に思い、爾来、私は炊飯器をキッチン下の収納スペースに仕舞い、二度と日の目を見ることはなかった。専ら麺を食べている。もちろん、明太子ご飯が食べたくなる時もあり、その際は、電子レンジという機器で1分半程マイクロ波に晒すと温かくなっているレトルトのやつを食べている。レトルトのご飯は全然美味しくない、という言説を時々見かけるが、明太子という魔法をかけることによってそのような言説を焚書坑儒することができる。私の幼少期にも米騒動的な騒動が起きた記憶があるが、全く関係のない話、その騒動のニュースを見ながら父が「米がないならパンを食べればいいじゃない」とマリー・アントワネットみたいなことを言ったのを覚えている(もちろん当時、私はマリー・アントワネットを知らなかったから、後学によってマリー・アントワネットを知ってから、あれはマリー・アントワネットみたいだったなあ、と思ったということである)。そう言えば昨日あたりで真夏のピークが去ったように思う。

8月28日(水) 激辛の代償

近頃では私は辛いもの、特に激辛なものを好んで食べており、それは美味しくていいのだが、内蔵に負担がかかっているためか、食べ終わると激烈な眠気に襲われることになっている。激烈な眠気に襲われると、脳内で身体を縦から横にしたい欲求が唆され、寝室で横になるように唆され、掛け布団をかけるように唆され、寝るときにいつも着けているアイマスクを着用するように唆され、従って、いま読んでいる『百年の孤独』の一年分すら読み進めることができなくなってしまう危険な状態に突入することになっている。

8月29日(木) 金品の受領

8月の中旬頃、携帯電話に着信があり、受話してみると、春頃にエアコンを買い替え、その取り付け工事の際に発生した差額を取りに来てください、とのことであった。私は正直な人間なので「すっかり忘れていました」と受話器に向かって言った。8月中に来店してほしいとのことで、8月中に来店します、と言ったが、8月というのは往々にして暑く、自転車で約10分の当該家電量販店に行く気が起きなかった。本日は予報によれば最高気温28℃と比較的気温が穏やかで、また、本日を逃すと台風の影響下のまま9月に突入するため、行くことにした。気温が低いとは言え、来たるべき台風のせいで湿度が高く、体感の気温は34℃くらいであった。店舗に着き、サービスカウンターと思われる場所で、「すいませーん、あの、春頃にエアコンを購入して取り付け工事してもらったんですけど」「ありがとうございます」「その際に差額が発生してて、あー、えっと、それを受け取りに来た〇〇(ここには筆者の名字が入る)です」「かしこまりました、おかけください」を経て、着座し、然るべき手続きの結果、私は5,500円を受領した。やったー、と私は思った。「よければこれお使いください」と粗品まで渡された。担当の方はゆったりとした喋り方で、所作も優美で、その上に粗品まで渡してくれる気遣いの余裕があった。大人とは余裕のことである。このような大人になりたいものだ。金品とレシートをお財布に、粗品を鞄にしまっていると、「エアコンの方はあれからどうですか」と店員さんは言った。おそらく私に言ったのだと思う。なぜならその場には私しかいなかったからである。私は5,500円と粗品を受領していたことで気分がよく、「いっやー、もうバッチリで、最高の夏でしたよ」などと言い、帰りにラーメン山岡家でウルトラ激辛ラーメン中盛を食べ、帰宅と同時に強烈な睡魔に襲われ、その後100年間眠り続けたと言われている。


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