見出し画像

クロール

人生ドン底から、何度か息継ぎして這い上がった。そんなお話を少し。

随分と更新が途絶えて久しいですが、旅はぼちぼちと続けています。
時間的な制約から、近況アップデートが出来ていません。すみません!
さて、いつもはしがない旅模様を綴っていますが、今回は少し脱線。筆者のライフステージについて触れたいと思います。ほぼ文章のみで構成されている投稿なので、ご興味がある方のみ読んでください。

2022年の秋に交通事故に遭いました。前回投稿した、青森への旅の少し前。趣味のロードバイクで住宅街を疾走していたら、信号のない交差点で車が飛び出してきて接触(ちなみに相手の車は一旦停止の標識がある道路、私は優先道路を走行)。

「接触」という言葉選びは生ぬるいな。車に触れた途端に弾き飛ばされて路面に叩きつけられた、と書く方が正確。
とにかく猛烈に痛くて痛くて・・・それでも人目につく場所で倒れたままでいるのも心配されるだろうし、何とか気合で立ち上がった。
立ち上がったけど、路面と激しくぶつかった右半身側が全体的に痛く、いつもは我慢強くて絶対泣き言を言わないのに「痛いな・・・」と何度か口にしていました。

「ごめんなさい、病院まで送っていきましょうか」という高齢女性ドライバーの声を制し、「救急車呼んでください」と言ったものの、相手も分かりやすいくらいに動揺し、相当慌てている様子でした。結局、事故現場付近を園児たちと一緒に散歩していた保育士の方が、私のスマホを使って救急車を呼んでくれました。
顔面血だらけで、衣服にも血痕が相当染みついていたので、園児たちがトラウマになっていなければいいな、と少し思いました。

病院へ搬送される救急車の中で実家に電話連絡し、搬送予定先の病院名を告げて、到着したら一通り検査。
右手の甲の骨が、割りばしをポキッと折ったように離断。そして、路面と接触した顔面数か所の皮膚が抉れ、擦れた傷跡に・・・。
搬送先の病院では右手の手術が出来ないから、と別の病院へ紹介され、それからは手術とリハビリの日々。
幸いにも仕事は閑散期で、片手でもPCのタイピングはなんとかできたため、事故後しばらくは実家で療養しながら在宅業務を少し行っていました。

ギブス固定されていたため利き手はしばらく使えませんでしたが、慣れると左手で器用に色々と出来ていたので、順応力が高いなーと我ながら感心したし、家族にも加害者にも褒められました。
ちなみに加害者のことを憎いか、と問われると、少し複雑な気持ちを抱きます。初めのうち通院の度に病院に現れていたのでこちらも気を遣うし、「もう来なくていいですよ」と2~3回は伝えたものの、来続けていました。待合室でも隣に座ってくるので、いい大人が仏頂面というわけにもいかないし、相手のことを少しでも知っておくと後々何かいいことがあるかも?と思い、他愛ない世間話に花を咲かせることが多かった。

でも、事故から少し時間が経つと、冷静さが心を支配しはじめる。
手術が終わりリハビリが始まる頃から、加害者が病院に来ることがなくなった。右手のリハビリは、悲鳴を押し殺すほどに痛かった。12月に入り寒さが増すばかりなのに、衣類が脂汗で濡れるほどに。
自主トレ(右手のリハビリ)も兼ねて実家から自宅に戻り、家事をしようとするも思うようにいかない。何より、顔が思うように治らず無様なままだったのが、毎朝のストレスだった。
なんで一人こんな思いをしなくてはならないのか・・・

事故車。Eの文字辺りに大きな亀裂が入っていました😭

一番辛かったのが、自宅に戻った後、血痕が付着しフレームが無残に凹んだ愛車(ロードバイク)との再会だった。
他人にとってはたかがちょっと高めの自転車、買いなおしたらいいじゃない、という程度なのかもしれない。でも、自分にとっては2年間みっちり喜怒哀楽を共にした相棒。近場でも遠征先でも、色んな風景を一緒に目にしてきたわけです。
事故後に査定をお願いしたスポーツサイクル店からは、必ず廃車にしてくださいと言われていたので、もう乗ることも叶わない・・・
腐りかけた心にさらなる鞭を打ったのが、加害者の車のドライブレコーダーの動画。結末が分かっているだけに、見たくはない。でも、見ないわけにはいかない。意を決して、ドキドキしながら見ました。

事故の瞬間よりも、事故に遭う前の自らの表情に、目が奪われた。
「こんなにいい顔して乗っていたんだ・・・」と。
その絵を目にしてしまったから余計に、もう何もかもが嫌になり、人の幸せに触れるのもムシャクシャして、みじめな気持ちになって、痛い思いをしてリハビリを頑張ることにもその後に続く人生も、全部投げ出したくなった。

もともと12月の中旬に旅(青森への乗り鉄旅)を予定していたわけですが、リハビリがあるから中止すべきだと思ったけど、こんな気持ちのままだと何も良くならないしもう頑張れない、と思って、家族にも主治医にも内緒でリハビリ通院は2週間ほどサボることにしました。でも鉄道に乗りながら、一人で出来る手のリハビリはずっと行っていました。マジメなんだか不真面目なんだか💦

さて、いよいよ本題。
前置きが長くなったのですが、本当に言いたかったことは別にあります。
旅先での出会いが人生を変える、少なからず影響を与える、ということはよくあるのかもしれません。
一人みじめな気持ちを引きずりながら旅先でも過ごしていましたが、観光ついでに寄ったミュージアムショップで、とあるこけしを見た時、愛くるしさと滑稽さと美しさが、心にするっと入って離れませんでした。一緒に連れて帰るしかない、と。

青森で出会ったこけしちゃん。右の色白な子が初めて我が家に来てくれた。

手元にこの子を置いて眺めているだけで、ぐつぐつと煮えたぎっていた心の沸点が下がってくる。思いつめるんじゃないよ、人生悪いことばかりじゃないよ、って言ってくれているような気がする。
私にとって、人生どん底から少し這い上がれたのは、青森県立美術館のミュージアムショップで出会った、cookiesさんの「こけし」でした。

人によっては「え?」と思われるかもしれないエピソードですが、私にとっては出会うのが必然としか思えませんでした。現に、コレクションが少し増えているわけですから(笑)
本当は、先日の愛媛県のイベントで感謝の気持ちを直接伝えたかったのですが、事情で叶わなかったため、ラブレター(この投稿)にて代えさせていただきます!!本当にありがとうございました。そして、これからも遠くから応援しています。近い日にお会いできることを心から願っています。

さて、この投稿には続き(さらに人生を這い上がるためのブースターとなる出来事)がありますが、いよいよ旅とは関係なくなりそうなので、今回はこれにて終幕といたします。長文を最後まで追っかけていただき、どうも有り難うございました。

青森旅の後、リハビリは最後まで頑張ったし、翌年(去年)の右手再手術も無事に終わり、やや違和感が残るものの機能的には元通りになっています。顔の方は、思うようにはまだ治っていませんが、時間をかけて少しずつ良くなってきている実感があります。今後も出来る限りのことはしていこうと取り組んでいますが、これまた旅とは関係がない美容ネタなので割愛!

末筆となりましたが、私のような交通事故被害者が一人でも増えないことを、日々祈念しています。状況によっては車のハンドルを握らない選択肢や勇気があることも、どうぞお忘れなく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?