ぼくと彼女の有意義な会話――北原みのりさんとの往復ツゥイート(再)
目下、『WiLL Online』様で書かせていただいた記事が、人気第一位となっております。
松本人志氏の性加害疑惑についてですが、とにもかくにも思い込みとデタラメなリクツで「松本はやったに決まっているのだ、決まっているのだ」と泣き叫び続けるパオロ・マッツァリーノ師匠の卑劣さには、センリツを覚えずにはおれません。
そんなわけでしばらくは「性犯罪冤罪としてのフェミニズム」について書かれた記事を、再録していこうかと思います。
今回のものは2010年11月6日という大昔に書かれたもので、北原みのり師匠とツイッター上でやり取りをしたものの記録です。
何しろこの当時はtogetterの存在も知らなかったので、テキストをコピペしてくると言うアナログな(?)方法で記録がなされています。
(そう言うわけで、今回は文字の色替えなどがされているニコブロの方が読みやすいかも知れません)
と、そういうことで……。
* * * *
堺市立図書館のBL本問題でフェミニスト、そして彼女らに唱和する人たちのエキセントリックさが浮き彫りになりました。
もし日本が近代国家であれば、公共の施設で女子小学生にエロ本を貸し出すなど、考えられない話なのですが、この国は迷信の支配する中世の社会なのですから、仕方がありません。
中世社会において、人の生来の「身分」は絶対です。
あらかじめ生まれ持った「性別」が「正義」の側に属していれば、その人物は「正義」なのです。
いかなる状況下に置かれようが、いかなる振る舞いをしようが、その「正義」が揺らぐことは絶対にありません。
仮に、もしもの、ifの話ですが、一般的に「正義の味方」であると信じられている存在が悪いことをやっていて、しかしその悪行が映像に記録されていたとしたらどうでしょう。人間の心理として、ぼくたちはその事実を認めるのが恐ろしく、映像を葬ってしまうのではないか。万一、その映像がyoutubeなどに流出でもしたら、まず流出させた犯人捜しの方に躍起になってしまうのではないか……あくまで想像ですが、そんなふうに思えます。
さて、以前にも書きましたとおり、ついついツイッターで北原みのりさんをフォローして、ついついそのツィートに返信してしまい、彼女としばし、議論(……?)をしました。
正直、フェミニストと話が通じるとは思ってはおりませんでしたし、むしろ彼女がこれだけこちらと向きあって話してくださるとは予想しておらず、それは大変にありがたいことでした。ご本人は「誠意を持って話したつもり」とおっしゃっておいでで、その言葉に嘘はないでしょう。
反論を受けて事実関係を歪めた返答をして、相手をブロックして逃走――というその振る舞いは何だか東浩紀センセイを彷彿とさせますが、しかしそうは言ってもこれだけおつきあいいただけたのですから、上等だと思います。
さて、しかし残念なことに、両者の対話(……?)は残念ながら既に、外からは見えなくなっているようです(すみません、ツィッターのシステムに疎くて適切な表現ができません)。
それももったいないので、ここに拾い上げておきたいと思います。
ちなみに言うまでもないことですが、ツィッターは最新の発言が上にきますが、ここでは当然、下に行くに従って新しい発言となっています。
また、自分側の誤字や誤表記は最低限の修正を施しています。
minorikitahara性犯罪の話をすると必ずと言っていいほど、”女に陥れられるかも”ということだけしか頭にないアホな男から、男も大変なんだ、とか言うコメントがくる。恥を知れって、思うよ。
3:34 AM Nov 1st webから
hyodoshinji@minorikitahara 「男も大変だ」と思います。「恥を知るべき」なのはあなたかと。
6:23 AM Nov 1st webから minorikitahara宛
minorikitahara痴漢冤罪という言葉が嫌いです。頭に痴漢をつけると、とたんに、女と男の闘いにはしゃぐ人が出てくるから。ただ、冤罪、でいいじゃない。そして、警察と闘ってくれよ、と思うわよ。
6:20 AM Nov 2nd TwitBirdから
hyodoshinji@minorikitahara 今まで「女と男の闘いにはしゃ」ぎ続けてきたのはあなた方かと。自分が不利になったとたんそれはあまりにも卑怯でしょう。
4:45 PM Nov 2nd webから minorikitahara宛
minorikitahara@hyodoshinjiえ!あなた方って、誰のことですか? あたしは、男女差別と戦ってきたけど、何が卑怯なんですか? 痴漢冤罪を男女の闘いにするのは不毛という意見の、どこが、卑怯か教えて。
