10分でLINEをブロックされた男がいた話

あれは私が社会人1年目の時だった。

土曜日の23:30頃、某SNSのTLを見ていたら、大学の部活メンバーたちがなんか深夜にどっか行こうぜって話をしていた。

某SNSでやりとりをした結果、とりあえず大学で集合しようってことになった。

参加メンバー

深夜にどっか出かけようっていうイカれたメンバーを紹介するぜ！

・私 → 車を運転するだけの人。

・同級生 → 男。プロドラマー。

・後輩Kちゃん → 2つ下の女子大生（当時）。酒豪。

・後輩Pさん → 2つ下の女子大生（当時）。モデル経験者。

同じ部活で見知った仲ということもあり、割とその場のノリで集まった。

ちなみに、このメンバーの中に「深夜にどっか行こうぜ」って提案した言い出しっぺはいない。言い出しっぺは結局来なかった。

集合するまで

とりあえず大学に行くために私は車に乗り込んだ。出発時刻は深夜0時。

言いだしっぺが脱落してから参加を表明してくれた、同級生を途中で拾っていく。

社会人1年目ということもあり、同級生と久々に再会できたことを私は素直に喜んだ。

行きの車内で懐かしいアニソンを流しながら、「この曲クッソ懐い」とか2人で言いながら大学へと向かった。

招かれざる客

大学の駐車場に着いたのは、深夜1時前だった。

見慣れない軽自動車が、駐車場のゲートの前に停まっていてなんだろうな、と思っていると、見知らぬ男が女の子2人の間に居るのが見えた。

あれは誰だろう、と近づいてみると、女の子2人は後輩Kちゃんと後輩Pさんだったが、男の方はなんとマジで知らない人だった。

様子を見る限り、この大学の学生でもなければOBでもなさそうである。普通の人は深夜1時前に大学の駐車場に来たりしないのだが、どうしたんだろうと思った(人のこと言えない)。

謎

男たちに事情を聞くと、「この駐車場で財布を落としたので探していた、4人でくまなく駐車場を捜索したが財布は見つからなかった」と説明してくれた。

後輩の女の子2人も、2人で乗ってきた車のヘッドライトで深夜1時前のクッソ暗い駐車場を照らして探すのを手伝っていたらしい。めっちゃ優しい子じゃんって思ったよマジで。

見知らぬ男は「もし財布見つかったら連絡ください」と言って、同級生と後輩PさんとLINEを交換した。

そして見知らぬ男2人は、ゲートの前に停めてあった軽自動車の助手席に乗って帰っていった。

ようやく出発…と思いきや

とりあえず全員メンバーが集合したので、行き先を話し合って決めた。

男たちは何者だったんだろうと思いながら、私はみんなを乗せて車を発進させた。

発車させて3分後、後部座席に座っている後輩のPさんから、さっきの男からLINEの通知が来たと報告があった。

とりあえずメッセージを見てもらうことにした。

LINE即ブロック

私は車を運転しているので、メッセージを読んでもらった。
メッセージの内容は、

「さっきはありがとう、
お礼に一緒にご飯行こう😍」

という、明らかにナンパだろこれみたいなやつだった(絵文字はイメージです)。

後輩Pさんが「え～ブロックしていいかなぁこれ」と言ったので（判断が速い）、満場一致で即ブロックしてもらった。

LINEが来たのは後輩Pさんだけである。同じくLINE交換したはずの同級生は「おい俺ともLINE交換しただろ！ 俺にも連絡よこせよ！」ってその場で叫んでた。めっちゃ笑った。

男のLINE名が敬史（仮名）になっていたので、「おい敬史、おい敬えよ！」って続けて叫んでて、私は笑いすぎてハンドルがぶれそうになるのを必死に抑えた。

全日本LINEブロック選手権代表、敬史（仮名）

敬史（仮名）がLINE交換してから、ブロックされるまでの時間はおそらく10分くらいしかなかった。

正直、ここまで早くLINEブロックされた人はあんまりいないだろう。全日本LINEブロック選手権とか、LINEブロックRTA大会とかやったら健闘できそうなタイムである。

ただ、深夜に「財布なくした」と言って謎に絡まれた挙句、謎のLINEまで送られてきた後輩Pさんからしたら笑いごとではないだろう。

そんな後輩Pさんは極めて冷静に「一緒にご飯行くことがなんでお礼になるのか分からない」と言い放っていた。うん、確かにそうだ。

男たちは何をしていたのか

私と同級生が着く前に、男2人とどんなやり取りをしていたのかを後輩2人が教えてくれた。

・男2人が財布を探している、と声をかけてきた

・後輩Kちゃんが運転してきた車のヘッドライトで一緒に探してあげた

・変な話にならないよう、「これから男の先輩とドライブするんで」と言っていた

・でも言い訳だと思われて「本当は来ないんじゃないのか～？」などと言われていた

そこに、静夜にエンジン音を響かせて私の車がやってきたのだと説明してくれた。

私は正直、深夜に後輩女子2人を変な男2人と出会わせてしまったことに責任を感じてしまった。しかし、結果的に後輩女子2人を守ることができたので胸をなでおろすことにした（何もしてない）。

ようやく深夜ドライブへ

敬史（仮名）をブロックしてからは何事もなく深夜ドライブを楽しむことができた。

当時は8月だったので、夜の海に行って海岸で波と戯れたり、夜景スポットに行って夜景を見たりと普通に楽しかった。

夜景が見えた時に、後輩女子2人が同じタイミングで「わぁ～！」って言っていたのが印象に残っている。

深夜だとそもそも人がいないし、絡んでくる人もいなくて、うんうんこれが普通だよなって思いながら深夜のひと時を楽しみました。

財布見つかったらしい

深夜ドライブがお開きとなってしばらく経ったあと、「俺にも連絡よこせよ！」って叫んでいた同級生のLINEに、敬史（仮名）からLINEが来たらしい。

内容は、「財布見つかりました」とのことだった。見つかったんかい。

正直ドライブ終わった後は彼らの存在を忘れかけていました。

とりあえず「結果報告くれるのか、あいつちゃんと敬ってるじゃん」と思いました。