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漫画家にはなれなかったけど、私はずっと漫画家だった

初めて4コマ漫画を描いた小学校1年生の頃から数えるならば、私の漫画歴は30年を超えている。
けれどその頃から今まで、一心不乱に描き続けてきたわけではない。

途切れてもなお

特に9年前、広告代理店を退職し広告漫画家として開業した頃は、漫画どころか絵もほとんど描いていなかった。

いずれ広告漫画家になる夢を心に抱き就職した広告代理店。
その目的通り広告の知識を学ぶことはできたが、生活は不規則で、休みの日も心と体を休めるのが精一杯だった。

これで漫画が書けなくなっていたら本末転倒…不安に思いながら漫画のリハビリを始めると、思っていたよりははるかに思い通りに描けた。

ああ、私の体にはちゃんと『漫画を描く力』が染み付いていて、体が不自由にならない限りは一生描き続けられるんだ、と思った。

ただ楽しかったあの頃

そしてそれは、寝ても覚めても描いていたあの学生時代があったからだと思う。
授業中はノートにラクガキをし、放課後は部活で描き、帰宅して投稿用の漫画や同人誌の原稿を描いていた。

上手くなりたいから努力しようとか、漫画家になるためにとにかく描かねばという強い意志があったわけじゃない。

描いて、仲間に見せて、褒めあって、また描いて。
それがただただ楽しかった。

夢は常に、今ここに

大人になり仕事として描いている今は、あの時と同じ気持ちで漫画に向き合うことはもうできないのかもしれない。あの時なりたかった漫画家とは違うし、学生時代の私に申し訳なさを感じることもある。

けれどあの頃の私があったおかげで、今の私がある。
そして、経験を積んだ今の私だからこそ作れるものがある。

漫画家でも、広告漫画家でも、それ以外でも、肩書は何でも良い。
これからもずっと、漫画を描いて生きていきたいと思う。

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