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長居はお断りの喫茶店のビジネスモデルの限界

僕は喫茶店巡りが趣味でいろんなお店に日々足を運んでいます。そういった中でいつも感じていることがあるので、書いてみたいと思います。

喫茶店にいて感じるのが、長居はお断りというお店が一般だということです。

先日ある喫茶店で作業をしたり、のんびり過ごしていたら店員さんに、「長居はお断りしています。これ以上居るならもう一品ご注文ください」と言われてしまいました。そのときに店員さんの顔を見ると今にも怒りが爆発しそうな顔をしていました。コロナ禍ということできっとイライラしてのだと思いますし、実際に長く使った私にも非があるため、申し訳ない気持ちになりました。一方でどこか釈然としない気持ちになったのも事実です。

これはある意味、事業としては「当たり前」のことかもしれません。

事業では客単価×客数×回転の3つの要素で売上を計算します。喫茶店の場合、客単価はドリンクにフードメニューをオーダーしてせいぜい1,000~2,000円程度で、そこまで高くありません。また今はデフレで賃金がずっと伸びていない社会になっており、消費者の財布の紐も固い状況で、客単価を上げるにも非常に難しい状況にあります。そういう中で売上を上げるには、客数と回転を増やすしかありません。

そうすると、長居するお客さんは事業によっては「歓迎されないお客さま」になるわけです。

ただ、利用する側からすると、「早く出ていけ」というプレッシャーを感じていたら、お店でリラックスすることができません。

このように、喫茶店のビジネスでは、事業をする側と利用する側の利害が一致しないことが増えている業態ではないかと以前から感じています。

そんな中で面白いなと思っている喫茶店があります。それは、都内に3店舗を展開しているフヅクエというお店です。

ここは、お客さんがくるとたいてい2時間くらいは利用する喫茶店ビジネスの常識を覆すお店です。どういったビジネスモデルになっているかというと、滞在時間に対して課金されるモデルになっています。そして、長居すればするほど、ドリンクやフードメニューも安くなっていくという料金体系になっています。

どうしてこうしたモデルになっているかというとオーナーの長いできるお店へのこだわり、特に喫茶店内でゆっくり読書できる空間を提供したいという思いです。

これらの点については、オーナーさんの著書が複数あるので、ご興味のある方は読んでみてください。

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ご参考:https://is.gd/wtpVwV

これは、一般的な売上のモデルである、客単価×客数×回転の3つの要素の回転を滞在時間に替えたものだと考えることができます。

事業は客単価×客数×回転の3つの要素で考えざるを得ないと考えがちですが、そのビジネスモデルそのものに疑問を感じ、変更した一例になります。

こういったそもそも論を疑ってお金との関係を考えると、何かを犠牲にした事業にならずに済むのかもしれません。

今までのやり方で消費者からいかにしてお金を取るか、こういった発想では、結局、消費者とケンカになってしまい長続きさせるのは難しいでしょう。

そうではなく、そもそも論を疑って、自分も相手も幸せになるモデルを作るという視点はこれからのお金を考える上で必須ではないかと感じています。


これからの時代に必要な職業観とお金観について考えるヒントになる方や本について紹介しています。いろんなタイプの方を取材しているので、よかったらフォローお願いします。