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HAAM注目!今月の空飛ぶクルマ最新ニュースまとめ【1月〜2月】

HYOGO 空飛ぶクルマ研究室【HAAM】(以下、HAAM)では毎月、次世代の乗り物「空飛ぶクルマ」の最新情報をピックアップし、国内と海外に分けてお届けしています。

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2月は引き続き大阪・関西万博に向けた運行環境の整備が行われたほか、東京都や和歌山県などの各地でも空飛ぶクルマの実装に向けた取り組みが進みました。

海外からは機体の開発完了やエアタクシー事業の本格的な開始に関するニュースが飛び込んでくるなど、いよいよ空飛ぶクルマ社会が目の前に迫ってきたことがわかります。

今月も国内と国外に分けて、空飛ぶクルマに関する最新情報をお届けします。

【国内の空飛ぶクルマニュース】

1.空飛ぶクルマ、万博会場外ポート事業予定者に大阪メトロが選出(2/2)

まずは2025年の大阪・関西万博での空飛ぶクルマの運行に向けて進む、各団体の取り組みからご紹介します。

大阪府大阪市は2日、大阪・関西万博において空飛ぶクルマが発着する万博会場外のバーティポートを大阪港地区の中央突堤に整備し、事業予定者が大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)に決定したことを公表しました。

大阪メトロは都市機能を向上し、より便利で快適な交通サービスを提供し続けることを目的として、都市型MaaS構想「e METRO」の実現に向けた事業活動を進めています。

「e METRO」は従来の地下鉄やバスだけではなく、空飛ぶクルマなどの多種多様なモビリティを広く取りそろえ、乗客の幅広いニーズに応える交通サービスを一元的に提供することを主要な取組の1つとしています。

中央突堤のポートでは、機体開発を行うSkyDriveが空飛ぶクルマを運行する予定です。

大阪メトロは今後、大阪市と土地の使用許可手続きや協定書の締結などを経て、万博会場となる同市の人工島・夢洲(ゆめしま)との2地点間運行の実現に向けた離着陸場や旅客施設の整備を進めます。

今回の事業者は公募によって決定しましたが、会場外ポートの事業予定者が公募で決定するのは初めてのこと。民間事業者と自治体が協力して取り組む運行整備の、今後の情報に注目です。

2.和歌山県 「空飛ぶクルマ」実用化に向けて、民間企業3社と協定締結。2024年中に実証実験へ(2/5)

空飛ぶクルマの実用化に向けた取り組みは、日本各地で行われています。和歌山県の岸本知事は「空飛ぶクルマ」の県内での実装に向けて民間企業などと協定を結び、2024年中に実証実験に取り組むことを明らかにしました。

大阪・関西万博の開催にあたって、県内の観光誘致に向けた機運の醸成を図る和歌山県。今回は大手メーカーの株式会社IHI、空飛ぶクルマの離着陸場のノウハウを持つ総合建設コンサルタントの長大、大手私鉄の南海電気鉄道の3社と協定を結び、今年中に「空飛ぶクルマ」の運行に向けた実証実験を目指す方針です。

和歌山県は昨年4月に運行実現に向けたプランを作成し、離着陸場の選定や運行ルートを含めた環境整備を進めることを明らかにしていました。車やバス、鉄道などの既存インフラと連携して観光周遊にも活用することで、地域活性化に取り組むとのことです。

長大の野本社長は5日に行われた会見で、1月の能登半島地震を踏まえて「空飛ぶクルマがあれば、いろいろな(支援)物資が運べた。新たなモビリティーの必要性が一段と高まった」と指摘。実用化を目指す2030年に向けて、離着陸場の具体的な選定を急ぐ考えを示しました。

3.都内の高層ビルで実証実験を実施。ヘリコプターを利用して運行条件を確認(2/11)

都内でも、空飛ぶクルマの実用化に向けた実証実験が進んでいます。

三菱地所株式会社、日本航空株式会社、兼松株式会社からなる企業グループは2月、5日間をかけて高層ビルのヘリポートを「空飛ぶクルマ」の離着陸場(バーティポート)と想定した実験を行いました。

今回の実験は東京駅前のビルに湾岸エリアなどの3地点を結ぶヘリコプターが離着陸し、機体の騒音や風の影響、乗客の動線などを確認するものです。機体には空飛ぶクルマの代わりにヘリコプターを使い、実験を行います。

また、今回はヘリコプターに乗り込むモニターを公募し、一般の搭乗客を想定して検証を進めました。搭乗した30代の男性は「東京の景色を楽しみながら快適に移動できた。『空飛ぶクルマ』が新たな移動の選択肢になるとうれしい」と話します。

