明光 竜之介 選手へのインタビュー ブレイバーズ通信 2022年9月号
首位打者 明光
後半戦に入りつつある。熾烈な優勝争いにも目をひかれるが、選手個人の成績が気になり始める時期だ。各成績のトップは、ほぼ堺シュライクスの選手で占められている。兵庫ブレイバーズの選手は見当たらない、ある一人を除いては。
明光竜之介、関西独立リーグ首位打者だ。7月13日時点で、打率は3割5分4厘とトップを快走。長打こそ少ないながら、安打を量産。一試合で4安打を放つ日もあった。
開幕当初こそ、扱いは「準レギュラー」。ベンチを温める日も多かった。しかし結果を残したことで、6月は8試合中7試合にスタメン出場。自他共に認めるレギュラーとなった。「一番、センター明光」。ブレイバーズの攻撃は彼から始まる。
※現在の選手成績は 一球速報.com(https://baseball.omyutech.com/HomePageMain.action?catalog=H&subCatalog=Z)よりご確認いただけます。
明光選手へのインタビュー
「気づいたらリーグ首位打者になっていた」
―――今季絶好調の明光選手。7月13日現在、リーグ首位打者の座をキープしています。
(明光)首位打者になったことに、当初は気づきませんでした(笑)。「ここ数試合はよく打ったな」と思いながら、成績ランキングをふと見てみました。すると打率一位に「明光」という名前が。僕自身も驚きましたね。
首位打者になれ、それを維持できているのはとても光栄なことです。ただ同時に、プレッシャーもかかりますね。以前より相手チームの投手が、厳しい投球をしてくるようにもなりました。
―――「相手投手の配球」という面では、具体的にどう変わりましたか?
(明光)これまでは、わりとアバウトに投げてくることが多かったです。ストライクゾーンに投げとけばいいやという感じ。しかし首位打者になって以降は、コースを幅広く使ってくるようになりました。高めと低め、外角と内角をバランス良く使い分けて来ますね。
―――打点は、はやくも昨季の7を超え9に達しました。
(明光)知りませんでした。チームメイトのおかげですね。打点を稼ぐためには、前の打者に出塁してもらわないといけないので。僕は一番打者なので、下位打線の方々が、それだけ頑張っている結果だと思います。
下位打線が奮闘してくれたなら、上位打線の僕がその頑張りに応えるのは当然のことです。
必勝祈願で誓った言葉
―――今年2月5日に、三田天満神社で行われた必勝祈願を覚えていますか?あのとき明光選手は「今季はつなぐだけでなく、自分で決める打者になる」と宣言していましたよね。
(明光)はい、覚えています。首位打者の座は維持できていますが、まだまだこれからですね。僕自身が納得のいく試合の決め方は、まだ出来ていないです。
僕の理想は、手に汗にぎる投手戦で、一回きりのチャンスをものにする打撃です。この打撃が出来るまでは満足しません。
「理想と現実に折り合いをつけた」
―――三振数は昨季に比べて大幅に減りました(25→6)。非常にポジティブな変化だと思います。
(明光)精神的に大きく成長したなと感じています。昨季は自信を持てない中で、打席に入っていました。その余裕の無さから、振る必要がないボールにも手を出していました。こうした結果が、38試合で25三振です。
今季は全く違います。「開き直る」ことにしました。迷いなく、自信をもって打席に立つことができています。
―――どういうきっかけで開き直れたのですか?
(明光)理想と現実に折り合いをつけました。僕は追求しすぎるタイプの人間なので。細かい部分の、ひとつひとつが気になってしまうタイプなんですよ。こだわり過ぎて、最後には大きな部分も見失ってしまいます。
細かいことにこだわって不安になることは、もうやめようと思い立ちました。諦めも大事だと。以降は、思い切りを大事にプレーすることにしました。
去年、多くの試合に出て、経験を積めたことも大きいですね。環境に慣れることができました。
―――四死球の数は減りました。思い切りの良さが、ここにも表れているのですか?
(明光)そうですね。早いカウントからガンガン仕掛けるようになりました。開き直れたことで、大胆な打撃ができています。
―――2月当初は、副キャプテンへの就任が予定されていましたが?
(明光)先ほども話したように、僕は追求しすぎるタイプの人間。僕自身だけでなく、チームメイトにもその姿勢で臨んでいました。だからこそ、チームの足りない部分を徹底的に指摘しました。言い過ぎた面があったらしく、チームが求める副キャプテンにはなれませんでした。
それ以降は、より「明光」個人としての能力を伸ばすことに、全力を尽くしています。今季から開き直ることができているのは、その要因もあると感じています。
目標を失っても諦めなかった高校時代
―――明光選手は広島新庄高校に所属していました。高3春には、選抜高校野球の出場権を獲得。しかしコロナウイルスにより、大会は中止となりました。
(明光)本当に悔しかったです。高校側のはからいもあり、野球部はレギュラーのみで練習は認められていました。だけど気持ちを切らさずに練習するのは、とても難しかったですね。目の前のことに取り組み、必死に食らいついていました。
―――最終的には、救済措置として行われた「甲子園高校野球交流試合」が開催。明光選手も出場し、勝ち越しの一打を放ちました。
(明光)憧れの甲子園の舞台に立て、純粋に野球を楽しんでいました。無観客だったので、スタンドがさらに広く感じました。無我夢中で楽しんだ結果が、あの勝ち越し打です。
目標を失っても諦めなかったことで、最後は報われました。この経験は自信になりましたね。野球部の関係者は、開催の実現に向けて奔走してくれました。今でも感謝しています。
「足は速くない、走塁意識は高いと思う」
―――足の速さが長所とのことですが?
(明光)実は速くないです(笑)。でも次の塁を貪欲に狙う姿勢は、大事にしていますね。その意識の高さが、周りには「明光は足が速い」と思わせているのかも。
―――趣味は何ですか?
(明光)釣りですね。子供のころから好きでした。実家が因島という、海に囲まれた場所にあったんですよ。船も持っていました。小学6年生のときには、52センチのマダイを釣り上げました。人生で一番の獲物です。
中学校からは野球づけの日々で、釣りにもあまり行けなくなりました。野球をやめた後は、釣りを満喫したいですね。
―――最後にファンの皆様へメッセージを。
(明光)明光という選手を、皆様に愛してもらえるよう頑張ります。そのためにも、良い成績を残したいですね。
(一部敬称略、このインタビューは2022年7月8日に行われました)