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#33 最近よんだもの(7)

「くもをさがす」(西加奈子、河出書房新社)

 月並みな褒め言葉しか出てこないが、良著。弱音や苦しさを率直に吐露し、支えられ励まされ自らを鼓舞し病と向き合う。力強い文章が読者を勇気づける。身体と精神について考える。以上が表の感想。

 この著者には頼りになる友人知人がめちゃくちゃ多いな、というのが裏の感想。こんな人たちの支えがなければとても耐えられない気がするが、こちとら友だちなんておりまへんで。まったく著者の意図と違うところで少しへこむ。こんなときは「人間関係を半分降りる」(鶴見済、筑摩書房)の再読がいいだろう。人間関係にお疲れの方は一読の価値あり。

「ChatGPT時代の文系AI人材になる」(野口竜司、東洋経済新報社)

 「AIを使いこなすことで、私たちがどのようにして知的生産革命に対応し、自身のスキルも向上させていくのか」を具体的に解説した本、とある。「文系AI人材になる」と入力しようとして「文系AI人災になる」と打ってしまった。私のことですか?文系人災。AIを使いこなす以前の問題という気がしないでもない。

 ChatGPTは、仕事に役立てたいとこっそり使ってみたことはあるが、使う側のスキルの問題で、まあ役に立たないではない、というレベル。もっぱら「合気道が上達するには」とか「ダイエットしたい」ってな感じのおっさんの相談相手となっている。もちろん通り一遍の回答しか返ってこない。正論ど真ん中。

 仕事のヒントや創作活動(何もしてないけど)の役に立たないかと思って読んでみたが、すごい世界になってるな、という雑な印象。企業での活用事例が豊富に紹介されていて、ここまでやっているのか、と驚いた。「仕事とは、そもそもなんなのか」という根源的な疑問もわいてくる。

 「以前の知識や常識を捨て去り、新しい視点や考え方を受け入れる」アンラーンが重要、との主張が心に残った。テクニカルな部分は飛ばし読みで、ちょっとついていけない、というのも正直な感想です。この分野、仕事ではなく楽しく生きていくためにうまく活用できないか、今後も注目していきたいと思います。

 あと2冊あるけど長くなってしまったので、続きます。

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