6:29 PM Nov 2nd TwitBirdから hyodoshinji宛
hyodoshinji@minorikitahara 「痴漢」を男女の闘いにするのが卑怯でないのであれば、同時に「痴漢冤罪を男女の闘いにする」のも不毛でも卑怯でもありません。
10:59 PM Nov 2nd webから minorikitahara宛
minorikitahara痴漢冤罪といえば、あたしは、長崎満の顔が、忘れられません。痴漢冤罪被害者の会を立ち上げ、その後、電車の中で盗撮して捕まった男。 あたしは、長崎満と本を出し、講演会をしました。そのことをずっと悔やんでいて、一度目の裁判にも、二度目の裁判にも通いました。
6:44 PM Nov 2nd TwitBirdから
minorikitahara長崎満をサポートする発言を私は一度もしていないけれど、「痴漢えん罪」も「痴漢」も満員電車でおこるんだという「幻想」を産んでしまうような、そんな言説に力を貸してしまったんじゃないかと、そういう意味でずっと悔やんでいました。
6:58 PM Nov 2nd webから
minorikitahara初対面の時、彼から「痴漢えん罪被害者の会」の名刺をもらいました。カラーの顔写真入り。営業マンみたい、とうさんくさい顔をする私に彼は、「僕の母もフェミニストでしたよ。だから僕はフェミニストが好きなんです」とニコニコと話しかけてきて、気持ちが萎えたことを覚えてます。
7:03 PM Nov 2nd webから
minorikitaharaそれでも、私は彼と本を出し講演会を共にしました。痴漢えん罪被害者の声が大きくなると同時に、本当の被害者が声を出しにくくなってはまずいと思ったから、長崎満と同時にほえとかなきゃっ! と思ったからです。
7:05 PM Nov 2nd webから
minorikitaharaさらに、痴漢えん罪の映画や本の中に滲むミソジニーは許せないものがありました。痴漢えん罪被害者の中には被害者のことを「小娘」と称す者もいた。(引用者註・小泉知樹『彼女は嘘をついている』文藝春秋、2006のこと)メディアでも、男の社会的信用が失墜する重さばかりを取り上げ、知らぬ男に身体を利用される悔しさが無視されているように、あたしには見えました。
7:11 PM Nov 2nd webから
hyodoshinji@minorikitahara ラジオでも近いことをおっしゃっていましたね。しかしぼくが同書を読んだ限り著者にミソジニーがあるとはどうしても思えませんでしたし、そもそも相手の女子高生を「小娘」と記述しているのは本文中二回だけでした。
10:44 PM Nov 2nd webから minorikitahara宛
minorikitahara被害者はどちらか、という話ではなく。性犯罪を本気で根絶するための道を、どのように探っていけるのか。という視線が、痴漢えん罪被害者たちを盛り上げる言説に、まったくもって感じられないことが不思議でした。だったら、痴漢えん罪とか言うな。ただえん罪と言え、と思いました。
7:15 PM Nov 2nd webから
hyodoshinji@minorikitaharaフェミニストは「根絶」という言葉を好んで使いますが、基本的に「根絶」は不可能です。しかし性犯罪は一件でも減らしたい。そのためには冤罪を誘うような捜査や裁判のあり方を変えていかねばならないのです。
10:46 PM Nov 2nd webから minorikitahara宛
minorikitaharaだらだらと書いていると、脳裏に焼き付いちまった長崎満の顔が迫ってきて息苦しいな。二度目に逮捕された時、長崎満は裁判所で、最後まで警察を批判していました。証拠がそろっていました。目撃者も何人もいました。それでも自分の罪には一切触れず、権力を批判する男。とても見苦しかったです。
7:21 PM Nov 2nd webから
minorikitahara女が嘘をついているというのなら、痴漢えん罪被害者も嘘をついている可能性だってある。女が男を陥れるというのなら、男が女を陥れることもある。だけど、そんなこと言い続け「嘘つきはどちら」という戦いは不毛すぎる。だからこそ、性犯罪を本気で憎み、根絶する姿勢を、大切にしたいの。
7:23 PM Nov 2nd webから
hyodoshinji@minorikitahara 違います。男も女も、人間は嘘をつく生き物なのです。それを不毛というならそもそも全てにをあきらめる他ないでしょう。
