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#37 最近よんだもの(10)

 あさぼらけ☆おはかれ~!

 先日の合気道の稽古で、初場所での宮城野親方(元横綱白鵬)のまわしの取り方の解説で盛り上がる。まわしは鷲づかみで取りにいくのではなく、「小指で差す」べきなのだそう。小指を差すように取りにいくことで、脇が締まり、相手の腕を殺すことにもつながる。正確な言葉までは失念したが、親方の解説は概ねそのような内容だった。まわしの緩かった昭和の力士の話題でみんなで笑って稽古は終わった。読者の皆さんも、まわしを取りにいかざるを得ないときがきたら、迷わず小指からいってください。

 まくらが長い。今回は

「成瀬は信じた道をいく」(宮島未奈、新潮社)

 話題作で、本屋大賞の候補にもなっている「成瀬は天下を取りにいく」の続編。冒頭のあいさつは、作品を読んでいただけば分かる。おっさんキモいというなかれ。「スキップとローファー」の江頭ミカに共感しかないおじさんだっているのだ。大きな声では言わんけど。

 ネタバレになるようなことは書かないが(あったらすみません)、まあ控えめにいって前作に輪をかけて最高といえる。作品の面白さばかりが目立つけど、この読みやすさや展開のうまさは、小説として、技術的に相当な水準にあるように思える。

 ある意味で、地域社会というか、衰退する地方を描いた作品とも言える。同じ新潮社から出ている、前回で紹介した「わたしたちに翼はいらない」(寺地はるな)とあまりに対照的な内容ではある。こち亀や居眠り磐音を超えて、成瀬が200歳になるまでシリーズを続けてほしい。少なくとも滋賀県知事選は出て欲しい。それまではこちらも生きていたい。

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