孤独、別れ、解放。
旅館の中庭で紅葉が赤く色付いている。
白い冬の手前、晩秋の匂いが立ち込めている。
漆黒のピアノからベートーヴェンのピアノソナタが流れてくる。
別れを惜しむ人々が涙する。
もう半月もすれば雪が降るだろう。
寒さの冬におろおろするだろう。
赤く燃える炎に手をかざすと、
懐かしさに未来を知るのだろう。
その曲の転調にアゲハは舞散り
身体は熱く滾り
死を心から呼び込むのだ。
さぁ、今日の朝焼けは雨を降らせ
一杯の珈琲は穏やかにその名を刻む。
その時初めて諸君は孤独から解放されるのだ。
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