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【機上の空論】空飛ぶクルマのトレンドを未来から逆算して読む

機上の空論を展開

HAAMのチーフを務める江藤誠晃の『空想観光学』。

2023年度からは毎月アップされる最新ニュースまとめ記事を独自視点で分析・解説していきます。
「空飛ぶクルマ」のトレンドを未来から逆算して考えるシリーズは、題して『機上の空論』。

頭の中で考えただけで実際には役立たない考えのことを「机上の空論」と言いますが、こちらは「机上」ではなく「機上」です。
「機上」にはふたつの意味を持たせていて、ひとつめはパソコンやスマートフォンなど機械の上で論じるというポジション。
マーケティングとは「未来を創造する」営みであり、そのために求められるのは「未来を読むチカラ」ですから、オンラインで集める各種データや情報と勘案しながら次代を手繰り寄せるための記事にします。

もう一方の意味は機体の上から観察するポジション。
空飛ぶクルマをテーマとするがゆえに、常に中空に浮かぶ機材に乗った未来の視点で論じていきたいと思います。

トレンドで見る「空飛ぶクルマ」

客観的な機上の分析手法としてGoogleTrendsを利用します。

Google Trends

このグラフは過去1年間にGoogleで検索された「空飛ぶクルマ」のボリュームをGoogleトレンドで調べたもので、最大時を100とした相対数値の経過を示したものになります。
これを見ると2023年に入ってから「空飛ぶクルマ」の検索ボリュームがそれまでと比べて倍増しているのがわかります。

この背景には今年に入って2025年の大阪・関西万博における運行事業者決定や関連実験飛行やイベントなどのメディア露出が増え「空飛ぶクルマ」への関心が一気に高まったことが推察できます。

  • 01.大阪・関西万博に向けて機体モデルが展示される

  • 03.国土交通省が空飛ぶクルマの実用化に向けた運用方針を策定。操縦免許制を導入へ

といった4月のまとめニュースで紹介した情報が牽引していると思います。

社会受容性をどう高めるか

「空飛ぶクルマ」は本当に実現するのか?万博で飛ばすことはできても実際に我々の生活の中に身近な存在として入ってくることはあるのか?
「空飛ぶクルマ」の未来に関してはネガティブな意見も散見されますが、未来創造に向けてはその壁を越えていく努力が必要で国を挙げて取り組む「空の移動革命」においても環境整備項目内に「社会受容性」があげられいます。

改めて現在飛び交っている「空飛ぶクルマ」関連ニュースを見ると、供給(産業)側の情報ばかりで生活(消費)者の未来を論じるニュースが少ないことがわかります。
まだ世の中に存在しない産業やサービスなので当然といえば当然なのですが、実際に「空飛ぶクルマ」サービス元年と想定される大阪・関西万博まで2年をきった今、我々の生活がどう変容するのかをイメージさせる構想の共有が必要なステージに来ていると思います。

この観点で注目してほしいのが以下のニュースです。

  • 05.空飛ぶクルマがNHKの朝ドラ「舞いあがれ!」で話題に

ものづくりの町・東大阪に生まれたヒロインの舞が空飛ぶクルマのパイロットを目指し、2017年1月に祖母の暮らす長崎県の五島列島で初フライトを実現する…

国民的な人気を誇るNHK朝ドラのテーマとして「空飛ぶクルマ」が取り上げられたこと自体が社会受容性獲得に向けた有力な推進力になるはずです。

今から5年後、それも過疎地における社会課題の解決を目指す魔法の乗り物として「空飛ぶクルマ」を描いたこのドラマの先に僕達がどんな未来像を描けるか?

ともすれば2025年の万博におけるフライトが目的地化されている感がある今、そこを中継地として次の目的地をどこに見据えるのかのシナリオが求められるステージに来ている今、是非ご覧いただきたい作品です。
NHKオンデマンドで視聴可能

想像力を創造力に

Google Trends

ちなみにこのGoogleトレンドグラフは「舞いあがれ」と「空飛ぶクルマ」のキーワード比較を行ったものですが、番組名は多いところで100倍近い検索ボリュームがあります。

つまり、今「空飛ぶクルマ」というキーワードを検索する大衆の数はまだまだ少なく、ドラマを通じてその存在と魅力を知る人の方が圧倒的に多いということです。
ただし、昨年秋にスタートした番組名の検索ボリュームは今年に入ってから倍増し2〜3月に高記録を残しているところには何やら「空飛ぶクルマ」と相関関係らしきものが見えます。

「空飛ぶクルマ」のトレンド数値は、万博に向けて今後着実に右肩上がりになっていくことが想定されますが、そこに影響を及ぼすファクターは何か?それも生活者の「夢」として語られる在り方とは何か?
そこをHAAMでは追っていきたいと考えています。

人類が創造してきた様々な価値には、その前提として多様な未知なる世界への想像がありました。

「空飛ぶクルマ」の周辺で生まれる「想像力」が、いかなる未来を生み出す「創造力」になるのかを「機上の空論」で論じていきます。

/HYOGO空飛ぶクルマ研究室 CHIEF 江藤 誠晃

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