都内での実装が進めば、観光だけでなくビジネスマンの移動にも役立つことが予想される空飛ぶクルマ。新年度には「空飛ぶクルマ」で同様の実証実験を行い、将来提供するサービスについて議論を進めるとのことです。都内で空飛ぶクルマが飛んでいる様子を日常的に見られる日も、近いかもしれません。

【海外の空飛ぶクルマニュース】

4.Applied eVTOL Concepts、パーソナルeVTOL「Epiphany Transporter」を開発。2人乗りのマルチコプター航空機(2/8)

Applied eVTOL Conceptsは8日、パーソナルeVTOL「Epiphany Transporter」の開発作業を完了させたことを明らかにしました。

「Epiphany Transporter」は定員2人の個人用eVTOL。特殊な翼を取り入れている小型な機体であることから、水平な狭い場所であればどんな場所からでも離着陸が可能なことが特徴です。地上での操縦や車庫入れも一人で簡単にでき、本当の「個人用eVTOL」として注目されています。

また、離着陸時の騒音は他のeVTOL機、VTOL機、従来型機とは比較にならないほど小さく、低空で上空を飛行しているときは地上の人々にはほとんど聞こえないほどの静音性を実現していることから、市街地での利用も可能です。

FAA(米連邦航空局)の規制に適合するように調整されていることから、ハード面だけではなく法規制の面でも実現可能性の高い空飛ぶクルマ。アメリカでの実装は待ったなしの状態です。

5.Joby Aviation、ドバイにおけるエアタクシー事業の独占権利を獲得。2026年初頭までの開始を目指して(2/20)

HAAMの空飛ぶクルマニュースでも度々取り上げているアメリカのJoby Aviation社から、新たなニュースが飛び込んできました。

Joby Aviationは20日、ドバイの道路交通庁(RTA)と2026年初頭までにエアタクシーサービスを開始する最終契約を締結しました。契約はドバイで開催された世界政府サミットで締結され、これによってドバイはJoby社に国内でエアタクシーを運行する独占的な権利を6年間提供します。

具体的には、ドバイにおけるサービス事業参入と推進のために財政面など様々な支援を行います。エアタクシーが導入されれば、ドバイ国際空港から「パーム・ジュメイラ(ドバイのシンボル的存在である世界最大の人工島)」までの所要時間が車で45分のところ、わずか10分となる見込みです。

また、Jobyは事業展開にあたって現地事業体を設立し、運営チームの大半をドバイで現地採用する意向を示しました。インフラ面だけでなく、ドバイの労働環境にも影響を与えるJobyの取り組み。世界各国で進むエアタクシー事業に向けた取り組みの先進的事例となるのでしょうか。

6.LiliumとPhilJetsが提携。eVTOL機をフィリピンから運行し、島国での活用事例へ(2/22)

eVTOLを開発するイギリスのLilium(リリウム)社とASEAN地域でグローバル・サービスを提供する航空会社PhilJetsは、10機のLiliumジェットの購入とフィリピン全域およびカンボジアなど他の東南アジア諸国におけるeVTOL運行ネットワークの構築に関する覚書に調印しました。

2社はこれより、東南アジアにおけるサービス開発のために提携することとなります。

フィリピンとカンボジアは現在、航空機の脱炭素化に向けた取り組みを進めており、ブラカンとプノンペンの両首都で新しい主要空港の開発を進めています。

そんな中で開発されたLiliumジェットは7,500以上の島を持つフィリピンの地形上の課題を満たすのに適しており、東南アジアでeVTOLの活用を一気に進めることは、世界中の島国にとってもより広い可能性を示すものとなっています。

今後Liliumの機体とPhilJetsの持つASEAN市場に関する専門知識を結集することで、東南アジアにおける移動手段の未来は加速的に移り変わることが予想されます。

これまで中東やアメリカを中心に進んできた空飛ぶクルマ社会への取り組みでしたが、ここにきて東南アジアでも大きな動きが生まれました。今後の動きに注目です。

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新しい情報が入り次第、今後も空飛ぶクルマの最新ニュースをお届けしていきます。

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▼「空飛ぶクルマってそもそもどんなもの?」という方は、まずはこちらの記事をご覧ください!

HYOGO 空飛ぶクルマ研究室【HAAM】
SDGs思考で未来の空を構想するシンクタンクをコンセプトに、空飛ぶクルマの実用化が期待される2030年代に社会の中核を担うZ世代以降の若者【大学生・高校生】と共に観光・地域創生分野における具体的なビジネスモデルを考えるラボラトリー。大学生向けの空飛ぶゼミや高校生のSDGsへの関心を集める企画などを実施。


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