10:48 PM Nov 2nd webから minorikitahara宛
minorikitaharaで。ま、私は日々日々女たちにバイブを売り、男の性欲にあまりに寛大なこの国の男に、てめーらたいがいにしろよ、と吠え続ける所存なわけでございます。おしまい。
7:25 PM Nov 2nd webから
hyodoshinji@minorikitahara ちょっと前にあった図書館におけるBL本の騒動。あれを見ただけでも日本は男性の性欲よりも女性の性欲に何百倍も肝要な社会であることがわかりますねwおしまい。
10:49 PM Nov 2nd webから minorikitahara宛
minorikitahara@hyodoshinji 笑えます。お尻触ったのは二回だけ。だからたいしたことないよ!ってのと同じ理屈。あとミソジニーって感じる感性がないと感じられないものですよ。残念ながら。
3:32 PM Nov 3rd TwitBirdから hyodoshinji宛
hyodoshinji@minorikitahara ラジオであなたは「小娘という言葉をすごい使う」とおっしゃっておいででした。二回は「すごい」ではないかと。それとミソジニ。まさしくそうなんですよ。「感じる感性がないと感じられない」。つまり「言った者勝ち」なんですよね。まるでナントカ冤罪のように
11:25 PM Nov 3rd webから minorikitahara宛
minorikitahara@hyodoshinji 差別って、回数なんだね、あなたにとっては。感じない人にミソジニーはない。俺が感じなければ、それはないことと同じ。という人たちが、差別を見えなくし、その深刻を深めていくのよ。
7:17 PM Nov 4th TwitBirdから hyodoshinji宛
hyodoshinji@minorikitahara 「差別」が「回数」なのではないです。「回数」を水増しすることが「差別」なのです。「私が感じればそれはいかなることであろうと差別認定する」という人たちが差別を見えなくし、その深刻を深めていくのです。
約24時間前 webから minorikitahara宛
minorikitahara@hyodoshinji あー、差別じゃなくて、逆差別! ってやつに、ご興味があるんでしたね。噛み合わないですよ。あと、差別の水増ししたとは、考えてません。小娘、という言葉を複数使い方貶めた事実は事実ですから。
約23時間前 TwitBirdから hyodoshinji宛
hyodoshinji@minorikitahara なるほど、北原様的には一冊の本で二度「小娘」と記述があったことを「すごい(頻度)」と捉えたというわけですね。それはまあいいでしょう。
約23時間前 webから minorikitahara宛
hyodoshinji@minorikitahara 後、「逆差別」という表現にはあまり意味はないでしょう。「俺がミソジニーを感じなかったからミソジニーはないのだ」というのが傲慢なら、「私が感じたからあるのだ」というのもまた傲慢だ、というだけです。
約23時間前 webから minorikitahara宛
hyodoshinji@minorikitahara そして「あったのだ」というのであれば、そう主張する方が「どこをそう感じたのか」を表明すべきです。痴漢行為や大量破壊兵器と違って、証明は容易なのですし。
約23時間前 webから minorikitahara宛
minorikitahara@hyodoshinji まとめて返信。差別を訴えることにより、ある種の人々の既得権が奪われことを、「差別」とは名付けず考えたいと思います。私は傲慢な女だと自覚してますが、あなたが傲慢とは書いてません。痴漢えん罪キャンペーンのミソジニーについて、様々な媒体で表明してます。
約20時間前 webから hyodoshinji宛
hyodoshinji@minorikitahara 「差別を訴えることにより(以下略)」そんな考えは受け入れられないでしょう。差別者/被差別者というのは流動的多義的なものでその立場は入れ替わりうる。それをあなたは正当化しているだけです。被差別者なのだからといって何をしてもいいわけではありません。
約20時間前 webから minorikitahara宛
hyodoshinji@minorikitahara 「痴漢えん罪キャンペーンのミソジニーについて、様々な媒体で表明してます。」それらは全て、今回の発言と同じ瑕疵を持っていると考えます。
約20時間前 webから minorikitahara宛
