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大人がハマる昆虫研究

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40になって知ったディープな昆虫の世界。身近な環境も、視点次第で宝の山に。
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2023年4月の記事一覧

クチキクシヒゲムシ―甲虫の捕食寄生性つれづれ―

クチキクシヒゲムシ―甲虫の捕食寄生性つれづれ―

邂逅 トップ画像の虫を知っている人がいたら、相当な甲虫マニアだろう。あれは、2018年の5月下旬のことだった。4歳(当時)の次男と神奈川県西部の明神ヶ岳を登山中、登山道脇のスギ?の樹幹に、やや大型の甲虫がとまっているのを発見した。一瞬、コフキコガネかと思って素通りしようとしたが、コフキにしては体形が細長いし、発生時期がまだ早い。立ち止まってよく観察すると、頭部にカミキリムシのような大顎があるではな

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河口の中洲は宝の山―汽水性ゴミムシを探そう―

河口の中洲は宝の山―汽水性ゴミムシを探そう―

はじめに 汽水性ゴミムシ類という虫がいる。いわゆるゴミムシ類は、オサムシ科に属する地上徘徊性の甲虫で、あらゆる環境に多様な種が生息しているが、その中で、汽水性ゴミムシは、河川の河口近くに生息環境を見出したゴミムシ類である。そのような特異なニッチを利用する生態のため、開発によって生息環境が消失しやすく、都道府県レベルで絶滅危惧種に指定されていることが多い。

2023年4月現在、神奈川県では汽水性ゴ

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