このユーザー(北原みのり)があなた(兵頭新児)をブロックしたため、フォローすることができません
minorikitahara@hyodoshinji それは残念。でも、あなたを納得させる必要はないかな。「差別は容易に証明できる」との発言に新鮮を感じつつ、強姦裁判の理不尽を訴えたツイートが、あなたのような人を刺激し痴漢えん罪の話になっていく流れが、感慨深い。十分誠実に対応したつもり。これにて失礼。
約18時間前 webから hyodoshinji宛
hyodoshinji@minorikitahara「強姦裁判の理不尽を訴えたツイートが、あなたのような人を刺激し痴漢えん罪の話になっていく流れが、感慨深い。」あなたが痴漢冤罪の話をしていたので返信したわけですが。そうした客観的事実があなたの中で歪曲されていく流れが、感慨深い。
約16時間前 webから minorikitahara宛
hyodoshinjiパターン青消滅。使徒は完全に沈黙しました。
5分前 webから
以上、両者の言葉が見事なまでに噛みあっていないことがわかりますw
噛みあわないはずです、彼女の書き込みをまとめれば彼女は、
・性犯罪の根絶が最優先事項であり、それまでは男性が冤罪被害に遭うのはやむなし。
・女性は被差別者であり、その「地位」は揺らがない。同様に差別者である男性は何をされようと差別者。
・同様の理由から女性は任意に男性の言動を「ミソジニー」認定する権限を持つ。
と考えているのだと判断せざるを得ません。
彼女の最後の捨て台詞は、実はこちらをブロックしてからの発言なので、わざわざ彼女のページまで行かないと読めなかったんですが、どう好意的に解釈しても「客観的事実」をねじ曲げています(念押ししておきますが、「痴漢冤罪」騒ぎに物申していながら彼女は、平然と「事実関係」をねじ曲げられる人なのです)。
また、痴漢冤罪の被害者たちを「ミソジニーに満ちていて許せない」と断言しておいて、「どこが満ちているのか説明しろ」と迫られると「『差別は容易に証明できる』との発言は新鮮」などと言って逃げるのはあまりにも卑劣でしょう。問題になっているのは一冊の本だというのに(それと、ぼくも冷静さをなくして指摘するのを忘れていますが、そもそも「小娘」呼ばわりされてる少女って、見る限りこの男性を故意に冤罪に陥れてるんですよね)。
先日、ぼくはフェミニストたちについて、「『わたしたちは差別されてきたのだ』という感情があまりにも強くて、冷静な判断ができなくなっている」と形容しましたが、それはやや古い認識だったかも知れません。
「痴漢冤罪という表記をやめ、冤罪に統一しろ」と絶叫する北原みのりさんから感じられるのは、焦りの感情です。そもそも、「痴漢冤罪」を「冤罪」に変えたところで何かがどうなるわけでもないのですから。
彼女の中にあるのは、「いついかなる場合でも女性は被害者なり」との固定観念を「うちゅうのほうそく」だと妄信していた、しかしこの女災社会において「うちゅうのほうそくがみだれる!」ことに由来する(無意識裏の)焦りの感情であるように思えます。
その意味で『女ぎらい』が異様に古くさかったのは(痴漢冤罪はおろか、草食系男子も婚活も、一切話題に上らない!!)、上野センセイは北原さん以上に逃走本能が発達しているからなのかも知れません。その意味において、いまだ上野センセイは衰えていないのかも……と今更ながらに認識を改めねばとすら思います。
しかし、とは言え、それでは彼女らがその焦りの原因を意識に登らせて、考えを改めるか……となると、それは疑問です。
ぼくたちの棲むこの社会は、中世の身分制社会なのですから。
そもそも、フェミニズムが没落したのは上に挙げたグランドクロス現象によるところが大きいとは思います。
しかし、とは言え、「うちゅうのほうそく」の乱れ、グランドクロス現象に一番大きな被害を受けたのはある意味フェミニストたちであり、一般ピープルたちは(下手をするとフェミニストたち以上に)「いついかなる場合でも女性は被害者なり」との法則性の中に安穏としています。
だから一般ピープルのほとんどは今回の騒ぎをもし見物していても、「何か、男と女でもめてるな。女の味方をした方が得策だろうな」というバランス感覚を働かせるだけでしょう。
それは丁度、痴漢冤罪の被害者を集団で暴行した、大学生たちのように。
ここから先は
平気で濡れ衣を着せる人たち
フェミニスト、ないし女性たちによって男性たちに仕掛けられたステキな冤罪を説明した、素晴らしい記事をまとめています。
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